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ハイスクールD×D復讐と剥奪の王

作者:夜鞠修弥
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5話『復讐者と不死鳥』

~修弥Said~

仇の一人、コカビエルの名を知った俺は、コカビエルについて徹底的に調べた。

だが、どれもこれもゲームの攻略話ばかりであてにならない。

唯一それっぽいものを見つけたと思うと、それは旧約聖書だった。

そして、俺は今その旧約聖書持って屋上に、いつものように一人でーーーーーいや、二人できていた。

「……あなた、いつも屋上でこんなことしてるの?」

「授業なんざ出席日数だけ取っとけばいいだけだ。それよりも堕天使、コカビエルについて他に知っていることは本当にないんだろうな」

「ここでは、夕麻って呼びなさいって何回言わせるの!」

そう、俺は今堕天使であるこいつと共に駆王学園の屋上に来ている。

堕天使に関しては俺の護衛兼情報収集の手伝いとして、駆王学園に転入させた。

自分でやっておいてなんだが、すんなりと堕天使の転入許可がでたことに驚いている。

「それよりも、本当にコカビエルのことはもう何も知らないんだな」

「………はぁ。えぇ、もうなにも知らないわ」

「……そうか。後は、炎を使う悪魔のことさえわかれば………」

俺は堕天使ーーーー夕麻に聞こえないくらいの声でそう呟く。

「何か言った?」

「……何も言ってない」

俺はそう言うと、旧約聖書のコカビエルの事が書かれているページを読んでいく。

だが、その殆どが夕麻に聞いたものと、自分で調べた情報ばかりだった。

「旧約聖書も使い物にならないな」

「でも、悪魔には有効よ?元々、悪魔は十字架とかいった聖なるものが苦手だから」

「なるほど、使いようによっては………………」

「どうかしたの?」

この気配ーーーーーーーーーーーーーーー似ている!

母さんを殺した奴に!

「夕麻、俺を連れて飛べ!」

「ちょっ!?いきなりなによ!?それに、あなたがここではなにもするなって言ったんじゃない!」

「そんなことはどうでもいい!さっさとしろ!」

「あぁもう!誰かに見られたら、あなたが何とかしなさいよ!」

そう言って俺の手を握って、空へと飛ぶ夕麻。

「旧校舎二階の一番奥の部屋だ!そこまで行ったら、その部屋の窓に向かって俺を投げろ!」

「何か知らないけど、わかったわよ!」

死ぬ覚悟ぐらいはしておけよ、クソ悪魔!

「じゃあ、いくわよ!」

「あぁ!」

そう言って俺は夕麻に、旧校舎二階の一番奥の部屋ーーーオカルト研究部部室の窓へと投げられた。

俺は咄嗟に顔を両腕で守って窓へと衝突する。

バリィィィィンッ!

「な、なに!?」

「な、なんだ!?」

「見つけたぞ、クソ悪魔!」

「修!?」

俺は窓からオカルト研究部の部室に侵入して、中にいたホスト崩れの悪魔に向かってそう言いはなった。

































~一誠Said~

「部長のお悩みか。たぶん、グレモリー家に関わることじゃないかな」

旧校舎にある部室に向かう途中、木場は俺にそう答えた。

なぜ、俺がそんな質問をしたかというと、昨日部長が俺の部屋に来たからだ。

それも、“下着姿”でだ。

その時は状況がいまいちわからなかったけど、普段の部長の様子とは全然違ったから、俺は木場に聞いてみたんだ。

「朱乃さんなら知っているよな?」

「朱乃さんは部長の懐刀だから、もちろん知っているだろうね」

木場は俺の質問に頷きながらそう返した。

部室の扉前に俺たちが到着したとき、木場が何かに気づいた。

「………僕がここまで来て初めて気配に気づくなんて……」

木場が何かを言っているが、俺は気にせずに部室の扉を開けた。

室内には部長、朱乃さん、小猫ちゃん、そしてーーーー。

銀髪のメイド、グレイフィアさんがいた。

部長がメンバーの一人一人を確認すると、口を開く。

「全員揃ったわね。では、部活をする前に少し話があるの」

「お嬢様、私がお話ししましょうか?」

部長はグレイフィアさんの申し出をいらないと手を振っていなす。

「実はねーーーーーー」

部長が口を開いた瞬間だった。

部室の床に描かれた魔方陣が光りだす。

「ーーーーフェニックス」

近くにいた木場がそう口から漏らした。

室内を眩い光が覆い、魔方陣から人影が姿を現す。

ボワッ!

魔方陣から炎が巻き起こり、室内を熱気が包み込む。

炎の中で佇む男性のシルエット。

そいつが腕を横に薙ぐと、周囲の炎が振り払われた。

「ふぅ、人間界は久しぶりだ」

そこにいたのは、赤いスーツを着た一人の男。

スーツを着崩しているせいか、ネクタイもせずに胸までシャツをワイルドに開いていた。

男は部屋を見渡し、部長を捉えると口元をにやけさせた。

「愛しのリアス。会いに来たぜ」

部長の方は半眼で男を見つめていた。

修以外に部長がこんな表情をするなんて、アイツなにやったんだ?

俺がそんなことを考えている間に、男は部長の様子を気にせずに近づいていった。

「さて、リアス。さっそくだが、式の会場を見に行こう。日取りも決まっているんだ、早め早めがいい」

男は部長の腕をつかむ。

「………放してちょうだい、ライザー」

低く迫力のある声で部長は男の手を振り払った。

ライザーと呼ばれた男は手を振り払われたことなど気にもせずに苦笑するだけだった。

なんか、一連の行動の全てが俺の癇に障る。

そして気づいたときには、俺は口を開いていた。

「おい、あんた。部長に対して無礼だぞ。つーか、女の子にその態度はどうよ?」

男は俺へと顔を向けると、道端のゴミを見るような目で見てくる。

「あ?誰、おまえ?」

不機嫌な口調。

先程部長に話しかけていた甘い声とは、まるで違う。

「俺はリアス・グレモリー様の眷属悪魔!『兵士』の兵藤一誠だ!」

「ふーん。あっそ」

男の興味なさそうな反応に身構えていた俺がズッコケる。

「つーか、あんた誰だよ」

俺の問いかけに男は初めて少しだけ驚いた様子を見せる。

「……あら?リアス、俺のこと、下僕に話してないのか?つーか、俺を知らない奴がいるのか?転生者?それにしたってよ」

「話す必要がないから話していないだけよ」

「あらら、相変わらず手厳しいねぇ。ハハハ………」

男は目元を引きつらせながら苦笑いしていた。

そこへグレイフィアさんが介入する。

「兵藤一誠さま」

「は、はい」

「この方はライザー・フェニックスさま。純血の上級悪魔であり、古い家柄を持つフェニックス家のご三男であらせられます」

と、グレイフィアさんが俺にそいつを紹介してくれる。

「そして、グレモリー家次期当主の婿殿でもあらせられます」

「ええええええええええええええええええええええッッ!!」

あまりのことに俺は絶叫した。
















「いやー、リアスの『女王』が淹れてくれたお茶は美味しいものだな」

「痛み入りますわ」

朱乃さんのお茶を褒める男ーーーーライザー。

朱乃さんもニコニコしているが、いつもの「あらあら」や「うふふ」がない。

ソファに座る部長。

その隣につき、軽々しく部長の肩を抱くライザー。

部長が何度も肩を抱く手を振り払うが、野郎は構わずに肩やら手やら髪やらを触っている。

「いい加減にしてちょうだい!」

激昂した部長の声が室内に響き渡る。

「ライザー!以前にも言ったはずよ!私はあなたと結婚なんてしないわ!」

「ああ、以前にも聞いたよ。だが、リアス、そういうわけにはいかないだろう?」

「私は家を潰さないわ。婿養子だって迎え入れるつもりよ」

部長の言葉を聞き、ライザーは満面の笑みを浮かべる。

「おおっ、さすがリアス!じゃあ、さっそく俺とーーーーー」

「でも、あなたとは結婚しないわ、ライザー。私は私が良いと思った者と結婚する。古い家柄の悪魔だって、それぐらいの権利はあるわ」

ライザーの言葉を遮り、部長はハッキリ言った。

それを耳にして、途端に機嫌が悪くなるライザー。

目元が細まり、舌打ちまでした。

「………俺もな、リアス。フェニックス家の看板背負った悪魔なんだよ。この名前に泥をかけられるわけにもいかないんだ。こんな狭くてボロい人間界の建物なんかに来たくなかったしな。というか、俺は人間界があまり好きじゃない。この世界の炎と風は汚い。炎と風を司る悪魔としては、耐えがたいんだよ!」

ボワッ!

ライザーの周囲を炎が駆け巡る。

チリチリと火の粉が室内に舞った。

「俺はキミの下僕を全部燃やし尽くしてでもキミを冥界に連れ帰るぞ」

ザワッ!

殺意と敵意が室内全体に広がる。

バリィィィィンッ!

そんな中、部室の窓が割れて何かが侵入してきた。

「な、なに!?」

「な、なんだ!?」

「見つけたぞ、クソ悪魔!」

「修!?」

窓を突き破って侵入してきたのは、修だった。



































~修弥Said~

窓を突き破ってオカルト研究部の部室に侵入した俺は、炎をだしているホスト崩れの悪魔を見つけた。

その炎を見た瞬間、俺の中で母さんが殺された時のことがフラッシュバックした。

「死ねぇぇぇぇぇッ!」

俺は黒い籠手を右手に纏いながら、炎をだしている悪魔に走って近づき、その顔を全力で殴り付けた。

「グッ、貴様!人間の分際で!」

「黙れ!死ねッ!」

俺は殴った際に倒れこんだ悪魔にまたがり、顔面を連続で殴っていく。

ドガッ!

こいつが!

バキッ!

こいつが母さんを!

「死ねっ!クソ悪魔!」

「……グッ、ちょ、調子にのるなっ!」

悪魔がそう言いながら、俺に向けて炎を放ってきた。

『 Devest 』

俺はそれを右手で受け止め、全身が炎で包まれた。

「フッ、身の程も知らない人間が!」

「ライザー!いくらなんでも、やりすぎよ!」

俺が死んだとでも思ったのか、俺が殴っていた悪魔とグレモリーが互いにそう言った。

だが、俺はそんなことはどうでもよかった。

何かが違う。

俺が思ったのは母さんが殺された時とは何かが違った。

そして、その違いが今わかった。

「勝手に死んだと思ってんじゃねぇぞ、クソ悪魔!」

そう、こいつの炎じゃない。

俺が探している奴の扱う炎は、こんな生易しいものじゃなかった。

「なに!?人間が俺の業火を受けて無傷だと!?」

「……お前には飽きた。だから、死ね」

『 Authorize 』

俺がそう言うと右手に光の槍が握られる。

「そこまでです。これ以上の戦闘をなされる場合は私も黙っていられません」

俺と悪魔の間に割って入ってきた銀髪の悪魔がそう言う。

「お前から殺そうか」

「貴方にそれができると、お思いですか」

俺と銀髪の悪魔が睨み合う。

「や、夜鞠君、グレイフィアも、一旦やめてちょうだい」

俺と銀髪の悪魔を止めようと、グレモリーが何かを言っているが、そんなことはどうでもいい。

「お前を殺せるかどうか、ためしてやろうか?」

俺が銀髪の悪魔に向けてそういう。

「……………」

だが、相手からの返答はこない。

おかしいと思った俺は相手の顔を見た。

すると、銀髪の悪魔は俺を見て目を見開いていた。

「……あ、貴方が夜鞠修弥なのですか?」

「お前らに俺の名を呼ぶ権利があるのか?」

俺がそう言うと、銀髪の悪魔は戦意を失ったかのように、冷静になった。

「いえ、ですがここは今は我々の話し合いの場ですので、貴方にはお引き取り願いたいのですが」

「知るか。俺はそこにいる奴を殺しに来ただけだ」

「…………では、貴方には話が終わるまでここにいてもらいます。この話は貴方にも都合がいいかもしれませんし」

そんなふうに、ふざけたことを銀髪の悪魔は言ってきた。

「お嬢様、ご自分の意志を押し通すのでしたら、ライザー様と『レーティングゲーム』にて決着をつけるのはいかがでしょうか?」

そして、俺を無視して話を続ける悪魔ども。

「いいわ。ゲームで決着をつけましょう、ライザー」

「へー、受けちゃうのか。俺は構わない。だが、条件がある。そこの人間も参加させろ!そいつは俺がこの手で焼き消す!」

先程まで、俺が殴っていた悪魔が俺に向けてそう言ってきた。

「お前が俺を殺す?違うな。間違えるなよ。俺がお前を殺すんだ!」

「どこまでも嘗めた口を利きやがって!」

「ライザー!彼は関係は無いわ!巻き込むのは止めて!」

「黙れ、グレモリー!俺は言った筈だ。アイツを殺しに来たってな。なら、俺はアイツの話にのる」

「いいの?本当に死ぬかもしれないわよ?」

「お前に心配される筋合いはない。俺がアイツを殺してそれで終わりだ」

「ハッ、自惚れるなよ」

「まあ、いい。リアス、十日やる。それで下僕とそこの人間を使い物にすることだな」

「どうでもいいが、お前には必ず消えてもらう」

俺はそう言って、入ってきた窓へと向かう。

「………お前らは絶対に殺す」

俺は悪魔達に聞こえない暗いの声で呟くと、窓から飛び降りる。

ガシッ。

「まったく、離れて見てたけど無茶するわね」

「無茶じゃない。それに、アイツとは必ずケリを着ける」

俺が飛び降りたと同時に、夕麻が俺の手を掴み、来たときと同じように空を飛んでいる。

「今日はもう帰るぞ」

「はぁ~。そう言うと思って、さっきの休み時間の間に荷物を取ってきておいたわ」

意外なところで気が利く夕麻。

俺達はそんな会話をしながら、家へと飛んでいく。









































~???Said~

「……そうか。やっぱり、リアスの言っていたのは彼等の息子さんだったか」

「はい。それも、悪魔の事を相当憎んでいるようです」

「……ということは、息子さんは知っているというわけか。夜鞠夫妻があのはぐれ悪魔と堕天使に殺されたということを」

「恐らくは、ですがそのことについては「わかっているよ。グレイフィア」ですが!?」

「でも、彼にはーーーー修弥君には恨まれても仕方がないんだよ。彼の両親をーーーー璃紗さんと雅斗に危険が迫っているのを、僕は知っていたんだから」

「それは、なんども言った筈ですよ、サーゼクス。あの二人はそれを知っていたと」

「……うん。だからだよ、グレイフィア。修弥君をあの二人のように殺させないために、僕達が影ながら支援するんだ」

「………だから、彼の名が書かれた堕天使の学園への編入書類を許可されたのですか?」

「うん。せめてもの、つみほろぼしでね」

そう言った僕の顔を見て、グレイフィアは悲しげに何かを呟いていた。

「何はともあれ、修弥君のゲーム参加をできるかぎりサポートするよ」

「はぁ~。わかりました」










 
 

 
後書き
次回、6話『復讐者とグレモリー眷属<特訓>』 
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