星河の覇皇
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第六十三部第一章 次期総統その三十
「それに資産家なので」
「身の回りもだな」
「色々と飾る必要もありません」
「収賄やそうした話は誰も信じないな」
「そうです」
それが八条だというのだ。
「金銭スキャンダルも効果がなく」
「女性、男性問題もだな」
「無縁です」
そちらとも、というのだ。
「彼は清廉潔白です」
「だから下手な噂を流してもだな」
「確かな証拠がなければ」
それこそだ、カミュはそのことをわかっていてそのうえでボーデンに対して八条のことを話すのである。彼のことを。
「とてもです」
「連合でも信じられないな」
「それにです」
「それにとは」
「私は確かに謀略も使います」
エウロパでも謀略家として知られている、カミュのもう一つの顔だ。
「それに手段は選びませんが」
「それでもだな」
「好きな方法もあれば」
「嫌いなものもあるか」
「相手の下半身を攻める謀略はです」
それは、というのだ。
「必要ならば使うこともありますが」
「必要でなければだな」
「使いません」
あくまで他にない時にしかだ、そうした謀略は使わないというのだ。
「下半身を狙う謀略は綺麗ではありません」
「謀略の中でもな」
「確かに効果はあります」
相手の下半身を狙う謀略、それはというのだ。
「しかしです」
「よく言われる言葉か」
「はい、相手を貶めるにはです」
それには、というのだ。
「その相手の下半身を狙え」
「効果があるからな」
「それが例え嘘でもです」
「相手の評判は落ちるからな」
「下半身の話は人の記憶に残ります」
イメージとしてだ、どうしても残ってしまう。だから政治家にとってエウロパでも連合でもセックススキャンダルは致命傷になるのだ。
「そうですから」
「そうだな、だが」
「それでもです」
「それをする相手はな」
「私は信用出来ません」
カミュは自分に置き換えても言った。
「それは謀略の中でも汚いです」
「私も今言ったがな」
「しかも最も汚いです」
その汚い謀略の中でもというのだ。
「その相手を信用してはいけない、傍に置いても近寄せてもいけないまでに」
「そうした行為は下劣だ」
「この上なく」
「それを進んでする者はな」
「決して信用出来ません」
「そうした謀略だからな」
「私もです」
そのカミュ自身にしてもというのだ。
「それは極力です」
「しないな」
「謀略も出来ることなら」
「優雅にだな」
「してこそです」
「貴族だな」
「そう思いますので」
だからこそ、というのだ。
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