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IS―インフィニット・ストラトス 最強に魅せられた少女

作者:伊10
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第2話 私、同居人と冷戦中です。

その日の放課後、私は一年生寮をうろついていた。

「えーっと、1072号室はっと。」

一年生に限らず基本、IS学園の寮は二人一部屋だ。当然ルームメイトがいるのだが、どういう訳か事前の通知がない。完全に部屋に着いてからのお楽しみという訳だ。

「……ここね。」

鍵は空いていた。もう先客がいるようだ。どんな人物なのか若干の期待を抱きながらドアをそっと開けた。

「…………………あ。」

「…………………は?」

そして閉めた。うん、多分見間違いだよね?金髪の縦ロールなんてそこら辺に………そうそういないよねぇ。

「………別に、入っても構いませんわよ。」

中からそんな声が掛かる。この声にお嬢様口調、まず間違いない。

再びドアを開ける。そこに立っていたのはやはりと言うべきか、先程喧嘩を吹っ掛けたばかりの、セシリア・オルコットさんだった。





「取り敢えず、同室に成ってしまった以上仕方ないわ。最低限のコミュニケーションはとっていきましょう?」

「ええ、致し方ありません。気は進みませんが努力しましょう。」

そんなこんなで、一応部屋では停戦協定を結んだ私達。仕方ない、どんなに嫌でも一年間は一緒に過ごすのだ。

かといってやはり会話はない。とてつもなく息苦しい沈黙が降りる。私にとって学園での快適性は二の次なのだが流石にこれは………。

そんな状況を破ったのは、以外にも向こうからだった。

「神宮寺さん。貴女も代表候補生ということは、持ってるんでしょう?専用機。」

「ええ、、この子よ。」

そう言って私は銀色の髪止めをそっと撫でる。これが私の専用ISの待機形態だ。

「日本の候補生は皆専用機持ちだと聞きましたが……本当ですか?」

「そうよ。日本はそちらみたいに開発タイプが固定されてないからね。違うコンセプトで作られた四機の第三世代機と、四人の候補生。次期日本代表争いがそのまま次期主力機争いなのよ。」

因みに四機の内訳は倉持技研が二機、黒部重工が一機、そして私の機体を用意した防衛省技術研究本部、通称技本の一機だ。

「そうですか……まぁ相手が何であれ、わたくしの勝利は揺るぎませんわ!!」

ビシッ、とポーズを決めて宣言する。中々ちゃんと決まっている。

「………後悔しないわね?」

「今から謝る練習をしておく事をお薦めしますわ。」

火花が、散った。










翌日。織斑に専用機が渡される、ということ以外には、特に目新しいことはなかった。

ああ、そう言えばクラスにあの篠ノ之博士の妹がいたな。どうでもよかったけど。

そして放課後。例の博士の妹、篠ノ之箒と言うらしい。が、織斑に稽古をつけると聞いた。本当は自分の訓練がしたいが、生憎今日はアリーナが開放されていない。

SHRが終わると同時に教室を飛び出す二人。後ろをゾロゾロと付いていく女子の群れに混ざろうとしたが、突然呼び止められた。

「神宮寺、ちょっと来い。」

織斑先生?何の用事だろう。

「単刀直入に聞こう。お前だろう?私の事をじろじろ見てるのは。」

ギクッ!?

「全く……どういう見方をしたらあんな嘗め尽くすような視線になるんだ?」

ギクギクギクッ!?

なんと、全部バレていたとは………。先生へのラブコールに上手く隠してたと思ったんだけど。

「……なんで私だと?」

「クラス中が騒がしい中でお前だけ不気味なほど気配が無かったからだ。隠し過ぎるのも考え物だぞ?」

「成程、参考にします。」

「まぁ、お前が何を考えてるか分からんが程々にな。私だって気にはなるんだ。」

「…………はーい。」

会話はそこで終わり、私は今度こそ二人の訓練を見に行った。





所変わって武道場。今二人が竹刀で打ち合って……あ、篠ノ之が一本とった。

「どういうことだ。」

ん、なんか篠ノ之が変な顔してる。ま、関係ないけどね。

にしても、あの動きのキレは素晴らしいね。さすが全中優勝。純粋な剣術ではほぼ私と互角………いや、若干向こうが有利か。

対して織斑は………うーん、センスはあると思うんだけどね。動きから察するに元々はしっかりとした武術を学んでたかな?あれは。とんでもなく錆び付いてるけど。

まぁ、こういう領域では経験がものを言うからね。それを考えると一週間じゃあ然程驚異にはならないかな?と、すれば………やっぱりオルコットさんとどう戦うかが課題かな。

イギリスの代表候補生………、恐らくイグニッションプランの試作機よね。イギリスはたしか……………ティアーズ型だっけ?名前しか知らないけど。

恐らく総力戦になるだろう。多分オルコットさんは強い。舐めてかかれば完封も有り得る。

私はその場を立ち去りつつ、月曜日の戦いに向けてあーだこーだと思索を巡らしていた。










そして一週間が過ぎた。

「……………。」

「……………。」

アリーナのIS出撃ピット。ここに気まずい沈黙が舞い降りている。何でも織斑の専用機がまだ届かないんだとか。試合、もう始まるのに。

ついでにISについては殆ど勉強してないらしい。いや篠ノ之の言いたいことは分かるんだけどさ?付け焼き刃でも有ると無いとじゃ随分変わると思うけど?

と、そしたら山田先生が駆け込んできた。おい織斑、先生で遊ぶな。……案の定、後からやって来た織斑先生に頭はたかれた。

あ、届いたのね専用機。まぁ、まだ初期設定だろうけど。

「神宮寺。」

「はい?」

「織斑の機体はまだ準備に時間がかかる。先にお前が行け。」

「了解です。」

「………そう言えば神宮寺さんも専用機あるんだよな。何ていうんだ?」

「………いいわ。じゃ、紹介をかねて名前を呼ぼうかな。」

髪止めに触れ、私の相棒の名前を呼ぶ。

「おいで………玉鋼(たまはがね)。」 
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