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星河の覇皇

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第六十三部第一章 次期総統その三十一

「私はそれはです」
「しないな」
「出来る限りは」
 自身の美学だ、カミュの。謀略家でも美学があるのだ。それはカミュにしても同じことなのである。
「しません」
「だから長官殿の下半身もだな」
「攻めたくはないですし」
「金銭や他でか」
「攻めたいですが。難しいですね」
「そうした敵だな」
「手出しが非常にしにくい敵でもあります」
 それが八条だというのだ。
「厄介な御仁です」
「そうなるな」
「彼は有能な敵です」
 こう規定した、八条を。
「そして我々はこの有能な敵に対する為に」
「有能な味方を集めるべきだな」
「エウロパとして」
「国全体でだな」
「今は只でさえ国難の時期なので」
 それ故にだ、尚更というのだ。
「少しでもです」
「有能な味方、円卓の騎士が必要か」
「若し私がそうなるのなら」
 その時はというと。
「是非にです」
「円卓に座るな」
「私はエウロパ人です」
 これがカミュの今の答えだった。
「ですから」
「エウロパの為に働くか」
「そうします」
 一も二もなく、というのだ。
「是非共」
「わかった、では会いだな」
「そのうえで決めます」
「卿は確かに必要だ」
 エウロパにとだ、ボーデンもカミュに対して告げた。
「この国にな」
「では、ですね」
「卿は円卓の騎士になるだろう」
 それは間違いないというのだ。
「挙国一致もいい」
「エウロパの為ならば」
「そうした時期だ」
「私の言う通りですね」
「そうだ、では頼んだぞ」
「さすれば」
 カミュはボーデンの言葉に確かな声で答えた、そしてだった。
 そのうえでだった、カミュはまたブランデーを飲んだ、ケーキを楽しみつつそうしてだった。ボーデンにこう返した。
「エウロパを救う騎士の一人となるならば」
「その全てを捧げるか」
「他にはありません」
 まさに一も二もなくだった。
「一切」
「その心だ、ではだ」
「エウロパの為に」
「これからも頼む」
「わかりました」
 こう言葉を交えさせつつ飲み食べてだ、カミュは決意もしたのだった。エウロパの為に働くことを,そうしてであった。
 
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