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星河の覇皇

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第六十二部第四章 選挙前日その十八

「しかしだ」
「それでもですね」
「エウロパとしてはですね」
「皇帝は持てない」
「どの国もですね」
「それが気になるからだ」
 それが為、というのだ。
「私は日本を好きではない」
「左様ですか」
「そうした理由だったのですか」
「そうだ、そしてだ」
 それに、というのだ。
「連合で最も嫌いな人物はだ」
「その人物はですか」
「誰かといいますと」
「あの長官殿だ」
 まずは役職から言った、殿と付けたのは皮肉である。
「八条義統長官だ」
「連合中央政府国防長官である、ですか」
「あの御仁ですか」
「強敵だ」
 八条、彼はというのだ。
「エウロパにとってな」
「まさに最大の、ですか」
「強敵ですか」
「それは卿等もわかっているだろう」
 スタッフ、彼等もというのだ。
「有能な敵は有能な味方と同じだ」
「そうですね、確かに」
「今の我々もです」
「有能な敵を前にしています」
「その結果です」
「今の状況がある」
 彼等が今戦っている選挙だ、彼等の改革派もモンサルヴァートの保守派もどちらも敗北は確実となっている。
 そのことも見てもだとだ、カミュは言うのだ。
「ギルフォードは有能だ」
「間違いなく、ですね」
「そうですね」
「あの御仁は」
「だからこそ我々も劣勢です」
「最早敗北も」
「そういうことだ、有能な敵は有能な味方と同じだ」
 こうなるというのだ。
「こちらにいると頼りになるがな」
「敵だと驚異ですね」
「裏返しになりますが」
「同じですね」
「無能な味方は厄介だがな」
 こちらは何になるとかというと。
「驚異になる」
「はい、有能な敵がいることと同じく」
「この場合は裏返しでなく、ですね」
「そのままですね」
「驚異ですね」
「無能な敵は逆に有難い」
 こちらはそのまま有能な味方と同じだった。
「あの長官殿が無能ならな」
「全く、ですね」
「気にすることはなかったですね」
「内相も」
「そうでしたか」
「敵として強過ぎる」
 八条、彼はというのだ。
「あそこまで有能な敵だとな」
「手強いからこそ」
「閣下もですか」
「敵として、ですか」
「お嫌いですか」
「倒したいところだが」
 しかし、だった。 
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