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真犯人

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2部分:第二章


第二章

「ショーなんだよ」
「ショーなのかい」
「そうさ。だから皆俳優やスポーツ選手のスキャンダルに一喜一憂するんだ」
 それだと話す。
「そういうことだよ」
「そんなものなのか」
「そんなものだよ。さて、それじゃあ」
 ここまで話して自分が今まで読んでいたその新聞を側の机の上に置くのだった。そうして立ち上がり。
「仕事に向かうとするか」
「浮気調査だったかな」
「いや、迷子の子猫の捜査だよ」
 それもまた彼等の仕事なのだった。
「確か日本の猫みたいに干した魚が好きだったから」
「それにマタタビを入れて誘き寄せるか」
「もういる場所はわかったしね。後はそれだけだね」
 そんな話をしながら現場に向かうのだった。そしてスキャンダルはまさにホームズの予想通りになった。
 それからその不倫相手の将校がバッシングされ二人は別居し子供達がどうとかいう話も出た。ここで王太子と妃の二人の息子達がこれまた非常に美男であることも評判になったりした。そうした迷走そのものの見ている者にとってはまさにショーのスキャンダルは最後は離婚で終わった。
「これで一件落着かな」
「いやいや、まだだよ」
 ホームズとワトソンはまた事務所で話していた。やはり新聞を見ながらだ。テレビも二人の離婚についてまるで自分の国の出来事であるかのように事細かに説明していた。
「まだこれからだよ」
「離婚して終わりじゃないのかい」
「離婚の後は再婚だよ」
 それだというのである。
「それがあるじゃないか」
「再婚か」
「妃には付き合っている相手がいるんだよね」
 ワトソンはそれをホームズに問うた。
「確か」
「ああ、それは聞いてるよ」
 ホームズは至って冷静に告げた。
「もうね」
「そうだったね。確かアラブの何処かの国の富豪だったかな」
「ほとぼりが冷めた時点でその相手と結婚するだろう」
 ホームズはパイプをふかしながら述べた。
「そして王太子もね。意中の相手と結婚するよ」
「ハッピーエンドかな」
 ワトソンはホームズの話をここまで聞いて述べたのだった。
「それで」
「さて、それはどうかな」
 ところがホームズは今のワトソンの言葉には疑問符をつけてそれで返したのだった。
「それはね」
「まだ話は続くのかい?」
「太子も妃も話はそれで終わるよ」
 ホームズは一旦はそれを認めた。
「お互いに意中の相手と結婚してね」
「そうだろ?じゃあ一応ハッピーエンドじゃないか」
「二人はそれでいいよ」
 あくまで二人は、ということだった。言葉は限定されたものだった。
「それでね」
「それでいいって。それでも君は言うのかい」
「ワトソン君、王家だよ」
 そのワトソンに顔を向けての言葉だった。
「王家というのは色々なしがらみがあることはわかってるね」
「まあね」
 それを知らない、わからないワトソンではなかった。実際にどの王家でも王家というものは様々な歴史やしがらみがある。それはもうモザイクに絡み合いアラベスクの様になっている。しかもそれはみらびやかなもの以外にも裏があるものである。裏もまたモザイクになっているのだ。
「あの王家にしてもね」
「王太子の母親である現在の国家元首」
「女王だな」
 その国の国家元首は女王なのである。その国は伝統的に女王が多い国なのだ。
「あの女王陛下は自分の子供達にとっては絶対者だ」
「四人いるが全員ね」
 太子は一番上でそこから娘、次弟、末弟となっているのである。
「四人共ね」
「そしてだね」 
 ワトソンも次第にわかってきたのだった。ホームズの言わんとしていることだ。
 
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