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星河の覇皇

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第六十二部第二章 苦戦の中でその三十

「ましてや潰れてはな」
「それも困りますね」
「存続してだ」
「発展してもらうのですね」
「絶対にな」
「だからこそ」
「そうだ、ここはエウロパを助ける」
 そうするというのだ。
「そして彼等の工作員もな」
「マウリアに入ることもですね」
「我々は彼等のことを知らない」
 表向きのことを言った、ここでは。
「エウロパとは国交がありだ」
「人の往来は当然ですね」
「そうだ、様々な者が来てもな」
「それが当然だからこそ」
「中に工作員がいてもだ」
 それでもだというのである。
「それは我々は知らないしだ」
「わからないですね」
「そうだ、だからだ」
「工作員もですね」
「存在を知らない」
 全く、というのだ。
「そして連合もだ」
「彼等の工作員もですね」
「我々は連合とも国交があるのだ」
「やはり連合からも人が来ますので」
「工作員が入ってもな」
「それは当然ですね」
「チェックはする」
 出入りする人間のそれをだ、連合に対してもエウロパに対してもそれはするというのだ。だがここで言うチェックとは。
「一応はな」
「あくまで一応は、ですね」
「彼等がマウリアの中で対立しようともな」
「構いませんね」
「適当に対立してだ」
 そうしてだというのだ。
「いがみ合ってくれればいい」
「我々が迷惑しない限りで」
「そうしてもらいだ」
「我々はバランサーとして双方から利益を得ていきますね」
「漁夫の利をな」
 即ちバランサーの旨味をというのだ。
「味あわせてもらう」
「それでエウロパにも」
「今は連合が強くなり過ぎている」
 只でさえ巨大なこの国がというのだ。
「彼等が混乱しても困るがな」
「あまり強くなり過ぎましても」
「それはそれで厄介だ」
「只でさえ国力が大きいというのに」
「これ以上大きくなられてはな」
 マウリアとしてもというのだ。
「人類の人口、総生産の殆どを占めているというのにだ」
「さらに巨大になられては」
「エウロパでは相手にならない」
「これまででも危うかったというのに」
 対立はしていても国力差は百倍だ、これではだった。
「これ以上大きくなられると」
「只でさえ近頃は中央政府の力が強まっている」
「そのこともありますから」
「連合はどうしても大きくなるがな」
 それでもだというのだ。
「百倍でも相当だ」
「エウロパと連合の国力差は」
「普通にやっていれば飲み込まれる」
「そこをエウロパは軍事力でかろうじて踏み留まっていますね」
「十億の兵でな」
 連合はそれに対して百三十億だ、十三倍だが連合は好戦的ではなくまた軍も練度が低いので対抗出来ているのだ。 
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