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おたく☆まっしぐら 2016年の秋葉原

作者:本郷明
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アキバで働くということは

 
前書き
本郷くんアキバで再就職! 
まぁ、安定のジャパニメイトですよ。ほんとはメ○ンとかでもよかったんだが、ゴロはジャパニメイト最高! 

 
前回、秋葉原でこの世界を知るために使った総額は次元連結で得たお金を尽きさせるには十分なものであった。
棚のところかしこにフィギュアが並ぶ。
明「むぅ……しかし、これしきで!」
そう、今日は本郷の初出社日。彼の服はどこへ行こうとも変わらない。黒色のシャツとズボン。コレを何着も持っている。
秋葉原に来てはや一週間。本郷もようやくこの世界に慣れてきていた。
とはいえ、働かなければお金がない。
明「さて、ここか……」
ジャパニメイト秋葉原店。
そう、かつて本郷はここで働いていた。しかし、世界が変わればいろいろ変わる。
店先に立ち、意を決して中に入る。
中は濃密な空間。一般書店とは趣が違い、コアな漫画からエロ同人まで多数のジャンルが取り揃えられている。
明「古巣に戻ってきた感じだ」
彼はオーラを探る。店内にひときわ高いオーラ力を発揮する中年の姿があった。
???「君は……」
明「今日バイトの面接に来た。本郷だ」
???「私はジャパニメイト秋葉原店の店長をしている。アニメは好きかい?」
店長の熱い眼差しが本郷を見つめる。彼の自信に満ち足りたその眼差しはまっすぐだ。
明「そのために世界を超えてやってきた」
店長「採用! 即日働いてくれ!」
明「はっ! この骨身が朽ちようとも!」
本郷は不敵な笑みをたたえて声を張り上げた。

採用となり、本郷は仕事をこなしていく。
接客、棚出し、倉庫整理、テキパキとこなす姿は熟練そのもの。
お客「店員さん! オススメのエロ本ありますか!」
明「それでしたら、コチラ『幼○ファック紀行』はどうでしょう。この臨場感を味わわずして、幼○のナニを語るというのでしょうか」
彼は満足して店を出た。
お客「このカップリングの本全部出して!」
明「かしこまりました。コチラがそれになります」
仕事は速い、本郷。瞬く間に客の注文(わがまま)を捌いていく。
本郷は仕事をしながらさまざまなマンガを見つめる。2006年の時よりも遙かに増加した創作物。マンガだけでない、ゲームも小説も、それこそウェブもある。
アマチュア達が書き続ける作品も含めればそれこそ無尽蔵であろう。
???「本郷さんあがりですよ」
後ろから声をかけられる。
明「もうそんな時間か」
本郷が時計を見つめると既に退勤時間だ。
目の前に制服姿にエプロンをした女が出現する。
ジャパニメイトには制服はない。動きやすい服に店のエプロンを着けるスタイルだ。
彼女はコスプレとして制服を着ているのだ。
未成年ではない! 断じて!
???「ほんとに新人ですか? 嘘ついてません?」
笑みを浮かべるは先輩アルバイト 望月 ちはる。
見た目は茶髪ロングのチャラい女だが、本郷の仕事ぶりを見つめるその視線は仕事そのものだ。
明「以前、似たような仕事をしていただけだ」
ちはる「そうなんですね。ほんと覚えてもらえないこと多くって」
明「これだけ作品が増えるとな。把握するだけで大変だろう」
ちはる「ええっ、そうそう今期のアニメの同人誌ってどこおいてましたっけ?」
明「あっちの棚の下にある」
ちはる「ありがとうございます! まだ入ったばかりなのに」
明「俺は漢。配置された物で推察くらいできる」
ちはる「おみそれしました。じゃあ、交代です!」
明「あとは頼みます」
本郷はその任を解かれる。本日の労働は終了だ。
バックヤードに戻っていく本郷の姿を望月は眺める。
ちはる「今日入ってなんで、自分の管轄以外の棚まで知ってるのよ……」

夕方の秋葉原。中央通りを駅に向かって歩いていく。
会社帰りのサラリーマン、学生に、婦女子、外国人。ここは以前のアキバではない。
現実の世界。不思議がないアキバ。
本郷はその中を歩いていく。
明「変わったな、そう何もかも」
そのつぶやきは誰に聞かれることもなく秋葉原の喧騒にかき消される。
秋葉原は大きく変わっている。今も昔も、世界を超えても。
本郷は歩く。
幻想の世界との境界線、秋葉原の今を本郷は見つめている。 
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