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星河の覇皇

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第六十二部第二章 苦戦の中でその二十九

「こちらにしてもだ」
「あちらの交換条件次第で」
「渡したい」
「そうなりますね」
「しかし安くていい」
 それはというのだ。
「別にな」
「安くていい理由は」
「連合は今は勝ち過ぎている」
 彼等のことも言うのだった。
「中央軍が設立されエウロパ戦役にも勝ちな」
「国防も充実させて」
「経済は相変わらずだ、国内の発展もな」
 つまり内政の充実は、というのだ。
「順調に発展し続いている」
「経済成長率も国民所得もですね」
「そして産業品や農業品の生産高、国家予算もな」
「そして人口も」
「全てが上昇し続けている」
 それも高い水準でだ、連合の発展は全く止まっていないというのだ。
「そのうえでそうした状況は重なっているからな」
「まさに勝ち続けていますね」
「勝ち続けてもらっては困る」
 連合については、というのだ。
「この辺りでな」
「少しですね」
「負けてもらいたいが」
「それが出来ないのなら」
「相手にですね」
「勝ってもらう」
 即ち連合の相手にというのだ。
「エウロパにな」
「だからこそですね」
「ここはエウロパを援助する」
 彼等にとってもう一つの同盟国であるこの国にというのだ、マウリアが敵対する両国の双方と同盟を結んでいることから出ている外交戦略だ。
「そうして彼等には敗戦のダメージから復活してもらう」
「そうしてですね」
「発展してもらう、惑星開発技術もな」
「安価で」
「彼等に渡す」
「そうしていきますね」
「そしてだ」
 さらに言うのだった。
「エウロパにはだ」
「発展してもらうのですね」
「復興の後でな」
「そしてそのうえで」
「連合とだ」
 彼等と、というのだ。
「対立してもらう」
「そうしてもらい」
「我々はその双方の間に立つのだ」
「バランサーになるのですね」
「バランサーにはバランサーの役割がありだ」
 そしてだった。
「その旨味がある」
「その旨味を我々が独占するのですね」
「双方がそれをわかっていてもな」
 マウリアがバランサーでありその旨味を貪っていることがわかっていてもだというのだ、彼等とて愚かではないからわかると見ているのだ。
「バランサーは必要だからな」
「それで、ですね」
「その旨味を味わいだ」
「利益を得ますね」
「エウロパは弱くては困る」
 マウリアにしてもだというのだ。 
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