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星河の覇皇

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第六十二部第二章 苦戦の中でその十一

「新鮮な生牡蠣ならばな」
「わかりました、では牡蠣を」
「牡蠣にレモンだ」
「レモンを絞ってですね」
「それをこあけたものをな」
 食べたいというのだ、シャンパンと共に。
「それで頼む」
「それでは」
 こうしてスタッフがそのシャンパンと生牡蠣をホテルに頼みだった、暫くしてその二つが運ばれて来た。そうして。 
 そのシャンパンと牡蠣を見てだ、モンサルヴァートはスタッフに言った。牡蠣は殻の中に置かれ殻は白の陶器の皿の上にある。
「私の我儘を聞いてくれるか」
「何でしょうか」
「共に飲まないか」
 このシャンパンを、というのだ。
「そうしないか」
「ご相伴しても宜しいのでしょうか」
「酒は一人で飲むのもいいが」
「二人でも」
「いいからな、そして今はな」
「二人で、ですね」
「飲みたい」
 それ故にというのだ。
「だからいいだろうか」
「ではシャンパンを」
「もう一本頼んでな」
 そして、というのだ。
「後は牡蠣もな」
「そちらもですか」
「何本飲む、卿は」
「二本は」
「そうか、ではな」
 モンサルヴァートは自分のシャンパンのボトルを見た、見れば一本だ。それで笑ってこう言ったのだった。
「あと三本だな」
「シャンパンは」
「私ももう一本飲みたい」
 つまり二本飲みたいというのだ。
「だからな」
「それでは」
「シャンパンを飲みだ」
 そして、というのだ。
「全て空けたら寝よう」
「それでは」
「妻はもう寝ている」
 選挙活動に同行している彼女は、というのだ。
「妻にはいつも早く寝てもらっている」
「それが健康にいいからですね」
「私も基本はそうしているが」
 しかしだというのだ、今は。
「だがな」
「今は、ですね」
「多忙だ」
 それで、というのだ。
「だから近頃夜はな」
「どうしてもですね」
「遅いな」
「それは仕方ありません、選挙活動といえば」
「政治家にとって最も重要なものの一つだな」
「ですから」
 夜も多忙で寝ることが遅くなろうとも、というのだ。
「仕方ありません」
「選挙が終わるまではだな」
「そして総統になられたら」
 選挙に買ったその時はというと。
「さらにです」
「多忙になるか」
「寝る暇もありません」
「それが国家元首か」
「特にエウロパの総統は」
「権限が集中しているからだな」 
 何故エウロパ総統が多忙か、モンサルヴァートにはわかっていた。それでスタッフに対しても言えたのである。 
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