星河の覇皇
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第六十二部第三章 投票直前その十八
「自分達にバチカンがないことが」
「連合に持って行かれたことがですね」
「悲嘆にくれても」
「その悲嘆は永遠ではなく」
「その悲嘆が終わればね」
「それが憤怒になるのですね」
スタッフはにやりと笑ってカバリエに言った。
「そうなのですね」
「そうよ、絶対にね」
「自分達にバチカンがない状況は許せない」
「そう、それでね」
それ故になのだ。
「エウロパはバチカンを持つわ」
「教皇をですね」
「そう、置くわよ」
そうだというのだ。
「間違いなくね」
「そうなるわね、そしてね」
そのうえでだというのだ。
「教会は分裂するわ」
「ローマ=カトリック教会は」
「絶対にね、そして」
「そしてですね」
「彼等は自分達こそが正統だというのよ」
「正統性ですか」
「その問題が起こるわ」
連合とエウロパの間でだというのだ。
「間違いなくね」
「そうね、そしてその正統性は」
カバリエは冷静な顔でだ、そうして言うのだった。
「どちらかというとね」
「連合は。我々は自分達がといいますね」
「私もそう言うわ」
カバリエにしてもというのだ。
「それは貴方もよね」
「はい、その通りです」
スタッフもそうだと答える。
「私にしましても」
「そうね。けれど」
「エウロパはですね」
「彼等は自分達こそ正統と言うわ」
このことは間違いなかった、正統性の主張とはそうしたものだ。お互いに言い合ってそうして一歩も引かないものだ。
それでだ、カバリエもこう言うのだ。
「エウロパにあるバチカンがね」
「そうなりますね」
「当然としてね」
「そうですね、ですから」
「このことも対立の要因になるわ」
「連合とエウロパの」
「ええ、エウロパは工作が入ることを防いでね」
まずこれがあり、というのだ。
「そうしてね、信仰の正統性も維持するわ」
「その二つの為に」
「彼等の教皇庁を持つわ」
「それは確実になりますね」
スタッフもそのことを見越してカバリエに答えた。
「そのうえで」
「我々とこのことでも対立するわ」
「宗教での対立ですか」
「対立は宗教が絡むとね」
歴史的事実からだ、カバリエは言った。
「余計に複雑でしかもね」
「感情的になりますね」
「信仰は政治的要因の隠れ蓑になるけれど」
十字軍もそうだ、聖地エルサレム解放は表の看板でありその実は人口増加問題を解決する為の東方進出だった。
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