星河の覇皇

「しかしだ」
「夜食は、ですね」
「摂らない」
　それはというのだ。
「だからいい」
「では」
「卿は食べるのか」
「お腹が空いていれば」
　その時には、というのだ。
「食べます」
「そうなのか」
「サンドイッチやそうしたものを」
　夜食として食べるというのだ。
「食べています」
「酒もか」
「そうですね、夜にです」
　夜食を摂りつつというのだ。
「そうしています」
「成程な、私も酒はな」
「飲まれますね」
「酒は飲む」
　夜食は摂らないがこれはだ、モンサルヴァートも酒を嗜む。
「ワインもな」
「ではその時は」
「チーズやソーセージをな」
「召し上がられますね」
「そうした意味で夜食は摂るがだ」
「基本はですね」
「夜食は摂らない」
　やはりこうなる、モンサルヴァートは夜食は摂らない主義なのだ。
「それはな」
「ではお酒を用意しましょうか」
「何があるか」
「このホテルにはいいソムリエがいまして」
　それで、というのだ。
「ワインが」
「いいワインがあるのか」
「そうです」
　モンサルヴァートにこのことを話す。
「閣下のお好きなワインも」
「あるか」
「それで何を飲まれますか？」
「シャンパンはあるか」
　スパークリングワインのことだ、この時代ではスパークリングワインはシャンパンという呼び名がかなり一般的になっている。
「それは」
「シャンパンですか」
「ドイツのザールブリュッケンのな」
　この星系の産の、というのだ。
「シャンパンは」
「はい、それでしたら」
　スタッフはモンサルヴァートの話を聞いてすぐに答えた。
「あります」
「そうか、それではな」
「ザールブリュッケンのシャンパンをですね」
「それをもらいたい」
　こう言うのだった。
「是非な」
「わかりました、それでは」
　スタッフは再び頷いた、そして彼はモンサルヴァートにさらに問うた。
「それで酒の友は」
「それか」
「何にされますか」
「牡蠣がいいな」
　これだというのだ。
「シャンパンだからな」
「牡蠣ですか」
「牡蠣はどの産もいい」
　こちらは、というのだ。