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IS―インフィニット・ストラトス 最強に魅せられた少女

作者:伊10
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第1話 私、入学初日から喧嘩です。

無限(インフィニット)成層圏(ストラトス)

ISと通称されるそれは、たった一人の天才の手によって、宇宙進出用に開発された、女性にしか扱えないパワードスーツ。………という建前の、世界最強の機動兵器。

アラスカ条約なんていうあっても無いような枠組みで競技用なんかにされているが、各国は軍事利用の意図を隠す気すらない。





でも、

でもそんな事『どうでもいい』。

ISの軍事利用も戦争も、勝手にやっていればいい。

私の興味はただ一つ―――

『最強』の二文字だけ













「全員揃ってますねー。それではSHR始めますよー。」

黒板の前で先生がしゃべっている。名前は………何だっけ?

ああ、思い出した。山田真耶先生だ。最初に聞いたとき回文だなーとか思ったんだった。

そんな下らない事を私――神宮寺(じんぐうじ)(かえで)は考えながら大きな欠伸をした。

今日はIS学園の入学初日。クラスメイトとの初顔合わせだ。普通なら回りをキョロキョロする輩の五人や十人はいそうなものだが、私を除く皆の視線はたった一点に集中している。

最前列の、ど真ん中。女の子しかいない筈のIS学園で、ただ一人の“男”。世界初の男性IS操縦者、織斑一夏だ。

まぁ私も興味がない訳ではないが―――この視線の集中砲火には流石に同情したくなる。

と、当の織斑に、自己紹介の番が回ってきた。が、本人が聞いてなかったようで、山田先生が若干涙目になっている。先生ガンバレ。

「え、ええーと、…………織斑一夏です。よろしくお願いします。」

そういって頭を下げる織斑だが、周囲の『まさかこれだけで終わりじゃないよね』という無言の圧力に戸惑っている。そして

「以上です。」

……………危うくズッコケそうになった。いくらなんでも以上ですは無いだろう。お前の話なら、この好奇心の塊みたいな女子軍団なら何でも聞くだろうに。

と、教室のドアが開き、スーツを着こなした長身の女性が入ってくる。そして―――

バシィィン!!!

………織斑の頭を、手にした出席簿で容赦なく叩いた。

「げ、関羽!?」

バシィィン!!!

二発目

「誰が三國志の英雄か、馬鹿者。」

トーンの低い声。間違いない、彼女、織斑千冬だ。

何やら自己紹介を始め、クラスの女子たちが騒いでいるが、全く耳に入ってこない。私の意識は、織斑先生の一挙一動を観察するのに全て向けられていた。

強い、こんな日常の、何気ない一コマでさえ、そんな印象がびしびし伝わってくる。本気の彼女と向き合ったらどうなるのだろうか。

私は、心の中に歓喜が満ち溢れるのを感じ、無意識に髪止めに手を伸ばしていた。





「ちょっと貴女?」

「はい?」

一限目の終わった休み時間。隣の女子に声を掛けられた。

「神宮寺さん、で宜しかったかしら?」

「ええ、そうですよ。ええと……オルコットさん。」

セシリア・オルコット。隣の席になった綺麗なブロンドを縦ロールにしている外人さんだ。たしか……イギリスの代表候補生だっけ?

「貴女、日本の代表候補生だそうですわね?」

「?、ええ、まぁ。」

そう、私も代表候補生だ。なんか適性検査受けたら翌日に政府の人がゾロゾロ来て、勝手に認定していった。まぁ私にとっても渡りに船だったけど。

「入試首席だったわたくしには敵わないと思いますが、国を背負う立場として共に研鑽致しましょう。」

………なんか、悪い人じゃなさそうだけど……言い方が鼻につくなぁ。

「悪いけど………『最強』の席は私のモノだから。」

そう返すと、オルコットさんはちょっと意外そうな顔をしてこう言った。

「フフフ、まあせいぜい頑張って下さいな。」

そこでチャイムが鳴った。

…………因みに織斑が今日四回目の出席簿を食らっていた。





二限目が終わり、再びの休み時間。オルコットさんは今度は織斑に絡みにいったようだ。特筆する事態もなく三限目に突入。そこで織斑先生から話があった。

「そう言えばクラス代表を決めるのが先だったな。自薦他薦は問わないぞ。誰かやるものはいるか?」

「ハイ!織斑君がいいと思います!」

「私も賛成です!」

「では、候補者に織斑一夏と。」

「……って、俺かよ!?」

驚いて抗議する織斑。だが悲しいかな、他薦者に拒否権はないようだ。

「待ってください!」

おおう、オルコットさん。プライドの高い彼女的には許せなかったのかな?何やらあーだこーだ言っている。が……何やら日本の侮辱に変わってないか?

「大体、こんな文化的にも遅れた国で学ばなければならないということ自体わたくしには耐え難い屈辱であって………」

「おい……「バンッ!」え?」

織斑が何か言いかけた様だがそれすら意識せず、私は立ち上がった。この女………黙って聞いてれば言いたい放題言いやがって。

「文化的に遅れてるのはそっちじゃないの?まっずい料理ばかり作ってさぁ。それに日本が野蛮だの未開だの言ってるけど歴史は日本の方が深いのよ?イギリス王室なんて西暦入ってからでしょ?成立したの。」

その一言に彼女は大分自尊心を削られた様だ。

「な………貴女、私の祖国を侮辱するんですの!?」

「先に侮辱したのはそっちよ。一国の代表候補生のまえでその国を侮辱する。これがどんな意味を持つか位、分からないとは言わせないわよ。」

別に国に恩も誇りもないが、それでも生まれて十五年間生きてきた国だ。愛着はある。

「私が代表やるわ。あんたなんかにやらせるもんですか。」

「言いましたわね……ならばISで決着を着けましょう?」

「望む所よ。」

「ええっと……俺は?」

「よし、決まったな。来週の月曜日。第三アリーナで三名による総当たり戦を行い、その勝者を一年一組のクラス代表とする!」

こうして、私とオルコットさん(あと織斑)の対戦が決定した。 
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