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星河の覇皇

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第六十二部第三章 投票直前その十七

「何もね」
「それでもですね」
「そう、例外はあるわ」
 何でもあるものだが両国の関係においてもというのだ。
「連合とエウロパを行き来する手段がね」
「それがバチカンでしたね」
「バチカンの聖職者だけはね」
 エウロパだけでなく連合にも多くの信者を持っているローマ=カトリック教会だけはだ、例外であったのである。
「連合とエウロパを行き来出来たわ」
「そしてエウロパからですね」
「連合に入ってね」
 工作員達がだ。
「情報収集や買収、テロを行っていたわ」
「様々な工作を」
「そして今度はね」
「連合が教皇庁を手に入れましたので」
「そうよ、今度はね」
「我々が工作を出来る様になりましたね」
 かつてエウロパがしていたそれをというのだ。
「そうなりましたね」
「そう、そしてね」
「それが、ですね」
「彼等はわかっているからよ」
「それを防ぐ為にも」
「彼等は教皇庁を置くのよ」
 彼等だけのそれをというのだ。
「そうしてね」
「我々の介入を防ぐのですね」
「そう考えているわ」
 まさに、というのだ。
「実際にね」
「我々に今のところその意図はないにしても」
「私達の意図は関係ないわ」
 ここでだ、カバリエは政治的に言った。
「私達がどう考えているかではなくて」
「出来るかどうかですね」
「そう、それが問題なのよ」
 意志ではなく可能性が問題だというのだ。
「まさにね」
「そういうことですね」
「私達が工作員を送り込める」
「そして工作が出来る」
「それを防ぐ、国防の為にね」
「彼等の教皇庁を置くのですね」
「そういうことよ」
 こうした政治的な考え、国防の観点からだ。エウロパは彼等だけの教皇庁を設けるというのである。そしてだった。
 カバリエはスタッフにだ、こうも言った。
「そしてね」
「それにですね」
「そう、信仰もあるわ」
「連合に教皇庁があってはならないのですね」
「正統なそれはね」
 このこともあってというのだ。
「だからね」
「エウロパは彼等だけの教皇庁を持つ」
「そういうことでもあるわ」
「信仰はどうしてもですね」
「関わるわ」
 こう言うのだった。
「信仰は政治とも密接に関わるものを」
「それぞれを分離しましても」
「政教分離は事実にしてもね」
「それでもですね」
「どうしても関わり合うものよ」
 この時代の政治においてもだ、だからバチカンもまた然りなのだ。
「投票でカトリックの政治家にはね」
「カトリックの信者が投票しますね」
「そうなることは常ね」
「はい、確かに」
「だからね」
 それで、というのだ。
「政教は分離してもね」
「中々完全にとはいかないですね」
「そういうものよ、それでね」
「このこともですね」
「ええ、エウロパは我慢出来ないのよ」
 その我慢出来ないことはというと。 
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