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星河の覇皇

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第六十三部第四章 閣議決定その十四

「数は力です」
「古来から言われていることだな」
「数の差を埋めることは容易ではありません」
「その差を埋めて覆すには人材が必要だな」
「シャイターン主席はこれまでその差を埋めて覆してきました」
 エウロパとの戦いでもだ、そしてハサンとの戦いでもだ。
「常にそうしてきました」
「それはシャイターン主席の資質が相手の資質を上回っていたからだな」
「そうです」
 それ故にというのだ。
「それが出来たのです」
「しかしアッディーン大統領はな」
「その資質はシャイターン主席と互角です」
「互角の相手が優勢な立場にいれば」
「勝つことは容易ではありません、それこそ」
 八条はもう一つの勝利の要素も出した、その要素はというと。
「運がなければ」
「運か」
「私は戦争は運に頼ってはならないと思いますが」
「それでもだな」
「どうしても運がです」
 それが、というのだ。
「戦争には大きく関わってきます」
「スポーツと同じだな、そこは」
「はい、運これは偶然と言ってもいいですが」
「その偶然は起こるものだな」
「戦争においては」
 まさにというのだ。
「その要素も大きいです」
「運がよければ勝てる」
「その言葉は確かにその通りです」
 東郷平八郎はこの運の良さから山本権兵衛に連合艦隊司令長官に任命された、実際に彼の運のよさが大きく影響した戦いもあった。
「たまたま敵艦への砲撃が敵の艦橋を直撃し」
「それも旗艦のだな」
 黄海海戦の話だ、日露戦争の。その東郷の戦いの一つだ。
「指揮官一同が昏倒してな」
「操舵手は戦死しましたが」
「操舵手は舵を右に切って死んだ」
「そして後続の艦艇がそれに倣って右に動きました」
「そこを狙ってだったな」
「攻撃したので」
 日本の連合艦隊がだ。
「勝ったということもあります」
「まさに僥倖だな」
「こういうことも実際にあります」
「その通りだな」
「はい、若しシャイターン主席に僥倖があれば」
 その時はというのだ。
「あの方が勝たれるでしょう」
「そうなるな」
「その通りです、ただ私は」
 ここでこうも言った八条だった。
「運はです」
「その要素はだな」
「好きではありません」
「それに頼ることはしないな」
「運はあります、しかし」
「それに頼ることはか」
「戦争ではあってはならないことです」
 その要素が確かに存在するにしても、というのだ。 
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