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MS Operative Theory

作者:ユリス
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内部図解
  カタパルト———発進/着艦シークエンス①



——MSと運用艦艇を切り離す「発艦作業」と結び付ける「着艦作業」——

 高い汎用性が特徴であるMSだが、単体での行動限界は決して広くは無い。これは宇宙でも地上でも同じで、そのため(特に宇宙では)前線基地となる艦艇に搭載され運用されることになる。これは旧世紀末期の航空機航空母艦=空母の関係に近いもので、戦闘/攻撃機と空母の組み合わせが「最強の機動部隊」であったように、最高の機動/白兵戦用兵器MSと長大な航続距離を持つMS運用艦の組み合わせは、宇宙世紀における最強のコンビネーションであると言えよう。

 MSが艦艇に搭載される以上、運用時にはそこから発進する必要があるし、帰艦時には安全に着艦しなくてはならない。MSの発着艦プロセスは、航空母艦のそれと殆ど同じで、発艦時にはカタパルトによってMSを加速、射出する。航空母艦のカタパルトは短い滑走距離(150m程度だろうか)で航空機に離陸可能な速度を与えるためのシステムだが、こうしたシステムは飛行能力を持たない通常のMSや、宇宙空間には不要とも思える。それでも、殆どのMS運用艦にMS用カタパルトが装備されているのは、MSの初期加速と推進剤の節約が大きな理由となっている。これは、基本的に相対速度は大きいほど有利である(敵から見て「速い」必要がある)ことが宇宙空間での戦闘で実証されているためである。宇宙空間では推進剤が尽きるまで加速し続けられるが、推進剤が無くなると減速が不可能となり、慣性の法則に従って半永久的にそのままの速度で移動するため、推進剤の残量には常に気を配らなければならない。そこで発進カタパルトが使用される。これにより発進時のMSには、搭載艦の速度にカタパルトによる加速が加えられ、推進剤を使わずともより大きな速度を得ることができる。なお、MS射出用カタパルトは高度の軍事機密に当るため具体的な性能諸元はよく分からないが、WB(ホワイトベース)級強襲揚陸艦のカタパルトは1Gの条件化において、数十m(50m程度?)の加速で全備重量60tのRX-78(ガンダム)を数百m投射可能とされ、その射出能力はきわめて高いレベルに達していることが理解できる。MSの発進は、このカタパルトによる加速を中心に行われる。

 MSの着艦・帰艦作業は、航空機のように失速速度を気にする必要はないが、多くの火砲は配されたMS運用艦は全通甲板を持たない(=着艦できる場所が狭い)ため、違う意味でシビアである。MSは艦との相対速度をゼロに近付けつつ、10m以上もの巨体を狭い甲板、またはMSがやっと出入りできるサイズのハッチ内に着艦させなければならない。更に帰艦時の安心感や被弾による焦りなどから、発進時よりも着艦時に事故が多いとされる。この傾向は旧世紀の空母と同様であるが(MSを放棄しても助かる分、宇宙世紀のほうがましだが)、これに対する根本的な改善策は、MS誕生後半世紀を過ぎた現在でも見出されていない。



補足事項

——航空機などからの発進法——

■ミデア輸送艇

 WB級やエンドラ級のような宇宙/重力下両用の艦艇は、運用領域を問わずカタパルトによる射出を行うが、重力下専用のMS搭載(航空)機は、カタパルトのような高度なMS発進設備を持たない場合が多い。これは、重力下ではMSを加速しても数百m程度で着地してしまうことや、航空機サイズのものに、艦船クラスと同等の数十mの規模のカタパルトが搭載できなかったことによる。このため一年戦争時の連邦軍は、MSの搭載/投下を目的としたミデア輸送機用コンテナを開発し、MSの空挺兵化を図ることで、重力下でのMSの運用効率アップを模索した。

■ガウ級攻撃空母

 一年戦争時の連邦軍はMS開発そのものに出遅れていたこともあり、本格的なMS搭載航空機を投入できなかった。だが、MS開発をリードしていた公国軍では、宇宙艦艇のように前線基地としての機能を兼ね備えた、大型のMS搭載航空機、ガウ級攻撃空母を開発していた。ガウ級は、MSの搭載数こそ3機と少ないが、多数の戦闘機ドップを搭載したほか、メガ粒子砲や爆撃能力を持つなど「空の要塞」と言うべき兵器であった。そのガウ級もさすがにMS用カタパルトまでは装備しておらず(上で説明したように重力下での必要性が薄かったからだろう)、MSを「降下」と言う形で地上へと送り出した。 
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