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デュエル・マスターズ~龍を使役する少年の物語~

作者:ガタック
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第7話:墓地利用対決! 龍牙vs拓真っ!

 
前書き
 お、待たせしましたぁぁぁぁぁッ!
 え?別に待ってないって?
 それは言わないで下さいよ~。
 すいません!調子に乗りました。はい。
 だから、この作品読まないとか、そんな悲しいこと言わないで下さい。
 何気に感想がなくて寂しいんですよ~。
 んで、更新遅れた理由は今回めっちゃ長く書いたこととテストがあったからです。
 ほんと、すいません!
 と言う訳で(どう言う訳?)、第7話どうぞ! 

 



 先攻龍牙の2ターン目。
 龍牙のバトルゾーンはまだ何もなし、シールドは5、マナは1、手札は5。

 対する拓真のバトルゾーンはまだ何もなし、シールドは5、マナは1、手札は5。

「俺のターン。ドロー」

 山札からカードを引いた龍牙は拓真のマナゾーンに置いてあるカード―――《キャロルの空中(フライング)ライブ》を見る。

(火と水の多色カード……まだ、はっきりしないが、とりあえず、ハンデスをするか…)

 脳裏でそんなことを考えながら龍牙は手札から1枚、マナに貯めて2枚にし、その2枚をタップ。

「《速攻人形ジェニー》を召喚」

 現れたのは右手に特殊なギター型のチェーンソーを持った髪の長い金髪の少女の姿をした人形《速攻人形ジェニー》。

「《ジェニー》の登場時効果で、《ジェニー》自身を破壊し、お前の手札を1枚捨てさせるッ…!」
「くッ…!」

 現れた《ジェニー》は直ぐ様爆発し、拓真の手札を1枚捨てさせる。

 この時、龍牙は拓真の手札から捨てさせたカードを見る。

(…墓地に行ったのは《クロック》か。見た所、アウトレイジデッキ…か?それだと、あまりハンデスは役に立たないな)
「ターンエンド」
「俺のターン。ドロー」

 拓真の2ターン目。
 山札からカードを引き、手札から1枚マナに貯めて2枚にし、その2枚をタップ。

「呪文、《エマージェンシー・タイフーン》」

 拓真が唱えた呪文は《エマージェンシー・タイフーン》。
 その能力は山札から2枚引き、手札から1枚墓地に置く能力。

「その能力で山札からカードを2枚ドロー。その後、手札から1枚墓地へ」

 山札から更にカードを2枚引き、手札から1枚墓地に置く拓真。

 それを見た龍牙は墓地に行ったカードを見る。

(…《シンカイタイフーン》?。となると、墓地ソースか?それなら、余計にハンデスはできないな)
「俺はこれで、ターンエンド」
「…俺のターン。ドロー」

 拓真から龍牙にターンが移り、龍牙はカードを引き、1枚マナに貯めて3枚にし、その3枚をタップ。

「《停滞の影タイム・トリッパー》を召喚」
「なっ!?《タイム・トリッパー》!?」

 龍牙の出したクリーチャーに拓真は驚いてしまった。
 何故なら龍牙が出したクリーチャー―――《停滞の影タイム・トリッパー》は拓真のマナゾーンにカードが置かれる時、そのカードはタップして置かれる能力を持っているからだ。
 つまり、《タイム・トリッパー》を倒さない限り拓真は龍牙より1ターン遅れて行動することになる。

「…ターンエンド」
「俺のターン!ドロー!」

 勢いよくカードを引き、手札から1枚タップしてマナに貯めて、アンタップ状態の2枚をタップ。

「……《一撃奪取(スタートダッシュ) マイパット》を召喚」

 現れたのは機械的な椅子に乗った無法者(アウトレイジ)《一撃奪取 マイパット》。
 その能力は《トップギア》、《ブラッドレイン》の水版。

「…ターンエンド」
「俺のターン。ドロー」

 再び龍牙のターンに移り、山札からカードを引き、手札から1枚マナに貯めて4枚にし、その内3枚をタップ。

「呪文、《ボーンおどり・チャージャー》。山札から2枚を墓地へ!チャージャー能力で《ボーンおどり・チャージャー》をマナゾーンに!」

 山札から墓地に置かれたカードは《西部人形ザビ・バレル》、《爆弾魔 タイガマイト》の2枚。

(チッ、《ヘルボロフ》はなしか。まぁ、あまり期待してなかったが…)

 墓地に置かれたカードを見て龍牙は自身の切り札《ヘルボロフ》が墓地に来なかったことに苛立つもすぐに気持ちを切り替える。

「…《一撃奪取 ブラッドレイン》を召喚。ターンエンド」
「俺のターン!ドロー!」

 山札からカードを引き、手札から1枚タップしてマナに貯めて、先程と同じようにアンタップ状態の3枚をタップ。

「《マイパット》の能力で1体目の水のクリーチャーのコストを1低減!《日曜日よりの使者(ビューティフル・サンデー) メーテル》を召喚!」

 現れたのはずっと日曜日が良いと望む無法の少女《日曜日よりの使者 メーテル》。
 その能力は自分がカードを引く時、1枚のかわりに、2枚引いてから自分の手札を1枚捨てる能力。
 つまり、拓真は毎ターン、カードを引く時、2枚引けるのだ。そのかわり、手札から1枚墓地に捨てなければならないが、今の拓真にとって、そこは重要ではない。
 重要なのは“手札”より“墓地”である。

(今、俺の墓地には《シンカイタイフーン》と《クロック》の2枚。次のターン、《メーテル(コイツ)》さえ残れば、“アイツ”を出せるっ…!)
「その顔は何か策があるみたいだな」

 拓真の思考をまるでわかりきっているかのように突然、龍牙は口を開く。
 それを聞いた拓真は一瞬驚くも直ぐ様表情をもとに戻す。

「えぇ。うまくいけば、俺の“切り札”が出せますからね…」
「…そうか。それなら楽しみにしている。それでターンエンドか?」
「…はい」

 拓真の返事を合図に龍牙は山札からカードを引き、一度拓真のバトルゾーンにいる《メーテル》に視点を向ける。

(…《メーテル》。厄介な奴が出たな)

 そこまで考えると龍牙は自身の手札を見る。
 今の龍牙の手札は先程山札から引いたカード《白骨の守護者ホネンビー》の1枚のみ。
 はっきり言って今の龍牙の手札には《メーテル》を除去するカードがない。

(次のターン、アイツは間違いなく動く。となると、こっちは必然的に守りに入らないと負ける…が、ここで《ヘルボロフ》さえ墓地に行けば、俺にも勝機がある!)

 そこまで考えると龍牙はマナを貯めずマナを3枚タップさせて《ホネンビー》をバトルゾーンに出す。

「《ブラッドレイン》の能力でコストを1低減!《白骨の守護者ホネンビー》を召喚!その能力で山札から3枚を墓地へ!」

 1枚目、《拷問ロスト・マインド》。

 2枚目、《呪英雄 ウラミハデス》。

 そして、3枚目。

「………」

 恐る恐る3枚目を捲る龍牙。
 ―――結果は、

「ッ…!」

 呪文の《デーモン・ハンド》だった。

「クソッ!《ザビ・バレル》を手札に!ターン…エンド…」

 目当てのカードを引けず龍牙は毒舌し、《ザビ・バレル》を手札に加えてターンを終える。

「俺のターン!ドロー!《メーテル》の能力で1枚のかわりに2枚ドロー!その後、手札から1枚墓地へ!捨てるカードは勿論、《疾風怒闘(スパイラルアクセル) キューブリック》だ!」

 手札から墓地に置かれたのは自分のマナゾーンに火、または水のカードがそれぞれ3枚以上ある時に能力が発動する火と水の多色クリーチャー《疾風怒闘 キューブリック》。
 特にこのクリーチャーが墓地に置かれた時、マナゾーンに水のカードが3枚以上あれば、バトルゾーンにあるクリーチャーを1体、手札に戻すことができる。

「捨てられた《キューブリック》の能力発動!俺のマナゾーンに水のカードが3枚以上あるので、黒炎さんの《タイム・トリッパー》を手札に!」
「ッ…!」

 モルトの宣言で龍牙の《タイム・トリッパー》は手札に戻された。

(このタイミングで《タイム・トリッパー》?まさか!?)

 それを見た龍牙は《タイム・トリッパー》を手札に戻されたことに苦情する。
 理由は現在の拓真の手札は3枚。マナは4枚。そして、マナゾーンにカードを貯めれば5枚になる。
 状況から見てこのターンで仕掛けるつもりだ。
 脳裏でそう察した龍牙は身構える。

 対する拓真は龍牙の読み通り、手札から1枚マナに貯めて5枚にし、その5枚を全てタップさせる。

「呪文《スクランブル・タイフーン》!その能力で5枚ドロー!だが、《メーテル》の能力で5枚のかわりに10枚ドロー!」

 唱えた呪文は《エマージェンシー・タイフーン》の強化版《スクランブル・タイフーン》。
 その能力は山札から5枚引き、手札から3枚墓地に置く呪文。
 これにより拓真は手札と墓地を増やせるが、《メーテル》の能力で更に山札から5枚、計10枚引ける。

「その後、《スクランブル・タイフーン》の能力を合わせて、手札から8枚墓地へ!」
(来る!)

 拓真はこのターン、山札から6枚以上引いた。そして、墓地にはクリーチャーが6枚以上ある。
 この状況で出せるクリーチャーは2体存在する。

「“G(グラビティ)・ゼロ”、発動!《百万超邪(ミリオネア) クロスファイア》と《天災超邪(ビリオネア) クロスファイア2nd(セカンド)》2体をバトルゾーンに!」

 ―――それはコストを支払わずにただで場に出せる2体の無法者(アウトレイジ)《百万超邪 クロスファイア》と《天災超邪 クロスファイア2nd》の2体だ。
 この2体はG・ゼロと言う能力を持ち、条件さえ満たしていれば、ただでバトルゾーンに出せる。

(やはりきたか!《クロスファイア》と《クロスファイア2nd》!この状況で場に出せるのはコイツらだけだからなっ…!)

 2体の無法のドラゴンがバトルゾーンに降臨したことに龍牙は驚くもこの2体が場に出ることを予知していた。
 理由は何やら拓真は墓地を気にしていた。明らかに墓地を使った戦術だと、すぐにわかった。
 だが、ターンが進むにつれ、拓真のマナゾーンには闇文明がなかった。
 本来墓地を主体にしたデッキは大抵闇が入るが、拓真のデッキはそうではない。
 どちらかと言えば、手札を入れ換えつつ、墓地を増やしたデッキ。
 そして、そこに《百万超邪 クロスファイア》を主軸に墓地を利用したデッキ。通称〝墓地ソース〟。

 龍牙のデッキは墓地からクリーチャーをリアニメイトするため、墓地を増やすデッキ―――〝黒単ヘルボロフ〟。
 だが、拓真のデッキは墓地を増やして、手札から強力なクリーチャーをG・ゼロで出すデッキ―――墓地ソースだ。
 同じ墓地を利用するデッキでも、切り札が違えば、戦い方がこうも違うとは、まさにこのことだ。

「更にバトルゾーンにアウトレイジがいるのでG・ゼロ発動!呪文《無法の裏技ドドンガ・ドン》!」

 そんなことを知らず拓真は更に呪文を唱える。
 唱えた呪文は先程の《クロスファイア》、《クロスファイア2nd》同様、G・ゼロを持つ呪文《無法の裏技ドドンガ・ドン》。
 その能力は自分のクリーチャー1体は「パワーアタッカー+3000」を得、タップされていないクリーチャーに攻撃できる能力。

「その能力で《クロスファイア》はタップされていないクリーチャーに攻撃できるっ!」

 その能力で選んだのは先程出した《クロスファイア》。
 言い忘れていたが、《クロスファイア》、《クロスファイア2nd》の2体は“スピード・アタッカー”を持っている。
 その能力は出したターン、すぐに攻撃できるのだ。
 つまり、《クロスファイア》、《クロスファイア2nd》の2体はすぐに攻撃に参加でき、尚且つタップされていない《ホネンビー》に《クロスファイア》は攻撃できるのだ。

「《クロスファイア》で《ホネンビー》に攻撃!この瞬間、“アタック・チャンス”発動!」
(このタイミングでアタック・チャンス!?まさか!?)

 《クロスファイア》が《ホネンビー》に攻撃する瞬間、拓真は手札から最後の1枚のカードを龍牙に見せる。

「呪文《無法秘伝 悪・即・斬》!」

 見せられたカードは自分のアウトレイジが攻撃する時にただで唱えられるアタック・チャンス呪文《無法秘伝 悪・即・斬》。
 その能力は自分のクリーチャーを1体選び、そのクリーチャーがゴッドに勝つたび、またはゴッド以外のクリーチャーに初めて勝った時アンタップする能力。

 よって、《クロスファイア》の攻撃で《ホネンビー》はバトルに負けて破壊。
 破壊された《ホネンビー》は龍牙の墓地に。

「《悪・即・斬》の能力でバトルに勝った《クロスファイア》をアンタップ!
 そのまま、黒炎さんのシールドに攻撃!W・ブレイク!」

 アンタップされた《クロスファイア》を再度タップし、今度は龍牙のシールドに攻撃。

 攻撃された龍牙は2枚のシールドの中にトリガーがあるか確認する。

 ―――だが、

「……トリガーはなしだ…」

 トリガーはなかった。

「《クロスファイア2nd》でシールドを攻撃!W・ブレイク!」

 それを聞いた拓真は《クロスファイア2nd》で龍牙のシールドに攻撃。

 攻撃された龍牙は先程と同じようにトリガーがあるか確認する。

 1枚目はS・トリガーがなく、2枚目を恐る恐る表向きに捲る龍牙。

 ―――結果は、

「ッ!?」

 トリガーだった。

「S・トリガー発動!呪文《地獄門デス・ゲート》!まだ攻撃していない《メーテル》を破壊ッ!」

 捲られたカードの効果でまだ攻撃していない拓真の《メーテル》が地獄の門に飲み込まれた。

「そして、破壊された《メーテル》よりコストが小さいクリーチャーを1体、俺の墓地からバトルゾーンに呼び出せるッ!
 《爆弾魔 タイガマイト》を墓地からバトルゾーンに!」

 地獄の門から現れたのは《ボーンおどり・チャージャー》で墓地に置かれていた《爆弾魔 タイガマイト》。
 本来なら相手の手札を破壊するが、今の拓真の手札は1枚もない。

「《マイパット》でシールドブレイク!」
「ぐっ…!」

 最後のシールドをブレイクされ、歯を食い気張る龍牙。
 トリガーはないものも、ブレイクされたシールドから手札が一気に2枚から6枚に増えた。
 そして、マナは5、バトルゾーンには《ブラッドレイン》、《タイガマイト》の2体。
 墓地は《速攻人形ジェニー》、《拷問ロスト・マインド》、《呪英雄 ウラミハデス》、《デーモン・ハンド》、《白骨の守護者ホネンビー》、《地獄門デス・ゲート》の6枚。

(後は《ヘルボロフ(アイツ)》さえ引ければ、この状況を打開できる!)
「その目はまだ諦めていないみたいですね…」
「………」

 龍牙の心を察してか、突然拓真は口を開きそれを聞いた龍牙は黙り込む。

「…けど、このタイミングで《ヘルボロフ》を引いても、この状況を覆すことはできないっ…!」
「そんなもん、やってみなければわからないことだっ!」

 突如龍牙の周囲が全て真っ黒になり一つのスポットライトが龍牙に照らされた。

「俺は全てを破壊する『破壊者』であり『悪魔』だ!その『悪魔』に逆らうことなど許されないっ!
 見せてやるっ!これが…悪魔ドローだっ!」

 右手で勢いよく山札の上のカードを天井付近まで放り投げた。
 そのカードは重力に従って龍牙のもとに真っ逆さまに落ち、龍牙はそれを右手でキャッチした。

「来たぜっ!」

 そのカードはまさに龍牙の切り札と呼ぶに相応しいカード―――

「お前を倒す、切り札がなぁぁ!」

 ―――《極・龍覇 ヘルボロフ》だった。

 それを手札に加え、それとは別のカードを手札から1枚、マナに貯める。

「これでマナは6枚!《ブラッドレイン》の能力でコストを1低減!
 《極・龍覇 ヘルボロフ》を召喚っ!」
「っしゃ!やっと俺の出番か!」
(後は俺の運次第!これで墓地に置かれたカードが“アイツら”なら、俺にも勝機がある!)

 現れた《ヘルボロフ》の能力で山札から2枚墓地に置ける。
 だが、問題なのはその墓地に置かれるカードが龍牙の目当てのカードか、だ。

「………」

 恐る恐る山札の上2枚を捲る龍牙。

「……っ!」

 捲られた2枚のカードを見て驚く龍牙。

 それを見た拓真は勝った、と脳裏でそう思った。

 ―――だが、

「どうやら神様と言うヤツは相当(かなり)気紛れみたいだ…」

 龍牙のその言葉に打ち消された。
 何故なら、

「なっ…!?」

 捲られたカードは殿堂カードの《魔光蟲ヴィルジニア卿》とそのカードの相棒とも言える《大邪眼B(ビギニング)・ロマノフ》の2枚だったからだ。

 それを見た拓真は驚き、恐怖のあまり一歩下がってしまった。

 無理もない。この2枚は数年前まで公式大会で暴れていた有名なコンボカードである。
 特に《魔公蟲ヴィルジニア卿》は能力があまりにも強すぎるため、殿堂になり、このカードを主軸にしたデッキは構築できなくなった。
 それを拓真は知っていた。決闘者(デュエリスト)として知っていて当然だが、拓真の場合少し違う。

 あのコンボはまだ《魔公蟲ヴィルジニア卿》が殿堂になる前、知り合いが《魔公蟲ヴィルジニア卿》を主軸にしたデッキ、通称〝ヴィルジニアリアニメイト〟と何度も対戦したことがあり、一時期、拓真もこのコンボを使ったデッキを組んでいた。

 そのコンボがまさか去年のデュエマ大会で優勝した人物が使うとなると尚更だ。

(…ま、まずい!今の黒炎さんのバトルゾーンにはスレイヤーの《タイガマイト》と《マイパット》と同じパワー1000の《ブラッドレイン》の2体がいる…!)

 そして、墓地には《B・ロマノフ》の進化元のクリーチャーが丁度3体。
 仕舞いにはまだ《ヘルボロフ》の能力がもう一つ残っている状態。

「《ヘルボロフ》のもう一つの効果発動っ!超次元ゾーンからコスト5以下の闇のドラグハートをバトルゾーンに呼び出せるっ!
 こい!ドラグハート・フォートレス、《極魔王殿 ウェルカム・ヘル》っ!」

 龍牙のもう一つの切り札、《極魔王殿 ウェルカム・ヘル》が超次元ゾーンからバトルゾーンに降臨した。

「《ウェルカム・ヘル》の登場時効果発動!墓地より《魔公蟲ヴィルジニア卿》をバトルゾーンに!
 《ヴィルジニア》の登場時効果発動!墓地より《大邪眼B・ロマノフ》を選択!
 選択した《B・ロマノフ》と墓地の闇のクリーチャー3体を進化元に!
 墓地進化GV(ギャラクシー・ボルテックス)《大邪眼B・ロマノフ》をバトルゾーンに!」

 龍牙の墓地に眠られている《特攻人形ジェニー》、《呪英雄 ウラミハデス》、《白骨の守護者ホネンビー》の3体の闇のクリーチャーを重ねて現れたのは《ロマノフ》の中で最強と言って良い程の進化クリーチャー《大邪眼B・ロマノフ》。
 その能力は攻撃する時、下のカードを好きな数墓地に置くことで、相手の手札を墓地に置いたカード1枚につき、山札の一番下に眠らせることができる。
 と言っても、今の拓真の手札は0枚なのでこの能力は使えないが、それでも今の龍牙にとっては十分である。
 ―――何故なら、

「《B・ロマノフ》で《クロスファイア》に攻撃!
 《タイガマイト》で《クロスファイア2ed》に攻撃!
 《ブラッドレイン》で《マイパット》に攻撃!」
「くっ…!」

 拓真のクリーチャーを一気に全滅できるからだ。

「ターンエンド!さぁ、お前のラストターンだ!」
「……俺のターン!ドロー!」

 勢いよくカードを引き、その引いたカードを見る。

「ッ!どうやら勝利の女神はまだ俺を見捨てなかったみたいだ!」
「ッ!まさか…!?」
「G・ゼロ発動!《百万超邪 クロスファイア》をバトルゾーンに!
 そのまま、黒炎さんにダイレクトアタック!」

 現れた《クロスファイア》は直ぐ様、龍牙に襲い掛かった。

 それを見た拓真は勝った、と再び脳裏でそう思った。

 ―――だが、

「“ニンジャ・ストライク”発動!《光牙忍ハヤブサマル》!」

 龍牙のその言葉に再び打ち消された。
 何故ならバトルゾーンに出た《ハヤブサマル》は自分のクリーチャー1体を選び、そのクリーチャーは「ブロッカー」を得る能力を持っているからだ。
 ―――よって、

「コイツ自身をブロッカーにしてブロック!」

 拓真が出した《クロスファイア》のダイレクトアタックを今出したばかりの《ハヤブサマル》自身をブロッカーにして攻撃を防ぐことができるからだ。

「くっ……!」

 それを見た拓真は歯を食い気張り右手の拳を強く握った。

「……ターン…エンド」

 そして静かにターンを終える。
 この時、拓真は語った。



 ―――自分は〝黒炎龍牙〟に負けたのだと。



「…まだ、デュエマは終わっていない」
「えっ?」

 今なんと?

 一瞬龍牙の言葉に拓真は理解できないでいた。
 ただ、わかっていることは……。

「無理言わないで下さいよ…」
「お前にはまだ、シールドがある。それ次第で状況をひっくり返せるかも知れないぞ…」
「ッ…!」

 龍牙のその言葉に拓真は気持ちを立ち上がらせる。

(そうだ!俺にはまだ、シールドがある!)

 いつもまにか握っていた拳を広げて、シールドチェックの構えをとる。

 それを見た龍牙は《ヘルボロフ》に手を置く。

「《ヘルボロフ》でW・ブレイク!」

 勢いよく《ヘルボロフ》をタップし、拓真のシールドに攻撃。

「ッ…!」

 攻撃された拓真は1枚ずつトリガーがあるか確認する。
 ―――だが、

「……トリガーはありません」

 トリガーはなかった。

「《B・ロマノフ》でT・ブレイク!」

 それを聞いた龍牙は《B・ロマノフ》をタップし、拓真のシールドに攻撃。

 攻撃された拓真は先程と同じように1枚ずつ、トリガーがあるか確認する。

 1枚目……なし

 2枚目……なし

「ッ………!」

 1枚目、2枚目はトリガーがなく恐る恐る3枚目を捲る。

 ―――結果、

(来た!)

 トリガーだった。

「S・トリガー!《終末の時計(ラグナロク) ザ・クロック》をバトルゾーンに!」

 現れたのは体が時計になっている無法者(アウトレイジ)《終末の時計 ザ・クロック》。
 その能力は残りのターンをとばす。
 つまり、龍牙のターンは《B・ロマノフ》の攻撃で終わり、強制的に拓真のターンに移るのである。

「俺のターン!ドロー!」

 勢いよくカードを引き、アンタップした《クロスファイア》に手を置く。

「《クロスファイア》でダイレクトアタック!」

 ダイレクトアタックの宣伝とともに《クロスファイア》をタップ。

 拓真の指示を聞いた《クロスファイア》は龍牙に近寄り口から炎を噴き出した

「一発逆転、大勝利!」

 龍牙に勝利した拓真は前回モルトが言った台詞をそのまま使ったのであった。










「……すまん、負けてしまった」

 時間は少し経過し、龍牙は先程拓真に負けたことをモルトとアイラの二人に謝っていた。

「気にすんなって!誰にだっけ負ける時があるんだからよ!」
「そうだよ!モルトなんか、しょっちゅう私に負けてるんだから!」
「いや、あれは単純にアイラのデッキがおかしいだけだからな」
「フッ、それも…そうだな…」
「二人共、なんか言った?」
「「いえ、何でもありません」」
「よろしい♪」

 満面の笑みでアイラは龍牙とモルトの二人に背を向けてデュエマテーブルに向かった。

「なぁ、モルト」
「ん?何だ?龍牙」
「お前の彼女は怒ると怖いな」
「今更か!」





「あら、私の相手はあなた?」
「ご不満かも知れませんが、よろしくお願いします」

 デュエマテーブルに着いたアイラは目の前にいる少年―――神原 拓真の双子の弟、神原 拓斗が自分の相手だとアイラはそう思った。

「…その口調……」
「何か、ご不満ですか?」
「……正直に言うわ。気持ち悪い」
「が、ガーン!」

 アイラの直球(ストレート)発言に拓斗はショックを受けるのであった。

「き、気持ち悪いはないよ!アイラさん!」
「(あ、戻った)…いや、だって、私の知ってる拓斗はもっと、こー……暑苦しいイメージなんだもん」
「暑苦しいとは何だ!暑苦しいとは!」
「はいはい。それじゃ、まず、お互いにデッキを交換しよ」
「了解っす。アイラさん」

 アイラの言葉を合図にお互いにデッキを交換し、シャッフルとカットを交互に繰り返してから持ち主に手渡し、シールド、手札の順にそれぞれ5枚ずつ準備をする。
 その後、先攻後攻を決める為、ジャンケンを開始する。

「「ジャンケン…」」
「ポイ!」
「ほいっす!あ…」

 結果はアイラがチョキ、拓斗がグーであった。
 よって、先攻は拓斗から始まるが、

「ここはレディーファーストとして、アイラさん、先攻をどうぞ」
「お言葉に甘えて、そうするわ」

 何と、拓斗がアイラに先攻を譲り、先攻はアイラから始まるのであった。

「なぁ、拓真」
「ん?どうした?勝」
「あの二人、気持ち悪くないか?」
「奇遇だな。俺も少しそう思っていた」

 それを離れて見ていた勝と拓真の二人は小声でそんな会話をしていた。

「それじゃ、行きますよ~」

「「デュエマ・スタート!!」」

 そんなことを知らずに二人はデュエマを始めるのであった。


 
 

 
後書き
 はい。今回はここまで。

 今回、拓真が使用したデッキは皆さんご存知の墓地ソースです。
 本編にも書かれてますが、今回拓真が使用した墓地ソースは《クロスファイア》と《クロスファイア2nd》を主軸に、闇を抜いた火と水の混合デッキです。

 対する龍牙は前回同様、黒単ヘルボロフです。
 違いと言えば、光の《ハヤブサマル》と闇の《B・ロマノフ》、《ヴィルジニア》の2枚、計3枚を加えた黒単ヘルボロフです。

 そして、龍牙と拓真、二人の対決の結果は拓真の逆転勝利で勝チームが一勝!

 次回はアイラvs拓斗の対決です!

 はたして、二人はどんなデュエマをするのか?
 楽しみにして下さい!

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