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ハイスクールD×D復讐と剥奪の王

作者:夜鞠修弥
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6話『復讐者とグレモリー眷属<特訓>』

~修弥Said~

早朝。

まだ、太陽が昇って間もない時間帯。

俺と夕麻、ミッテルトは山を上っていた。

正確には、“上らされていた“。

それは何故か?

朝早くにグレモリーに拉致られたからだ。

それも家に不法侵入をしてだ。

俺と夕麻はまだこの時間に起きているからましなものの、ミッテルトは午前中は基本寝ている。

そのせいで、今は夕麻に背負われながら寝ている。

「普通は、男の貴方が背負うのが常識だと思うんだけど?」

今まで無言でミッテルトを背負っていた夕麻が、少し睨みながらそう言ってくる。

「……俺より堕天使のお前の方が力は上なんだろ?」

俺がそう言い返すと、夕麻は黙り込んだ。

「………このまま悪魔と特訓なんざやる気は無いし、帰るか」

「でも、後ろにはアレがいるわよ」

夕麻がそう言って指差した所には、兵藤がいた。

「狙ってやっているのか、それともただのバカなのか」

俺は帰るという考えを一旦、頭のすみに置き、先の事を考える。

「あの悪魔を殺すには、新しい力が必要か…………」

「貴方の神器だけでも、十分に勝てると思うけど?」

夕麻がそう言うが、俺はそうだとは思わない。

「……こっちの手札が少なすぎる」

あくまで、一対一なら俺も夕麻の言ったことに賛成だ。

だが、複数の相手に対しては俺の力では対応しきれない。

今回は話に聞くと、複数対複数の殺し合い。

だとすれば、遭遇した敵が複数ならば圧倒的に不利なのは俺だ。

「………あの二人に頼んでみるか」

「あの二人………?」

「………お前達には、今は教えるつもりはない」

俺は反応した夕麻にそう言う。

「わかってるわよ。でも、“今は”って言ったんだから、その時を待ってるわ」

少し微笑みながら言ってくる夕麻。

「夕麻、俺は少し電話をしてから合流する。そう、グレモリーに言っておけ」

「はぁ!?ちょ、ちょっと!?」

夕麻にそう言うと、俺はうしろの兵藤がいる場所まで歩く。

「しゅ、修、手伝ってくれるのか?」

「俺が手伝うと思うか?」

兵藤が息をきらしながらそう言うが、俺は質問でそれを返す。

「いや、さすがにこの量の荷物を持って登山とか、俺には無理だから!」

そう言う兵藤の背中には、グレモリー達の荷物が殆ど背負われていた。

「だったら、グレモリーにでも言ってみろ」

俺はそう言うと兵藤とは反対の方へと歩いていく。

「お、おい、修!帰るのか?」

兵藤がそんなことを言うが、俺は一度振り替えって言い返す。

「………電話してから戻る」

そう言って俺は近くの林の中に入っていた。




































俺は電話を終え、目的地であるグレモリーの別荘に到着する。

その別荘の前では、兵藤が木場と木刀で勝負をしていた。

「…………あまいな。悪魔も所詮はこの程度か」

「遅れてきておいて、随分と余裕そうな言い方ね」

俺の言ったことに、グレモリーが反応してそう言った。

「………事実を言ったまでだ。お前らでは俺には勝てない。何をしようとな」

俺はそう言って、木造の別荘へと歩いて行く。

「待ちなさい!貴方には、裕斗と勝負してもらうわ!」

グレモリーが俺に対してそう言ってくる。

「………死ぬ覚悟はあるか?」

「どういう意味かしら?」

「俺は本気で悪魔共を殺す!……その手始めがお前らになるだけだ」

「修は大丈夫ですよ、部長。口ではああ言ってますけど、ホントは良いやつですから」

俺とグレモリーの間に、木場に負けた兵藤が割って入り、そう言った。

「………兵藤、俺のことを知った気で言うな。俺は本気でお前らを潰すぞ」

「だったら見せてくれよ。修が木場に勝つところを」

そう言って、兵藤は手に持った木刀を俺に渡してくる。

「…………後悔するなよ」

俺はそう言って兵藤から木刀を受け取り、木場の元へと歩いて行く。

「木刀でもいいのかい?夜鞠君なら、槍の方がいいと思うけど」

「……俺は元々こっちの方が得意だ」

俺はそう言って木刀を構えずに、自然体で立つ。

木場はそれを見て、真剣な表情で木刀を構えた。

なるほど、それなりに俺の実力を予測したか。

俺はそう考えながら、木場を見る。

「……それじゃあ、いくよ!」

そう言うと、一気に加速して姿を消す木場。

俺は目を閉じ、集中して辺りの音を聞き取る。

カサッ

俺の右斜め後ろから、足音が聞こえた。

だが、俺は足音が聞こえた方とは逆の左斜め後ろに向けて木刀を横一線に振るった。

カンッ!

すると、木刀から手元に衝撃が伝わってくる。

その木刀の先には、木場が俺の木刀を受け止めて立っている。

速度はそれなりにあるが、木刀自体からは余り力を感じないな。

俺はそう思いながら、鍔迫り合いに無理やり持ち込む。

ギィッギィッ!

木刀が擦れあい、歪な音が聞こえる。

木場はこのまま攻めきろうと思っているのか、木刀に力を加えてきた。

だが、俺はそれとは逆で木刀を一旦引き、体制の崩れた木場の首元に向けて木刀を横一線に振った。

俺の振った木刀が木場の首へと当たる前に俺は、木刀を止めた。

「……………くだらない。この程度で負けるんじゃ、あのクソ悪魔には勝てないな」

「初撃で終わらせるつもりだったのに、逆に攻められるとは思わなかったよ」

木場は苦笑しながらそう言う。

「………速さが特徴なお前は力をつければ、俺の厄介な敵になるかもな」

「夜鞠君とは、敵じゃなくて友達でいたいよ」

「………冗談はやめろ。俺は悪魔と仲良くする気はない」

俺はそう言って木刀を木場に渡し、別荘へと向かう。

その途中、グレモリーの横を通った際に言っておく。

「……俺と夕麻、ミッテルトは別で特訓とやらをやらせてもらう」

俺はそれだけを伝えると、別荘の中へと入っていく。

そんな俺に続くように、夕麻とミッテルトも別荘へ入ってくる。

「貴方って本当に人間なの?」

「……俺が人間以外のなんに見える?」

「いくら神器を持った人間でも、悪魔と堕天使に余裕で勝つなんて、無理スッよ」

「そんなもの、俺がただそいつらよりも強いだけだ」

そう言った俺は、その場に立ち止まる。

「………それで、俺の部屋はどこだ?」

「2階に上がって右の一番奥の部屋よ」

「…そうか」

俺は部屋の位置を確認し、自室へと向かう。

「………で、なんでお前らまで入ってきてるんだ?」

「なんでって、私達もこの部屋なのよ」

「…………グレモリーだけでも今、殺しとくか」

「部屋が足りなかったみたいっすから、殺すのは今は止めておいたらどうすっか?」

「…………殺せば、ゲームとやらにも出れなそうだからな。今は見逃すか」

俺がそう言うと、何故か夕麻がホッとした表情をする。

「それで、私達は何をするの?」

「………模擬戦だ。本当に死と隣り合わせの状況でな。勿論、俺対二人だ」

「………いいの?二対一じゃ、いくら貴方でも無事じゃすまないわよ」

「そのときは、俺が弱かっただけだ」

俺はそう言うと、夕麻とミッテルトを連れてグレモリー達がいない、裏の森に入っていく。






























「………あの悪魔を殺すまでは、このやり方で続ける。お前らは本気で、俺を殺しに来い」

『 Authorize 』

俺が言い終えると同時に、手元に光の槍が現れる。

それを見た二人も光の槍を手に取る。

「………相手を殺すつもりでこい。手を抜けば、その瞬間に死ぬと思え!」

俺はそう言いながら、夕麻へと接近していく。

「行かせないっすよ!」

そう言って、俺に向けて槍を投げてくるミッテルト。

俺はそれを右手の籠手で受け止める。

『 Devest 』

その機械音とともに、消え去る光の槍。

その隙に夕麻は、俺に突きを放ってくるが、俺はそれを突きで受け止める。

バチッ!

互いの光の槍の先端が弾ける。

「終わりっすよ!」

そう言って俺の背後から迫ってくるミッテルト。

『 Authorize 』

俺は光の槍をもう一本出し、右手でそれを持ってミッテルトの槍に向けて振り下ろす。

ドンッ!

槍が地面にぶつかり、ちょっとした爆音が辺りに響く。

「相変わらずずば抜けた反射神経っすね!」

ミッテルトはそう言っているが、今のは一瞬遅れていたら確実に死んでいたと俺は思う。

「………お前らの動きも想像以上だ」

俺はそう言うと、前後にいる夕麻とミッテルトに向かって、両手に持った光の槍を投げる。

夕麻の反応が少し遅れたがそれでも掠りはしていない。

だが、隙はできた。

俺は一気に夕麻との距離を積めると、鳩尾に拳で一撃を入れる。

「グッ!……ミッテルト、今よ!」

そう言って夕麻は俺を羽交い締めにする。

「………悪くない手だ。だが、隙を見せるな」

俺はそう言って、夕麻ごと後ろに倒れ込む。

倒れ込んだ瞬間に、俺はミッテルトの持っていた光の槍に、蹴りを叩き込んだ。

槍は近くの木に突き刺さり、ミッテルトに隙ができるが、俺は夕麻とともに倒れている。

そのため、反撃に出れない。

しかも夕麻は倒れてもなお、俺の拘束を続けている。

「これで、本当に終わりッス!」

そう言ってミッテルトが、俺に向けて光の槍で突きを放ってくる。

その突きは、俺の喉元の少し前で止められる。

「ウチ等の勝ちっすね?」

「………あぁ、俺の敗けだ」

俺がそう言うと、夕麻が拘束を解いたので、立ち上がる。

「人間でここまで戦えるって、もはや規格外ね」

「………だが、これでは俺はアイツを殺せない」

俺はそう言って、クソ悪魔のことを考える。

「……お前らは先に帰ってろ。俺はしばらくここにいる」

「わかったわ。……無理しないようにね」

「じゃあ、先に帰ってるっすよ」

夕麻とミッテルトはそう言い残して、別荘の方へ帰っていく。

二人が去り、俺が思い浮かべるのは“あの日”のこと。

「…………あの日、俺に力があれば」

自然と両手に力が入り、爪が手のひらを少しきる。

「…………今、俺にできることは無いに等しい。だが、これだけは……」

俺は自分にそう言い聞かせるように呟き、再び黒い籠手を右手に纏う。

『 Authorize 』

そして、光の槍を手元に出す。

手に取った光の槍はゆっくりとだが、その形をあるものに変えていく。

ボンッ!

だが、その形に一瞬だけ変わるだけで、槍は爆散した。

「ッ!……俺はまだ弱いのかな?……………父さん、母さん」

槍が爆散した際の爆風で少し離れた所に飛ばされた俺は、空を見上げながらそう呟いた。

「………強くならないといけない。あの日、“弱かった俺”が何もできなかったことを後悔するなら、俺はアイツ等を殺せる力を手に入れなくてはならない」

陽が暮れかけている空に向けて俺は右腕を突き上げた。

「こいつに他にも能力があるのなら、その力を俺に寄越しやがれ」

「…ゅ~う!しゅ~う!お~いって、やっと見つけたぞ。修!」

バカでかい声を出しながら近づいてきたのは、兵藤だった。

「何の用だ、兵藤」

「何の用だって、晩飯の時間だから呼びに来たんだよ。修がここにいるってレイーーー夕麻ちゃんに聞いたから」

「……そうか」

「ほら、さっさと行こうぜ?俺も腹減ってるんだよ」

そう言って俺の手を引っ張り歩く兵藤。

「……兵藤、お前にとって親はどういう存在だ」

「俺にとって親はどういう存在って、急にどうしたんだよ。修」

「…………………」

「母さんや父さんには感謝してるよ。こんな俺をここまで育ててくれたんだからさ」

「………そうか」

「そういう修こそ、親のことをどう思ってるんだ?」

「…………………」

兵藤にそう返されて、俺は黙りこんだ。

「………感謝してもしきれない。俺の我儘に文句を言わずに育ててくれた………それなのに、俺は!」

「し、修?」

「ッ!な、なんでもない。……早く行くぞ」

俺はそう言って早々と先に歩いていく。






















































~一誠Said~

夕飯の時間になり、部長に頼まれて修を連れて別荘に帰ってきた俺は料理が置かれた席に座った。

「お疲れさま、イッセー。さぁ、皆揃ったことだから食べ始めましょう」

部長のその一声で一部を除いてそれぞれが、料理を口にしていく。

「あれ?たべないのか?修」

俺は料理を食べ始めない修を見て、そう言った。

ガシャンッ!

「………悪魔の作ったものなんか食うわけがないだろ」

そう言って立ち上がった修は、続けて言った。

「夕麻、ミッテルト、少し手伝え」

「夜鞠君、何をするつもりかしら?」

「自分の飯くらい自分で作るんだ。文句はないだろ」

そう言って、いち早く部屋から出ていく修達。

「……はぁ~。今さら彼に何を言っても無駄よね。………イッセー、今日の特訓で何かわかったかしら?」

部長が溜め息混じりに、俺にそう問いかけてくる。

「………俺が一番弱かったです。人間の修よりも……………」

俺は今日一日で感じたことを部長に言った。

「そうね。確かに、今の段階ではイッセーがこの中で一番弱いわ」

「だけど、イッセーは今回のゲームの要だと私は考えているわ」

部長のその一言に俺は驚いた。

「お、俺ってそんなに重要な位置にいるんですか」

「えぇ、イッセーの持つブーステッド・ギアは所有者が強ければ、強いほど無限の可能性が備わっている筈よ。だから、今回の特訓はイッセーをトコトン鍛えていくつもりなの。いいわね?」

「はい!絶対にあの焼き鳥を倒してみせます!」

「ふふっ。そのいきよ」

俺は絶対に焼き鳥を倒すことを決意した。

「食事を終えたらお風呂に入りましょうか。ここは温泉だから素敵なのよ」

ーーーーッ!

部長の一言に俺の意識がエロに塗り替えられる。

「僕は覗かないよ、イッセー君」

木場がニコニコスマイルで先制パンチをしてくる。

「バッカ!お、おまえな!」

「あら、イッセー。私たちの入浴を覗きたいの?」

そう言った部長はクスッと小さく笑う。

「なら、一緒に入る?私は構わないわ」

その一言で俺に衝撃が走る。

「朱乃はどう?」

「イッセーくんなら別に構いませんわ。うふふ。殿方のお背中を流してみたいかもしれません」

満面の笑みで朱乃さんが肯定する。

「アーシアは?愛しのイッセーとなら大丈夫よね?」

部長の問いかけにアーシアは顔を真っ赤にして、うつむいてしまったが、小さくこくりと頷いた。

「最後に小猫。どう?」

当の小猫ちゃんは両手でバッテン印を作る。

「………いやです」

拒否られたぁ!?

「じゃ、なしね。残念、イッセー」

クスクスと悪戯っぽい笑みで部長が言う。

「…………覗いたら、恨みます」

小猫ちゃんに先制を食らった。

「イッセーくん、僕と裸の付き合いをしよう。背中、流すよ」

「うっせぇぇぇぇぇぇッ!マジで殺すぞ、木場ぁぁぁぁ!」

俺の怒りの慟哭が別荘に響き渡った。






























































~修弥Said~

グレモリーに山に上らされた二日目。

一階にあるリビングで兵藤達は勉強らしきことをしていた。

俺は無視して昨日の続きをしようと思ったが、コカビエルという名が聞こえ、その部屋にいることにした。

だが、コカビエルの詳細な情報は全て知っているものばかりだった。

時間の無駄だったか。

そう思っていると、次は金髪の女の悪魔が中心となって話し始めた。

内容は悪魔の弱点についてだった。

その内容も知っているものばかりだったが、気になったのは聖水の作り方。

金髪の女………確か、アルジェントだったような。

「アルジェント。俺にその聖水とやらの作り方を教えろ」

「へ?あ、はい。構いませんよ」

「意外ね。夜鞠君が私達に頼み事をするなんて」

グレモリーがそんなことを言っているが、俺だって悪魔に頼み事なんてゴメンだ。

だが、いつかあの悪魔に遭遇すれば少しでも有利になり得る手が欲しい。

「悪魔を手っ取り早く殺せる手が欲しいだけだ」

俺はそう言って、二日目はアルジェントに作り方を教わっていた。
































~最終日~

俺はグレモリーに呼ばれ、一階のリビングに一人で渋々向かっていた。

因みに、夕麻とミッテルトには、五日目にある物を探させるために先に帰らせた。

「………グレモリー、用があるならさっさと済ませろ」

「あら、私は貴方にお客さんが来ているから呼んだだけよ」

「………俺に客だと?」

グレモリーにそう言われ、部屋をよく見るとソファーにある人物が座っていた。

「生徒会長が俺になんの用だ?」

「生徒会宛に貴方の荷物が届いたので、こちらまで持ってきたのですが」

そう言った生徒会長の隣には、長方形の木箱が置かれていた。

「………なるほど、こいつがそうか。確かに受け取った。用がそれだけなら、帰っていいぞ」

「なっ!?夜鞠君、何故貴方の荷物が生徒会宛で届くのか、聞いてもいいですか?」

「………仕返しってことにしとく」

俺はそう言って木箱を手に取る。

「………グレモリー。俺も帰らせてもらう。ここにいる理由も元から無かったが、これで用も無くなった」

「ちょっと、待ちなさい!夜鞠君!」

俺はグレモリーを無視して部屋から出ていく。

そして、自室に戻り荷物をまとめて出ていく。

木箱だけはカバンに入らなかったので手持ちだが、山を下りるのに邪魔にはならない。

そんなこんなで強制的に始まった、山での特訓とやらは終わった。

 
 

 
後書き
次回、7話『復讐者とレーティングゲーム』 
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