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適える初恋

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第二章

「どうせね」
「だからか」
「放っておきましょう」 
 これがオパラの考えだった。
「今はね」
「そうしていいか」
「よくある話かもね」
 こうもだ、オパラは言った。
「こうしたことって」
「子供にはか」
「学校の先生に憧れてとか」
 今のフェリペの様なことがだ。
「あるでしょ」
「そういうものか」
「あなたはそうしたことは」
「なかったからな」
 自分ではというのだ。
「だからな」
「実感としてなのね」
「わからないんだ」
 これがロベルトの立場での見解だった。
「そこまでの年上の人を好きになるとかな」
「私が子供の頃はね」
「男の先生とかにか」
「そう、憧れてとかね」
「あったんだな」
「そんな娘もいたわ、けれどね」
 そうしたことはあってもというのだ。
「あくまでね」
「一時的なものか」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「特にね」
「気にすることもないか」
「それに子供のことだから」
 このこともあってというのだ。
「すぐにね」
「忘れてか」
「そう、成長してね」
「歳相応の娘を好きになるか」
「そんなものよ、だからね」
 それでというのだ。
「特にね」
「心配することでもないか」
「そのうち忘れて他の娘好きになるわよ」
 オパラは笑って夫に言った。
「それまでのことだから」
「子供だしな」
「笑っていましょう」
「それじゃあな」
 笑ってだ、そのうえでだった。
 二人はフェリペのことを心配しない様になってそうしてだった、我が子の言葉を笑って聞く様にした。そのうち忘れると思ってだ。
 しかしだ、学年が上がってニキータが彼の担任から離れてもだった。彼はニキータのことばかり言うのだった。そして小学校を卒業してもだ。
 ニキータの話をする、それで両親は心配になって中学生になった我が子に尋ねた。
「おい、御前まだか?」
「まだなの?」
「小学校の先生好きなのか?」
「あの先生が」
「うん、好きだよ」
 背が高くなりきりっとしてきた顔で言った。
「今もね」
「メールのやり取りもしているのか?」
 ロベルトはまさかと思いつつ我が子に尋ねた。
「今も」
「毎日ね」
「そうなのか」
「本気で好きなの?」 
 オパラも尋ねた。
「先生のことが」
「そうだよ、実は小学校を卒業する時に先生に告白したんだ」
 フェリペは両親にこのことも話した。 
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