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星河の覇皇

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第六十二部第二章 苦戦の中でその二十四

「はじまりとしてな」
「そして総統は」
「私はあくまで私だ」
 ギルフォードに他ならないというのだ。
「ヒトラーではない」
「それでは」
「民主政治は害することはない」
 そのつもりはだ、彼には全くなかった。
「エウロパの国家システムはこのままでいい」
「階級制度も中央集権的体制も」
「どちらもですね」
「連合よりも遥かにいい」
 階級のない大衆社会、そして地方分権体制よりもというのだ。
「あの様なまとまりのないものでは何も出来ない」
「内部で衝突ばかり繰り返し」
「それで」
「エウロパは改革がしやすい」
 中央集権体制であり中央政府とりわけ国家元首である総統の権限がかなり強いからこそである。それでだ。
「それならばだ」
「国家システムはですね」
「変えませんね」
「議会もだ」
 こちらもだった。
「これでいい」
「平民院と貴族院」
「その二院で」
「民主政治はなくてはならないものだ」
 エウロパに、というのだ。
「少なくとも私はそう考えている」
「そこがヒトラーと違うというのですね」
「あの人物と」
「ヒトラーは確かに英傑だ」
 このことは間違いないというのだ。
「しかし私と彼は違う」
「ヒトラーは全体主義者ですね」
「それでなのですね」
「ヒトラーはジャコバン派だった」
 彼の本質もだ、シャイターンは指摘した。
「ロベスピーエルの後継者だったのだ」
「独裁者ですね、権限を己に集め」
「革命、能動的な運動を主導する」
 これがジャコバン派急進的共和主義者である。彼等は革命の中で既存の存在を否定していき彼等だけのシステムを建築していく、その中で多くの粛清も行っていく。
 これはナチスだけでなくソ連も同じだ、彼等は共に全体主義であり共和主義の極端な行き着く先であったのだ。
 それでだ、ギルフォードも言うのだ。
「私は革命はしない」
「改革ですね」
「国家の」
「それはする」
 そしてだった。
「復興もだ、だが革命の必要はない」
「今のエウロパには」
「それはですね」
「そうだ、無用のものだ」
 革命は、というのだ。
「必要なものは既にある」
「このエウロパに」
「ありますね」
「エウロパにはロベスピエールもいらない」
 ヒトラーだけでなく、というのだ。
「勿論スターリンもな」
「閣下ですね、必要なのは」
「あくまで」
 スタッフ達も述べる。
「独裁者ではなく指導者」
「民主主義の上での」
「それも貴族のだ」
 貴族主義もここで出す。 
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