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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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13.将来を真剣に悩むと不安になる。楽観視すると失敗する。どうすればいいの?

<セントベレス山-山頂大神殿建設地>

目の前で父を殺され、自由を奪われ早10年。
奴隷へと身を落とされ、10年間過酷な労働を強いられた俺は今日も鞭で打たれている。

(ビシッ!)
「歌ぁ、歌ってねぇーで働け。ボケェ!」
「いたっ!いたいッスよ!旦那ぁ~」
「てめーは目を離すとすぐサボる!いい加減にしろ!」
そう怒鳴り散らし獄卒は巡回を再開させた。

うむ?今日も怒られてしまった。
何だ?
選曲が悪かったのかな?
『それが大事』は、場の雰囲気に合っていると思ったのだが?
今度は『ガッツだぜ!』にしよう。

「お前は相変わらずだな」
振り向くとヘンリーがそこにいる。
「ヘンリーこそ、またサボってんのかよ」
「俺のは『ちょっと、一休憩』だから」
「随分長い『ちょっと』だな…何でサボってるヘンリーは怒られなくて、頑張っている僕ばかり怒られるんだ!?」
「…お前、歌ってるからだらろ」
「みんなの心に活力を与える為に、頑張って歌ってるのにぃ~!」
「………」

翌日早朝、タコ部屋(奴隷達が食事と睡眠をする部屋)に新人がやって来た。
かなりの美人!
これは仲良くなるしかないね!
「やぁ!お嬢さん。僕はリュ(ドカ!)カはぁ~………」
ヘンリーにドロップキックをされた。

「お前はマリアさんに近づくな!」
へー、彼女マリアさんって言うのかー…じゃなくって!
「何すんのヘンリー!」
「お前はマリアさんに近づくなと言っている。彼女が汚れる!」
何かひどい事言われている気がする。
「そんなヘマはしないよ!それに今まで全部ヘンリーが邪魔してきたじゃないか!」
「当たり前だ馬鹿!もし彼女が身籠もりでもしたらどうする!ここでは身籠もった女は殺されるんだ!」
そう…妊娠した女性は働き手として役に立たない。
産まれてくる子供も無駄飯ぐらいと見なされる。
奴隷同士で愛し合い、殺される女性を何度か見てきた…
更に許せないのは獄卒の慰み物にされた挙げ句、身籠もった為殺すという事もある事だ。
俺たちに人権は無い…イヤになる!



タコ部屋でダベっていると、いつの間にか時間になっていた。
今日もステキな20時間労働!
他の奴隷が二人がかりで運ぶ様な木材を、一人で運び(10年間の努力の成果)マリアさんの事を思い出す。

酷い話だ…長年に渡り教団に使えてきたのに、教祖のお気に入りの皿を割っただけで奴隷かよ!
番町皿屋敷を思い出すね。
最近の若い子は知らないかな?

そんなこんなで俺は鼻歌交じりで『ガッツだぜ!』を歌い木材を運んでいると、前方の人集りの向こうで女性の悲鳴と鞭の音が聞こえる!
「またか…」
そう呟き、俺も人集りの中へ入る。
みなそれぞれの仕事の手を止め、一人の奴隷とその奴隷に鞭を打つ獄卒達を見ている。
辺りを気にすると横にヘンリーの姿もある。
…何でこいつ何時も手ぶらなんだ!?
「…くそっ!あいつら…許せねぇ…」
そう呟くヘンリーの視線の先を見ると、マリアさんが獄卒達に暴行されている!

「俺様の靴に泥を付けるなんざぁ許せねぇ!おめぇ新人だったな。へっへっへ…この詫びはその身体で払ってもらおうか!」
獄卒(名前知らないので"A"と呼ぶ)はイヤらしい笑みを浮かべると、マリアさんの服を引き裂いた!
「「野郎!!」」
俺とヘンリーは同時に飛び出した!
その女は俺が目を付けたんだ!ヘンリーの目を盗んで絶対ものにするつもりなんだよ!
そんな思いを込めて持っていた木材を獄卒Aに投げ付ける。
あり得ない大きさの木材を、あり得ない力で投げ付けて、あり得ない勢いで押し潰されれば、あり得る事態はただ一つ…獄卒Aは無惨な姿になった。

ヘンリーの方を見ると落ちてたスコップを武器に、獄卒B・Cとやり合っている。
その間に獄卒D・E・F・Gが、俺の方に怒り狂って攻撃してきた!
俺はバギマを唱え、ほぼ瞬殺にする。
連中は知らない。
俺が魔法を使える事を。
今までホイミやスカラで自分や仲間達を守ってきたが、ばれない様にこっそり使っていた為、連中は知らないのだ!
俺はマリアさんに近づきホイミで傷を治す。
マリアさんは服を裂かれ、白い肌を露わにしている。
うん!いいオッパイだ!

やっと獄卒B・Cを倒したヘンリーはボロボロになりながら(弱ぇーな…こいつ!)俺を押しのけ、マリアさんに自分の服をかけてあげた。
何か俺が一番活躍したのに、美味しい所持って行かれた気がする?
そうこうしていると騒ぎを聞きつけた兵士達が、大勢で俺達を取り囲む様に布陣する。
やっべー!逃げるタイミング逸した!

ヘンリーは壊れたスコップを構えまだ戦うつもりの様だが…しかし俺は両手をゆっくり上げて降参する。
「ヘンリーもうよせ!これ以上は、他の人達に被害が及ぶ!」
「ちっ!」ヘンリーも状況を理解したらしく、渋々スコップを捨て、両手を上げた。
「これは…いったいどういう事だ!ん!?その女は…」
兵士の中から兵士長が現れ状況を確認する。
「は、はい…この女が反抗的でしたので、指導していたら…そいつら二人が突然暴れ出しまして…」
辛うじて生き残った獄卒がチクリやがった!
ヘンリーが相手をしていたヤツだ…トドメ刺しとけっつ~の!

「…うむ!では、その二人を牢に閉じこめておけ!女の方は…向こうで手当をしてやれ」
そう言うとマリアさんを乱暴に立たせ、強引に連れて行こうとする。
手当の必要無いし!
俺が治したし!
「あー、そんな事言って彼女にエッチな事するつもりだろ!」
「黙れ!」
兵士の一人が俺を殴る。
「いいや、黙らん!あの顔はスケベ男の顔だ!同類だから分かるもんね!」
しかし俺の事を無視して、マリアさんは連れて行かれた。
俺は兵士に小突かれ連行される…
俺の訴えは無視された…


俺とヘンリーは、牢屋へ閉じこめられている。
「あ~あ…きっと今頃マリアさん、あのスケベ兵士達に、あ~んな事や、こ~んな事されてるんだろうなぁ~…」
「ちょっと、黙れ…」
「僕が狙ってたのになぁ~。あ~んな事や、こ~んな事、そ~んな事をしようと思ってたのになぁ~…」
「黙れ…いい加減…」
「きっと彼女、処女だったよ!さっきまではね!それなのに、あの兵士達に今ご「うるせぇー!お前、黙れよ!」
ちょー怒られちゃった!

あれ?
もしかしてヘンリー…
「ヘンリーさん、ヘンリーさん!」
「んだよ!もう静かにしてくれよ!」
「ヘンリーさん、もしかして彼女に『ム』の字?」
「それを言うなら『ホ』の字だ!馬鹿!!………はっ!い、いや、これはその…」
ニヤリ!
「それならそうと言ってくれればいいのにぃ~」
ヘンリーは顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。
純情よのぅ。

「よし!そーゆー事なら!ナイトヘンリー殿。囚われの姫君を助けに参りましょうか」
「助けるって…閉じこめられているんだぞ!どうやって…?」
「ふっ…こんな扉こじ開ける!」
そう言って扉に向かう…が、
(カチャリ、キィ~)
勝手に扉が開いた…

「何?」
「何事?」
「…僕の…おかげ?」
「…何が起きたかは解らないが、これだけは判る!お前のおかげじゃない!」
イヤン!


牢から出ると、そこにはマリアさんがいた。
どうやらエッチぃ事はされてないらしい。
「マリアさん!無事ですか?」
ヘンリーが駆け寄り無事を確認する。
まぁ、今回は譲ってやるよ!
「ええ!私は大丈夫です。ヘンリー様とリュカ様こそご無事でしょうか?」
「俺は全然平気です!鍛え方が違いますから」
よく言うよ!
お前ボッコボコ状態だったくせに!
俺がホイミで治したんだよ!俺が…

俺はヤレヤレと言った感じで2人に近付いて行く…
すると脇の水路の方から先程の兵士長が姿を現した!
ヘンリーは慌ててマリアさんを庇う様に立ちはだかり、俺は二人と兵士長の間に立ちはだかる!
「待って下さい!その人は味方です!」
今にも襲いかかりそうな俺達を止める様に叫ぶマリアさん。
「え?」
「…?味方?…味方ってアレ…あの、味方?」
俺とヘンリーが混乱していると、

「兄のヨシュアです」
「妹のマリアが世話になった…心から感謝する!」
兄!?妹!?俺、ピンチ!?



長年、教団に使えてきたが妹を奴隷にされて忠誠心は無くなり、教団に対して愛想も尽きた。
奴隷の中に生きた目をした俺達に妹を託し、ここから逃がそうとしている。
と、言う事だ。

「逃がすって言っても、どうやって!?」
どうやらヘンリーは半信半疑の様だ。
まぁムリもない…
「死体を捨てる為の樽がこの奥にある。それを使いお前達三人をこの水路から流せば、脱出出来るはずだ」
「三人って、ヨシュアさんはどうすんだよ!」
「樽を流す為のスイッチが離れた所にあってな!それを押す人間が一人いるのだよ!ヘンリー、リュカ…妹を…マリアを頼む!」
「…」
ヘンリーは俯き黙って頷いた。

「マリアさんはそれでいいの?」
「…私は…」
「リュカ!マリアさんの気持ちも解ってやれ!」
「いや!『マリアさんを頼む』と言われた!だからマリアさんの気持ちを優先する!」
個人的には、むさいオッサン等はどうでもいいのだが、美人の涙に弱い質なので…
「…私は…ヘンリー様にもリュカ様にも無事でいて欲しい!だから、これしか方法が無いのなら…うっうっっ…兄さん…」
マリアさんは俯き涙を流す。
あぁ…俺はコレを見たくなかったのに…

ヘンリーとヨシュアさんは俯き唇を噛んでいる。
「つまりマリアさんもヨシュアさんを犠牲にはしたくない…って事だよね!」
「そうですが、しかし…」
「リュカ!無理言うな…どうすることも「ヨシュアさん。鎧を全部脱いで下さい」
俺はヘンリーの言葉を遮り、ヨシュアさんに指示を出す。
「「「え!!」」」
「鎧を脱げば、なんとか四人樽に入れる!」
「スイッチはどうすんだよ!」
「まぁ、何とかすっから、入って、入って!」



 
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