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星河の覇皇

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第六十二部第二章 苦戦の中でその二十三

「人は増えられないのだ」
「だからエウロパもですね」
「人口を増やすことが出来なかった」
「これまでは」
「その通りですね」
「その為にサハラも攻めた」
 俗に言うサハラ侵攻だ、サハラに侵攻しその場にいたサハラの者達を追い出してそのうえでその土地と資源を手に入れていたのだ。
「総督府、植民地も作ってな」
「そうしてきたこともですね」
「必要だからでしたね」
「我々にしても」
「生きる為に」
「生きる為には戦争もする」
 実にシビアな口調での言葉だった。
「それだけだったからな」
「しかしサハラの総督府はなくなりました」
「植民地もです」
「そこにいた者達は皆無事に戻れましたが」
「資産も持って」
 施設や住居といったものは置いて行った、北部を制圧しているシャイターンは人名や資産については手を出さなかったがそういったものは流石に運び出すことが容易ではなかった。
 だからそうしたものは置いてだ、エウロパはサハラから去ったのだ。
 そしてだ、サハラから去った彼等はというと。
「今のエウロパは許容量の限界だ」
「人口も資源も」
「土地も」
「だからこそだ」
 限界を迎えているからこそだった、まさに。
「新天地が必要なのだ」
「暗黒宙域の向こうの」
「そこに」
「そこの土地と資源が我々を増やしてくれる」
 それだけのものをもたらしてくれるというのだ。
「ではいいな」
「はい、それでは」
「選挙に勝たれた後は」
「連合の者達に見せてやる」
 エウロパの宿敵である彼等にというのだ。
「我々の恐るべき発展をな」
「今は人口で四十倍、国力で百倍の差がありますが」
「その差をだ」
 その圧倒的と言うしかない差をというのだ。
「必ずな」
「縮めて、ですね」
「やがては」
「凌駕する」
 その連合をというのだ。
「それは今既にはじまっているのだ」
「この選挙で」
「既に」
「今回の選挙は歴史に残る」
 何故歴史に残るかというと。
「私が当選し下院も貴族院も私のものになるからだ」
「それだからこそ」
「歴史に残りますね」
「そうだ」
 ギルフォードの総統就任と議会の掌握があるからだというのだが、だ。彼はそこで終わりでないこともわかっている。
 それでだ、ここでもこう言うのだった。
「私がエウロパを雄飛させるはじまりとなるな」
「そうした選挙ですね」
「だからこそ、ですね」
「この選挙は歴史に残る」
 必ずだ、そうなるというのだ。 
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