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星河の覇皇

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第六十二部第二章 苦戦の中でその七

「資金のことはお任せ下さい」
「そして雑務も」
「細かいことは我々が果たしておきますので」
「ですから」
「後ろのことは」
 それはというのだ、そしてだった。
 モンサルヴァートは彼等にだ、確かな声で答えるのだった。
「わかりました、それでは」
「はい、それではですね」
「今後も」
「お願いします」
 こう言うのだった。
「くれぐれも」
「はい、選挙のことでしたら」
「我々はよく知っています」
「閣下も細かいところを任せて頂ければ」
「有り難いです」
「その様に」
 こう話すのだった、彼等も。
 こうした話を常にするのだった、ほぼ毎日。それをモンサルヴァート家の使用人達は見ていてだ、そのうえで言うのだった。
「まただな」
「ああ、まただな」
「あの方々も飽きないな」
「全くだよ」
「毎日毎日旦那様のところに来られてな」
「そしてお話するなんてな」
「本当にな」
「心配性だよ」
 こう話すのだった、物陰で。
 そのうえでだ、彼等はこうも言った。
「それに旦那様も」
「ああ、毎日な」
「嫌なお顔一つされずお話を聞かれてな」
「本当に凄いな」
「旦那様もな」
「旦那様はお優しい方だが」
 モンサルヴァートは使用人達には極めていい主だ、温厚で怒ることもない。そしてあれこれ言うこともない。
「しかしな」
「ああして毎日いつも言われてもな」
「嫌なお顔になられないとな」
「我々ではな」
「とてもな」
「ああはいかない」
「顔に出てしまう」
 どうしても、というのだ。
「そこをな」
「ああして温和に接しておられるなんてな」
「旦那様もな」
「非常にな」
「素晴らしい方だ」
「本当にな」
 こう話すのだった、そして。
 彼等が去ってからモンサルヴァートのところに行ってコーヒーを出す。しかし彼の表情はそれでもであった。
 全く変わっていなかった、そうして。
 モンサルヴァートはその彼等にだ、こう言った。
「今日はもういい」
「いいとは」
「それでは」
「休んでくれ」
 穏やかな声での言葉だった。 
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