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星河の覇皇

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第六十二部第二章 苦戦の中でその二十五

「貴族の指導者であるべきだ」
「他の者を導くべきですね」
「高貴なる者こそがですね」
「指導者であるべきなのだ」
 ギルフォードもまた貴族主義だ、それでここでこう言うのだ。彼は代々続く生粋の貴族なのだからこそだ。
「確かにこれまで平民の総統も出たが」
「それはその通りですね」
「平民出身の総統も何人も出ています」
 確かに貴族出身の総統が多いがだ。
「そして閣僚も」
「平民院、即ち下院は平民の議会ですし」
「軍人にも多いです」
「高級官僚にもです」
「士官学校への門も開かれています」
 こうしたことについては差別がないのだ、エウロパも。
 しかしだ、それでもと言えるのがこの国なのだ。
「ですが階級によって義務教育で入る学校は違います」
「大学においてもです」
「士官学校も貴族用と平民用がありますし」
「やはり貴族は貴族ですね」
「人を教え導く者としての教育を受けていますので」
「それも生まれた時から」
「しかも血筋もある」
 これもだと言うギルフォードだった。
「代々続くな」
「それで、ですね」
「血筋と教育があるからこそ」
「貴族は人を導ける」
「そして今も」
「困難な時代だからこそだ」
 即ち今だからこそだというのだ。
「貴族が支えるべきなのだ、これもまただ」
「ノブレス=オブリージュですね」
 即ち高貴なる者の義務だというのだ、スタッフの一人がギルフォードに対してこの言葉を毅然として言ったのだ。
「それこそが」
「そういうことだ、貴族こそがだ」
「今こそ立ち」
「そしてエウロパを救うべきなのだ」
「何としてもですね」
「エウロパ貴族は何を以て貴族であるか」
 こうした話にもなるのだった。
「貴族はただ血筋でなるのではない」
「心ですね」
「それがあるからこそですね」
「貴族は心もあってこそだ」
 これもあってだというのだ。
「貴族になるのだ」
「例え血筋だけでもですね」
「貴族にはなれない」
 そうしたものだというのだ。
「貴族は血筋と心で成るものだ」
「そしてその心が」
「貴族としての誇りと使命感を持っている心こそがですね」
「今こそですね」
「エウロパを支える」
「救うのですね」
「そういうことなのだ、今こそ貴族が立ち上がるのだ」
 彼の様な、というのだ。
「そうなるのだ」
「閣下によってですね」
「そうなるのですね」
「そういうことだ、ではだ」
 こう話してだった。
「今日も演説をする」
「頑張って下さい」
「今日も」
 スタッフ達も応える。
「投票の日はあと少しです」
「少し先ですから」
「まずは総統選挙に勝ち」
「議会も抑え」
「それをはじまりとする、我々はまだ幕を開けていない」 
 彼、ギルフォードが主演となるその舞台のそれもというのだ。 
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