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星河の覇皇

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第六十二部第二章 苦戦の中でその二十八

「大航海時代より楽ですね」
「あの頃はな」
「はい、中継地点はありませんでしたね」
「大西洋にはなかった」
 欧州から新大陸に行くそれまでにというのだ。
「グリーンランドはあったがな」
「北にあり過ぎて」
 中継地点になりにくかった、北欧諸国はそこから北米大陸に進みそのうえでコロンブスより先に発見していたが。
「北欧諸国位しかですね」
「使っていなかった」
「その大西洋を踏破するよりは」
「暗黒宙域は楽だ」
 その踏破はというのだ。
「むしろな」
「そうなりますね」
「だからだ」
 それでだというのだ。
「エウロパは必ずだ」
「暗黒宙域を突破してですね」
「新天地に辿り着ける」
「そしてそこにある土地も資源もですね」
「手に入れることが出来る」
 そうなるとだ、クリシュナータは言った、そうしてだった。
 そのうえでだ、サッダルタにこうも言うのだった。
「それでようやく彼等は連合にだ」
「対することが出来ますか」
「そうなる可能性が出来る」
「可能性ですか」
「あくまでそれに過ぎないがだ」
 しかし、というのだ。
「可能性が出来るのは確かだ」
「つまり今はですね」
「エウロパは行き詰まりつつある」
 その領土にというのだ。
「人口もあれ以上増やせずだ」
「技術もですね」
「惑星開発技術は停滞していてだ」
「敗戦もありますし」
 エウロパ戦役のそれである。
「そうした状況なので」
「行き詰まりつつあると言っていい」
「このままではですね」
 ジリ貧になる、それがエウロパの今だとだ。サッダルタはクリシュナータと話しながらそのうえで言うのだった。
「エウロパはじわじわと衰退するだけですね」
「しかしだ」
「新天地を手に入れれば」
「資源と土地が手に入るからな」
「その量次第で、ですね」
「エウロパは連合に対することが出来るだけの力を備えられる。そしてだ」
 ここでこうも言うクリシュナータだった。
「我々は連合の同盟国だな」
「はい」
「しかしエウロパの同盟国でもある」
 このことも言うのだった。
「両国とはそれぞれ友好関係にある」
「その双方の中の各国政府とも」
「友好関係にある、エウロパの停滞はな」
「同盟国としてですね」
「助けたい」
 表向きの言葉である、勿論裏にあるものは違う。表にあるものは実際と違うこともままにしてあるものだ。
 そしてここではだ、クリシュナータは表を語るのだった。
「惑星開発技術の発展が停滞しているのならな」
「我々がですね」
「援助したい」
 こう言うのだった。
「是非な」
「そういうことですね」
「しかしだ」
「その援助はですね」
「駆け引きが必要だ」
 淡々とした顔と表情で出す言葉だった。 
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