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ドリトル先生北海道に行く

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第二幕その二

「皆と一緒に」
「それでは」
 こうして言ってでした、皆で。 
 その動物用の車両に乗り込みました。そして電車が八条駅から出てです。
 動物の皆は先生にです、こう聞きました。その車両の中で。
「居心地が悪くない?」
「ここ人間用の車両じゃないよ」
「椅子も持ち込んだものだし」
「寝るにしても横になるだけで」
「鉄はむき出しだし」
「いい場所じゃないよ」
「いいんだ」
 別にと言う先生でした、にこりと笑って。
「だって皆と一緒だからね」
「それでそう言うんだ」
「先生はそれで満足なんだね」
「僕達と一緒なら」
「それだけで」
「どんな贅沢な場所にいても」
 それこそ宮殿の様に快適な車両でもです。
「皆と一緒じゃないとね」
「それでなんだ」
「今回の旅行でも」
「僕達と一緒」
「それで行くんだね」
「帰りもだよ」
 帰りの列車でもというのです。
「勿論ホテルもね」
「ああ、ホテルもなんだ」
「僕達は何時でも一緒」
「北海道でもだね」
「これまで通り」
「そうだよ、それに僕は豪華な客室とかね」
 それこそとです、笑って言う先生でした。
「柄じゃないし」
「それよりもなんだ」
「むしろ僕達と一緒の方がなんだ」
「嬉しい」
「そう言ってくれるんだ」
「そうだよ」
 まさにその通りだというのです。
「だから一緒にいようね」
「今もだね」
「ここで」
「お茶もあるし」
 セットの用意もしています。
「だから何の問題もないよ」
「おトイレはどうします?」
 トミーが先生に尋ねます。
「それはやっぱり」
「うん、別の車両に行けるから」
 車両の扉、別の車両につながっているそれを見てです。先生はトミーに温和な笑顔でこうお話したのでした。
「問題ないよ」
「僕達はそうして」
「皆にもおトイレを用意しているから」
 荷物は車両の端にまとめて置いています。
「だからね」
「その心配はいりませんね」
「では窓からね」 
 車両のです。
「景色を見て楽しもうね」
「はい、そちらも」
「それこそがだよ」
 車窓からの景色を見ることがこそというのです。
「鉄道の旅の楽しみだから」
「日本でも同じですね」
「そうだよ」 
 その通りというのです。
「だから楽しもう」
「北海道までの景色を」
「皆でね」
「是非ね」
「じゃあ先生」
 お話が一段落したところでトミーが言ってきました。
「この中でもお茶をですね」
「うん、飲みたいけれど」
「用意してあります、ただ」
「ただ?」
「この貨物列車の中は冷房は聞いていますが夏ですから」
「だからだね」
「先生は正装ですし」
 先生は夏でもスーツです、例え如何なる時でもお家にいる時以外はスーツでいてネクタイもちゃんと締めているのです。 
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