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星河の覇皇

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第六十二部第三章 投票直前その十九

「けれどね」
「それでもですね」
「宗教が絡むとね」
「酷いものになりますね」
「ええ、酸鼻を極める事態もね」
「宗教が絡むとなりますね」
「三十年戦争でもそうね」
 この戦争は実は神聖ローマ帝国内の皇帝と諸侯の争いに他国が介入したものだ、しかしそこのカトリックとプロテスタントの宗教解決が絡み。
「あの戦争は陰惨なものだったけれど」
「宗教戦争の側面もあった為に」
「そう、それでね」
「陰惨なものとなりましたね」
「信仰は重要よ」
「そうした意味でも」
 人間の持つ残虐性を剥き出しにしてしまうという意味でも、というのだ。
「そうなりますね」
「そう、だからね」
「信仰は人にとって重要ですね」
「政治でもね」
「宗教上の対立が政治的対立になることもありますし」
「だからこそね」
「人間と信仰は」
「離れないものよ」
 何があろうとも、というのだ。
「どうしてもね」
「そうですね、本当に」
「これまで連合とエウロパに宗教的対立はなかったわ」
 全面的に対立してきた両国だがそれはなかったのだ。
「けれどね」
「これからはですね」
「それも関わるから」
「対立は余計に激しくなりますね」
「和らぐことはないわ」
 決して、というのだ。
「宗教も絡むから」
「そうですか、信仰も」
「私もカトリックよ」
 ローマ=カトリックの信者であるというのだ、カバリエもまた。
「他の宗教も信仰しているけれどね」
「キリスト教はカトリックですね」
「そうよ」
「そうですか、しかし信仰は」
 人間のそれはというのだ。
「人間としてはですね」
「どうしてもね」
「欠かせないものですね」
「人は神を必要とするものよ」
 絶対にというのだ、何時の時代になろうともこのことは外せない。それでまた言うカバリエなのだった。そうして。
 そのうえでだ、こうも言う彼女だった。
「宗教は人の心を救うわ」
「そうですね」
「そう、私も信仰でね」
 カトリック、そして他の宗教のそれでというのだ。
「学び救われてきたわ」
「宗教、信仰は人を狂気にも走らせますが」
「救いもするわ」
「その両面がありますね」
「ええ、それが宗教よ」
「そして政治にもどうしても関わる」
 連合でもエウロパでもそれは同じだ。 
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