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星河の覇皇

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第六十二部第四章 選挙前日その四

「その敗れ方が少しでも和らいで」
「次に活かせるのなら」
「そうした敗北にしなければなりません」
「そうだからこそです」
「今も、ですね」
 モンサルヴァートはまた長老達に問うた、
「最後の最後まで戦い」
「はい、選挙は次もあります」
「その次に活かす為にも」
「最後の最後まで戦いましょう」
「傷口をましにするのです」
「撤退戦、ですね」 
 ここまで聞いてだ、こうも言ったモンサルヴァートだった。彼は生粋の軍人としてここでもこう言ったのである。
「今の我々の戦いは」
「はい、そうなります」
「軍事的に言いますと」
「そうですね、ですから」
 それで、というのだ。
「撤退してそうして」
「次の選挙では態勢を立て直し」
「反撃に転じます」
「今はその為にです」
「退いています」
「そして、です」
「やがては」
 反撃するというのだ。
「次の選挙に」
「まずは回復不可能なダメージを受けないことです」
「そして政党を解体させない」
「そのことも頭に入れています」
「政党の解体ですか」
 こう言われてもだ、モンサルヴァートはピンと来るものがなかった。それで長老達に対してこのことについて怪訝な顔で問うた。、
「あの、政党は」
「はい、解体もします」
「分裂もしますし」
「選挙の敗北でもです」
「そうなります」
「そうなのですか、国家が滅亡しない限りは」
 そうはならないと、というのだ。
「政党は、保守派や改革派は健在だと考えていましたが」
「あながちそうも言えません」
「我々も分裂、集合を繰り返していますし」
「そのことも考えますと」
「我々もです」
 政党も、というのだ。
「不滅ではありません」
「少し間違えればですか」
「崩壊します」
 そうなるというのだ。
「分裂しそうして」
「そのうえで、ですね」
「そうです、解体もです」
「有り得るのですね」
「この世に不滅なものがあるかというと」 
 それはというと。
「ないのです」
「仏教にある考えですね」
「エウロパには仏教はありませんが」
 キリスト教にギリシア、北欧の神々への信仰がエウロパの宗教だ。ただキリスト教はカトリックの他にプロテスタントと正教がある。
「しかしです」
「不滅のものはないことは」
「真理です」
「どんなものも何時かはですね」
「滅びます、少し間違えると」
 それだけで、というのだ。
「我々もそうなります」
「ラグナロクの様に」
「ギリシアの神々も滅んでいます」
 北欧の神々だけでなく、だった。 
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