星河の覇皇
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第六十二部第四章 選挙前日その五
「何度か代替わりをしていますね」
「ウラノス、クロノス、ゼウスと」
ギリシア神話の神々は代替わりをしているのが特徴だ。エウロパで信仰されているゼウス達オリンポス神族はティターン神族を倒し神々となっているのだ。
「そうなっていますね」
「それと同じことですね」
「若し我々が誤ったならば」
そうなれば、というのだ。
「ウラノスやクロノスの様になります」
「新しい政党に敗れ」
「そして取って代わられます」
そうなってしまうというのだ。
「実際にイギリスでは自由党は没落していますね」
「二十世紀にですね」
「長い間リベラルな考えの主軸でしたが」
「そこに労働党が出てです」
別の長老が言って来た。
「労働党が自由党以上にリベラルな勢力を集められたからこそ」
「自由党は、ですね」
「没落しました」
そうなったというのだ。
「だからこそです」
「保守派も油断出来ませんか」
「はい、出来るだけ今の敗北をです」
「和らげて、ですか」
「傷を浅くします」
それが大事だというのだ。
「回復不可能なまでのダメージは避けます」
「最善を尽くしてもどうやら」
それでどうなるかというと。
「相当な敗北は避けられません」
「このことはもう覚悟しています」
彼等長老達もというのだ。
「既に」
「そうなのですか」
「覚悟はしていますが」
それでもだというのだ。
「しかし傷は出来る限り浅くするのです」
「それが大事ですね」
「その為にです」
「最後の最後まで粘りますか」
「そうします」
モンサルヴァートにもこう話した。
「ここは堪え時です」
「保守派にとって」
「改革派も同じでしょう」
対立する立場である彼等もだというのだ。
「彼等も敗北は必至です」
「それは避けられません」
「それで、です」
「何としてもです」
「彼等もです」
「生き残ろうとします」
つまり回復不可能なまでのダメージは受けないというのだ。
「そうします、必ず」
「政党、組織の防衛本能として」
「間違いなくです」
「そうしてです」
長老達の読みはこうだった、モンサルヴァートにもそれを話すのだった。そしてモンサルヴァートもだった。
その話を聞いてだ、こう言うのだった。
「確かに。組織はです」
「はい、人間と同じく」
「生き残ろうとしますね」
「それも本能的に」
「そうしますね」
「軍も同じです」
彼が長い間所属していてこの選挙の後で復帰を考えているこの組織もだった。
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