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ハイスクールD×D ~赤と紅と緋~

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第1章
旧校舎のディアボロス
  第4話 親友の秘密、知りました!

「あ、明日夏!」
「──無事か、イッセー?」

 見た感じ、怪我はなさそうだな。

「──貴様、何奴だ? 見たところ人間のようだが。なぜそのはぐれをかばう?」
「答える義理なんてないだろう?」

 俺は後ろにいるイッセーに気を配りながら言う。

「あ、明日夏! こ、これは一体? てか、なんでここに? そいつは一体なんなんだよ!?」
「いっぺんに訊くな! 説明はあとでするから、いまは黙って俺の後ろにいろ!」
「あ、ああ!」

 混乱しているだろうイッセーをどうにか落ち着けて、俺は堕天使を見据える。

「フン。まぁいい。人間ごときができることなど、たかが知れている。邪魔だてするのなら、まとめて始末すればいい」

 堕天使は光の槍を手にしながら言う。
 ──随分となめられたもんだ。まぁ、油断してくれるのならやり易くなるけどな。

「くたばるがいい!」

 堕天使は俺に向けて槍を投げ放とうとする。
 その表情には「避ければ後ろにいるイッセーが死ぬ」と言いたそうな邪悪な笑みを浮かべていた。

「ハッ!」

 堕天使が手に握る槍を放ってきた。
 確かに避ければイッセーが死ぬ──。

 ギィン!

 なら、避けないで対処すればいいだけだ!

「弾いただと!?」

 堕天使は俺が取り出したナイフで槍を弾いたのを見て驚愕する。

「ならば出力を上げるまでだ!」

 堕天使はすぐさまさっきよりも光が濃い槍を作り出し、投げつけようとしてくる。
 俺はそこへ別のナイフを二本投げつける!

「こんなもの!」

 堕天使はすぐに反応し、槍でナイフを弾いた瞬間──。

 ドォォンッ!

「ぐおぉっっ!?」

 ナイフが爆発し、堕天使は爆風をもろにあびる。
 さっきイッセーを助けた爆発も、いまのナイフ──衝撃や異能の力に反応して起爆する『バーストファング』によるものだ。
 俺はその場から駆け出す!
 爆風で吹き飛ぶ堕天使に肉薄し、スーツを掴んで引き寄せる。

 ドォォッ!

「ぐほぉぉっ!?」

 そのまま拳による寸勁を打ち込む!
 堕天使を吹き飛ばした俺は、後方に何回も跳んでイッセーの前に降り立つ。

「・・・・・・ぐおおお・・・・・・っ!? ・・・・・・き、貴様ぁぁぁっ・・・・・・!」

 堕天使は胸を押さえながら、憤怒の表情で俺を睨む。
 堕天使はそのまま怒りに任せて、槍を作り出そうとするが──。

「その子に触れないでちょうだい」

 その場にかけられた声に中断された。
 少し離れた場所に声の(あるじ)──リアス・グレモリー先輩がいた。

「・・・・・・紅い髪・・・・・・グレモリー家の者か・・・・・・」
「リアス・グレモリーよ。ごきげんよう、堕ちた天使さん」

 堕天使は爆風で吹っ飛んだ帽子を拾いながら不敵に笑む。

「・・・・・・ふふっ。これは・・・・・・この町がグレモリー家の次期当主の管轄であったとは・・・・・・。そこの悪魔はそちらの眷属、その者は契約者と言ったところか?」

 堕天使は帽子に付いた埃を払いながら言う。
 俺は別に契約者ってわけじゃないんだがな。

「その子にちょっかいを出すのなら、容赦しないわ」
「ま、今日のところは詫びよう。だが、下僕は放し飼いにしないことだ。私のような者が、散歩がてら狩ってしまうかもしれんぞ?」

 堕天使は帽子をかぶり直しながら、上から目線な物言いをする。

「ご忠告痛み入るわ。でも、私のホームで今度こんなマネをしたら、そのときは躊躇なくやらせてもらうから──そのつもりで」

 グレモリー先輩は視線を鋭くして堕天使を睨む。
 堕天使も怯まず、グレモリー先輩を見据える。

「そのセリフ、そっくりそちらに返そう、グレモリー家の次期当主よ。我が名はドーナシーク。再び(まみ)えないことを祈ろう」

 そう言い、堕天使ドーナシークはこの場から飛び去っていった。


―○●○―


 翼を生やした男が去ってからも、俺はいまだに混乱の最中(さなか)にいた。
 ──何がどうしてこうなったんだ・・・・・・?
 松田と元浜に連れられてエロDVDを見に行って、途中で抜け出して、体の変化に混乱して当てもなく走ってたら夕麻ちゃんと最後に来た公園に着いて、変な男に追いかけられて殺されそうになったら親友が駆けつけてきて、アクション映画ばりの戦いを繰り広げたと思ったら、そこにリアス先輩が現れて、男はどっかに行ってしまった。──いっぺんにいろいろありすぎて、もうわけわかんねぇよ! 夢だよな!? 夢なんだよな!

「──混乱してるところ悪いが、これは夢じゃねぇよ」

 俺の心を見透かしたように明日夏が言う。

「もう一度確認するが、ケガはねえな?」
「あ、ああ・・・・・・」
「なら、いいが」
「いや、よくねぇよ! これは一体なんなんだよ!? なんでリアス先輩がここにいるんだよ!」
「あぁ・・・・・・」

 明日夏はリアス先輩のほうを見る。
 リアス先輩はそれを見て、仕方がないといった感じの笑みを浮かべる。

「まぁいいわ。もう少し時間を置こうかと思ったけど、こうなっては仕方がないわね。兵藤一誠くん」
「あ、は、はい」
明日(あす)、いままでのことを説明してあげるわ」

 ・・・・・・いままでのこと・・・・・・?

「先輩、俺のほうでできる範囲の説明をしておきましょうか?」
「そうね。話したことのないヒトよりは、落ち着いて聞いてくれるかもしれないし、お願いするわ」

 俺をよそに、明日夏と先輩でどんどん話が進んでいた。

「使いを出すから、彼と一緒に来てちょうだい」

 リアス先輩はそういうと、足元に紅く輝く魔法陣のようなものを展開する。

「じゃあ、放課後にまた会いましょう」

 その言葉を最後に、リアス先輩はどこかへと消えていってしまう。

「さて・・・・・・おまえをほっぽって話を進めちまって悪いな」

 明日夏が後頭部を掻きながら謝ってくる。

「・・・・・・いや、まぁ・・・・・・ちゃんと説明してくれるならいいけどよ・・・・・・」

 正直、まだ混乱してて、まともな判断とかできそうになかったからな。
 明日夏は左手を左の方向に伸ばす。よく見ると、中指にシンプルな指輪がはめられていた。
 すると、指輪の宝石部分が光り、魔法陣のようなものが出てきた!
 魔法陣が明日夏の体を通過すると、コート姿から駒王学園の制服姿になってしまった!
 な、なんだよ、ありゃ!?

「説明は一度帰ってからゆっくりするつもりだが・・・・・・それとも、いますぐがいいか?」
「いや、一旦落ち着かせてくれ・・・・・・」

 いまの状態で聞けば、さらにパニックになるだけのような気がする。

「でも・・・・・・これだけはすぐに聞かせてくれないか?」
「なんだ?」
「おまえって・・・・・・一体何者なんだ?」


―○●○―


 俺は現在、明日夏の(うち)のリビングで椅子に座っていた。テーブルを挟んで、対面には明日夏と千秋がいる。
 あのあと、一旦(うち)に帰って落ち着いてから、説明を受けるためにこうして明日夏の(うち)に来た。
 それから、あの場で明日夏にした質問だけど──。

 ──それについては、千秋も一緒で説明させてもらう。

 と答えられた。
 千秋もってことは──冬夜さんと千春さんも関係あるってことなのか?

「さて、何から話すか」

 明日夏たちのことは──最後に訊くか。

「・・・・・・じゃあ・・・・・・あの翼を生やした男について教えてくれ・・・・・・」

 リアス先輩は堕ちた天使って言ってたけど。

「あれは堕天使。神に仕える天使が欲を持ち、その身を天から地に堕とした存在だ」

 天使に堕天使ときたか。明日夏の雰囲気から冗談ではなさそうだな。

「──天野夕麻」
「っ!?」

 明日夏が口にした夕麻ちゃんの名を聞いて、俺はテーブルに身を乗り出して明日夏に詰め寄ろうとしてしまう!

「ど、どうして!? おまえ、知らないって──」

 グイッ。

「──落ち着け」

 俺がそう詰め寄るだろうと予想していたのか、明日夏は淡々と俺を手で押しのけながら言う。

「──そのことに関しては悪かった・・・・・・」
「・・・・・・ゴメン・・・・・・イッセー兄・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

 二人に謝罪をされてしまったので、俺は明日夏の言う通り、一旦落ち着く。
 ていうか、千秋も本当は知っていたんだな。

「・・・・・・知らないフリをしていたのは、グレモリー先輩に止められていたからだ」
「先輩に?」
「ああ。理由を説明するにはまず、天野夕麻のことを説明してからだな」

 そうだ! 二人が夕麻ちゃんのことを覚えていたってことは、夕麻ちゃんは実在していたってことになる!
 でも、だとしたら、松田と元浜が覚えてないのはなんでだ? なんで二人だけ──いや、それも明日夏たちの秘密に関係あるってことなのか?

「おまえ、天野夕麻とのデートのことは覚えているな?」

 それを訊かれてハッとする。
 もし、あの夢が本当は現実だとしたら──。

「・・・・・・夕麻ちゃんも・・・・・・堕天使だって言うのか・・・・・・?」

 俺の脳裏に黒い翼を生やした夕麻ちゃんの姿が浮かびあがる。夕麻ちゃんの翼と今日出会った男の翼は全く同じものだった。

「ああ。あの女──天野夕麻も堕天使だ」

 なんか、明日夏のもの言いにトゲが感じられた。
 ──て、ちょっと待て!

「仮にあのデートが本当のことだったとして──なんで俺は生きてるんだ!?」

 あのとき、俺は彼女の光の槍で貫かれた! どう考えても、生き残ることなんて無理なはずだ!

「そこからは、グレモリー先輩の正体にも触れながら説明する」

 そこでリアス先輩の正体に触れるのか?
 俺のこととリアス先輩──なんか関係・・・・・・あるのか?

「まず、グレモリー先輩の正体だが──あのヒトは──悪魔だ」
「あ、悪魔・・・・・・?」
「『悪魔の契約』で有名なあの悪魔だ」
「それってつまり・・・・・・リアス先輩は人々の願いを叶えては魂を奪っていくヒトだって言うのか・・・・・・?」

 俺の頭の中に邪悪な笑みを浮かべて人々の魂を奪うリアス先輩の姿が浮かぶ。

「あ、最近じゃ、魂を対価にするような契約はほとんどないらしいぞ。基本的に対価はそこらで手に入る普通の物品で済まされてるらしい」
「えっ、そうなの」

 なんか、イメージをぶち壊されたような・・・・・・。

「そして、グレモリー先輩は悪魔の中でも上級の階級を持つ上級悪魔で、この町を縄張りに活動している」
「えっ、それって、この町が悪魔に支配されてるってことか?」
「いや、別に支配してるわけじゃねぇよ。契約をとるための活動場所として管理しているだけだ」
「そうなのか。で、リアス先輩がその悪魔だとして・・・・・・俺とどう関係が?」
「おまえ、自分の身の変化に気づいてるか?」
「ッ!?」

 そう問われた俺は、今日のことを思い出す。
 暗い場所がよく見えたり、遠くの声がよく聞こえたり、走力が上がっていたり、とにかく身体能力が異様に高まっていた。

「単刀直入に言う。おまえはあのとき、一度死んだ。そして、生き返った──いや、転生したと言うべきか。──悪魔にな」


―○●○―


「・・・・・・落ち着いたか?」
「・・・・・・ああ」

 自分が悪魔になってしまったことにパニックを起こしてしまったイッセー。
 まぁ、無理もないか。立て続けに起こった事態にいま知った真実、これだけでも驚愕ものなところに、しまいには自分が死んで悪魔に転生したなんて言われれば、そりゃパニックにもなるな。
 いまは俺が淹れたお茶を飲んで落ち着いている。

「説明再開していいか?」
「あ、ああ」

 確認をとり、イッセーが頷くのを見ると、俺は説明を再開する。

「まず、グレモリー先輩のような上級悪魔には、眷属っていうのを持っているんだ」
「眷属?」
「直属の部下みたいなもんだな。で、その眷属を得るのに、他種族を悪魔に転生させる場合がある──いや、ていうか、ほとんどが他種族の転生体だな。特に人間」
「じゃあ、俺はリアス先輩のその眷属として悪魔になったってことか?」

 一旦落ち着いたことで冷静になり、すぐにそこへ至ることができたようだな。

「ああ。悪魔への転生は死んだ者さえも生き返らせることができるからな」
「てことは、リアス先輩は俺の命の恩人ってことになるのか?」
「そうだな」

 俺はあるものをテーブルの上に置く。

「こいつを覚えてるか?」
「あっ、それって!」

 俺がテーブルの上に置いたのは、『あなたの願いを叶えます!』と言う謳い文句と魔法陣が描かれたチラシだった。

「どうして、おまえが?」
「あー、そのへんに関してはノーコメントで・・・・・・」

 これはあの日、イッセーと天野夕麻の尾行をしていた千秋が受け取ったものだ。あのとき、千秋は変に暴走して冷静じゃなかったため、何を願うかわかったものではなかったので、俺が慌てて没収したのだ。

「でだ。このチラシは悪魔と契約を結ぶために悪魔を呼び出すことができる魔法陣だ。本来は自分で魔法陣を描いて願いを叶えてもらうものなんだが、いまどき、そんな人間いないからな。お手軽にしようと、こんなふうに簡易版にしたらしい」
「なんか、ファンタジー観がぶち壊しじゃね?」

 ・・・・・・そこは現代社会に合わせたって言ってやれ。

「あの日、おまえもこれを持っていただろ?」
「ああ、そうだけど。なんで、知ってんだ?」
「おまえが死んだあの場に俺がいて、その魔法陣からグレモリー先輩が現れる瞬間を見ただけだ」

 本当はデートを尾行してたからなんだがな。

「そういえば、あのとき、意識が朦朧としてきたときに、おまえの姿を見かけたな。なんでおまえがあの場に?」
「・・・・・・いやな胸騒ぎがしてな。おまえのデートプランと時間から場所を特定して急いで向かって・・・・・・そして、おまえが殺された瞬間という最悪な場面だったってだけだ。・・・・・・・・・・・・俺がもっとしっかりしていれば、おまえは死なずに済んだかもしれなかったのに・・・・・・!」

 俺はあのときの不甲斐なさを思い出し、血がにじむほど拳を握りしめる。
 千秋も悔しそうな表情でうつむいていた。

「ふ、二人とも、そんなに気に病むなよ! ほら、こうして俺は生きてる──ていうか、生き返ったわけだから、結果オーライってことで!」

 ・・・・・・おまえがいいとしても、俺たちにとってはそうもいかねぇんだよ。

「ほ、ほら! 説明! 説明の続き頼むよ!」

 イッセーに催促されたので、とりあえず、説明を再開する。

「とにかく、おまえは瀕死の状態で何かを思い、このチラシでグレモリー先輩を呼んだんだ。そして──あとはわかるだろ?」
「──先輩が俺を悪魔として生き返らせてくれたってことか」
「そういうことだ。そして、その変化に自力で気づいてもらうために、いままでのことを黙っているようにグレモリー先輩に言われたんだ」
「とりあえず理解はしたよ。でも、なんで堕天使が俺の命を?」

 次はその説明か。

「堕天使がおまえを狙った理由は──『神器(セイクリッド・ギア)』だ」
「・・・・・・せい、なんだって・・・・・・?」
神器(セイクリッド・ギア)──特定の人間に宿る規格外の力のことだ。歴史上の人物には、それをもって名を残した者がいたりするんだぜ」
「マジで・・・・・・そんなものが俺に・・・・・・?」
「そうらしい。本人が話したからな。で、おまえの持つ神器(セイクリッド・ギア)は堕天使たちにとっては危険因子だったらしくてな」
「・・・・・・それで殺されたと・・・・・・」

 こっからは、こいつにとってはキツイ内容になってしまうが、言うべきだろうな。

「・・・・・・天野夕麻──あの女はおまえの持つ神器(セイクリッド・ギア)が本当に危険因子なのかどうか調べるためにおまえに近づいた」
「ッ!?」
「・・・・・・おまえに見せた表情も仕草も・・・・・・全部おまえに近づくための演技だったってわけだ。そして、役目を終えた天野夕麻は、堕天使の力を使い、記憶などの自身の痕跡を消した。俺たちを除いて、松田や元浜が覚えてなかったのもそのためだ」

 イッセーは目に見えてショックを受けていた。
 こいつが天野夕麻を大事にしようとしていたのは、デートの相談を受けたときに把握していた。その想いは本気の本気だった。
 イッセーは数刻ほど落ち込むと、笑顔を見せてきた。・・・・・・それが空元気なのが、俺と千秋にはわかってしまう。
 イッセーは話題を変えてくる。

「それにしても・・・・・・俺にそんなものがあるなんてな・・・・・・」
「確かめてみるか?」
「えっ、できんの!?」
「ああ。そんなに難しいことをする必要はないぞ」
「──何をすればいいんだ?」
「まず、目を閉じて、おまえの中で一番強い存在を思い浮かべろ。軽くじゃなく強くだぞ」

 イッセーは目を閉じて、何かを思い浮かべ始める。
 たぶん、ドラグ・ソボールの主人公、空孫悟だろうな。
 昔っから、世界最強だって言って譲らなかったからな。

「思い浮かべたか?」
「ああ」
「じゃあ、悟の真似をしろ」
「は?」

 俺が言ったことにイッセーは素っ頓狂な声をあげる。

「思い浮かべたの、空孫悟だろ?」
「・・・・・・そうだけど。なぜわかった? ──ていうか、真似って・・・・・・」
「千秋もそうして出せるようになったからな・・・・・・」
「えっ、千秋も神器(セイクリッド・ギア)を!?」

 イッセーの言葉に千秋は頷く。

「千秋だけじゃなく、俺や兄貴、姉貴も持ってるぞ」
「おまえや二人にも!?」

 どういうわけか、俺たち兄弟全員に神器(セイクリッド・ギア)が宿っている。

「それは別にいいだろ。さっさとやれ」
「えぇ・・・・・・」

 俺は渋るイッセーに言う。

「どのみち、明日(あす)、グレモリー先輩のところでも同じことをやることになると思うぞ。そしておそらく、先輩の他の眷属もいる前で──」
「やります! やらせていただきます!」

 イッセーは立ち上がると、両手を合わせ、腕を引いた構えをとる。

「ドォォラァァゴォォォォン波ァァァァァッ!」

 その叫びと同時にイッセーは手を前に突き出す。
 空孫悟の必殺技であるドラゴン波だ。悟の代名詞といってもいいと言われている。
 これを知り合い以外の前で真似るのは・・・・・・かなりの羞恥プレーだろうな。
 そして、イッセーの左手が光り輝き、光が形を成していく。

「こ、これが・・・・・・」
「ああ。おまえの神器(セイクリッド・ギア)だ」

 イッセーの左手には、赤色の籠手のようなものが装着されていた。手の甲の部分には、緑色の宝玉がはめ込まれている。
 これがイッセーの神器(セイクリッド・ギア)か。
 俺は籠手を見て、内心で疑問に思う。
 感じられる波動から、堕天使が危惧するような代物だとはとうてい思えなかったからだ。
 発現が甘いのか?

「一度出せば、あとは自分の意思で出し入れできるぞ」

 そう言ってやると、イッセーは籠手を消したり、出したりを二、三回繰り返してから籠手を消した。

「とりあえず、こんなもんだろ。悪魔や堕天使についてのもっと詳しい内容は、明日、先輩から聞いてくれ」
「ああ、わかったよ」

 さて──。

「──いよいよ、俺たちのことか・・・・・・」
「・・・・・・ああ」

 そして俺は、俺たち兄弟の秘密をイッセーに打ち明けたのだった。 
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