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オズのポリクローム

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第八幕その八

「仕方ないですね」
「私が会えなくても」
「それでもね」
「あの、それでだけれど」
 ここで、でした。ナターシャが飛行船の中から三百六十度見られる様になっているお空を見つつでした。皆に言ってきました。
「下に凄いのが見えるわ」
「凄いって?」
「ええ、下を見てみて」
 自分達の、というのです。ジョージにも。
「夜で見えにくいけれど」
「あれっ、あれは」
 ジョージはナターシャの言葉に従って下を見てみました、するとです。
 夜のお空の中にでした、暗いので確かには見えないですが。
 お魚がいました、それも一匹や二匹ではなく何千匹といる感じです。沢山のお魚達が群れを作って飛んでいます。
 そのお魚達を見てです、ジョージも言いました。
「オズの国じゃお魚もお空を飛ぶんだ」
「ええ、そうよ」
 ポリクロームがジョージに答えました。
「そうしたお魚もいるの」
「そうなんですね」
「これまでもいたと思うけれど」
「あっ、そうだったんですか」
「ええ、そうだったのよ」
「これまで気付きませんでした」
 こうポリクロームに答えるのでした。
「そうだったんですね」
「そうなの、結構飛んでるから」
「よく注意して見れば」
「すぐに見えるわ」
「今みたいにですね」
「そうよ、種類も多いわよ」
 お魚のそれもというのです。
「鮫もいたりするわよ」
「えっ、鮫もいるんですか」
 鮫と聞いてです、ジョージは怖がるお顔になりました。他の四人も同じです。
「襲われたりしません?」
「私達は襲われないわよ」
「精霊さん達はですか」
「ええ、空のお魚はお魚と鳥だけを食べるから」
 だからというのです。
「私達は食べないわよ」
「だといいですけれど」
「中には凄く大きな鮫もいるわよ」
「ホオジロザメとかですか」
「その鮫もいるわね」
 オズの国のお空を飛ぶ鮫の中にはというのです。
「そういえば」
「何か凄いお空ですね」
「オズの国だから」
 これがポリクロームの言う理由の根拠でした。
「そうしたことも普通にあるの」
「そうなんですね」
「不思議の国だから」
 こうも言うのでした、そしてです。
 皆は晩御飯を全部食べてでした、それからです。
 後は皆で寝ました、朝になるとまずはお風呂に入りました。お風呂の中から朝日が雲の上から出て来るのを見ながらです。
 ジョージは湯船の中から満面の笑顔で言いました。
「こんな冒険はじめてだよ」
「うん、お空を飛びながらね」
「お風呂に入って朝日を見るなんてね」
 一緒に入っている神宝とジョージが応えます。
「これまでなかったよね」
「物凄い旅だよ」
「そうだよね、お空にいてね」
 それでとです、また言ったジョージでした。
「お風呂も楽しめて景色もだから」
「こんな旅が出来るなんて」
「外でもないよね」
「いや、お空っていったら飛行機だけれど」
 それでもとも言うジョージでした。 
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