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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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6.吊り橋効果は有効だ。だからこそ誠心誠意紳士的な態度で取り組もう。

<アルカパ-ダンカンの宿屋>

う~ん…ガキ相手に大人気無かったかな?
軽くブチ切れちゃったもんな…でも、動物好きなんだよ俺。
以前付き合っていた彼女が猫飼っていてさ。
彼女の部屋に行く度に猫と戯れていたのよ。
全然彼女の事ほっといてね!
そしたら、ふられた!
なんだよ!
俺、動物好きの良い奴じゃん!
やっぱり男は顔か?
顔が良ければ、放置プレイもバッチ来いなのか?

あ、いけね!
そう言えばさっきもビアンカとデート中だった!
さっきから少し沈み気味のビアンカを見てフォローを入れる事にする。
「ごめんねビアンカ。せっかくのデート中だったのに…」
ビアンカはデートと言う言葉を聞いて顔を赤らめた。
あれ?
俺はデートのつもりだったが、ビアンカは違ったか?
うーん…ここはあまりフォローを入れない方がいいだろ。
やりすぎると、せっかくさっき買ったヘアバンドを『こんな物いらない!』とか言われて、叩き返されかねない。

「ねぇ…リュカはお化け…怖くないの?」
あぁ、な~んだ…
お嬢ちゃんはお化けの事が怖くて沈んでいたのか。
ファンタジーの世界に生きていて、お化けも何も無いだろうに…
俺はてっきり『私と猫。どっちが好きなの!』って、懐かしい台詞を聞く事になると思った。(因みに『両方!』と答えてはいけない)

さて…何て答えるのがベストだろうか?
ビアンカは姉御肌気味だからな…あんまり『俺、最強』的を押し出さない方がいいな。
「うん、ちょっと怖いけど…あの猫さん助けたいから!」
前半は少し困惑の表情で…後半はキラリとエンジェルなスマイルで!

すると、もう『キュン!』とか聞こえてきそうな表情で俺を見つめる美少女が…
瞳を潤ませ、両手を胸で握り締め俺を見ている。
「リュカ。待たせたな!ダンカンは薬が効いてきたのか良くなりつつある。あまり遅くなるとサンチョが心配する。帰るとするか」
おぉっと!ここで帰る訳にはいかない!
何とか駄々をこねて、一晩滞在を促さないと…
「お父さ「何言ってんだい!ここまで世話になって、このまま帰す訳にはいかないよ!せめて、今晩だけは泊まっていきなよ!今からじゃサンタローズに着くのは真夜中になるよ!」
「うむ……………そうだな。今晩だけご厄介になるか!」
ナイス!アマンダさん!
「厄介なもんかい!何だったらずーといてくれてもいいんだ!リュカなんかうちの息子にしたいぐらいだよ!」
「やだ!お母さん…」
そう言うとビアンカはアマンダさんの後ろに隠れて、恥ずかしそうに俯く。
「ビアンカ…その新しいヘアバンドだって、リュカに買って貰ったんだろ?もう、何かお返しをするとしたら、ビアンカお前自身を貰ってもらうしかないだろ」
おいおい!たかが140Gで娘の人生縛るなよ!
俺としては、7.8年後ビアンカとシッポリ出来れば、それでいいから。
何もかも豪快なアマンダさんの料理は、やはり豪快で非常に美味しく大満足な状態で深夜を迎えた…



よし!父さんは熟睡しているな!
剣も持ったし、道具も準備した!
明け方までには戻らないとなぁ…うん!急ぐとしよう。
俺はゆっくりと部屋のドアを開け出て行く。

しかし、そこにはビアンカが待ちかまえていた。
「ビアンカ?どうしたの?眠れないの?夜這い?」
「夜這いじゃ無いわよ!もう…何でそんな事知ってのよ!」
「じゃぁ、どうしたの?僕、急がな「私も一緒に行く」
「え?トイレに?」
怖くて1人でトイレに行けないのか?…イヤイヤ、ここまで1人で来る方が遠いだろ!

「違うわよ!レヌール城のお化け退治によ!」
おいおいおい!何言ってんだ、この嬢ちゃん!
お前、めっさビビッてたじゃん!
「え?でもビアンカ。お化け怖いんじゃないの?」
「そりゃ、少しだけ怖いけど、私も猫さん助けたいの!」
イヤイヤイヤ!お前、ものっそい怖がってたじゃん!
「でも、モンスターだって出るし、危ないよ!」
つーか邪魔だよ。
「それはリュカだって同じでしょ!それに私だって戦えるんだからね!」
そう言うと俺の目の前に『いばらの鞭』を見せつけた。

正直足手まといッス。
昼間一角ウサギに襲われた時も、ビビッて動けなかったのに。
「連れて行かないと、この場で大声出すわよ!みんなにリュカが勝手に外へ出ようとしている事、ばらすわよ!」
えぇ~…何それー!?
本末転倒って言葉知ってる?
猫さんを助ける事が目的なんだよ?
「分かったよ…でも、僕の側から離れないでね!危なくなったら、僕の事はほっといて逃げてね!」
ビアンカが怪我をしない様に注意していかないと…ビアンカだけは守らないと…
あ~…なんかごっさ難易度が上がった気がする。




<アルカパ~レヌール城街道>

当初俺は、慎重に行動をしていた。
極力戦闘を避け、モンスターに気付かれない様に静かに行動する。
しかしビアンカは恐怖に飲まれていた。
物音に過敏に反応し、悲鳴に似た声をあげメラを打ちまくる。
何もない所4カ所にメラの焦げ跡を残した。
これだったら、戦闘をした方がいい。
戦闘をして勝てば、それが自身になり恐怖が和らぐ。
そう思ったから、俺はあえて歌を歌い出した。
明るい歌を、元気が出る歌を。

俺はトトロの『さんぽ』を大声で歌っている。
案の定レヌール城へ着くまでの小一時間、18回にも及ぶ戦闘を繰り広げた!
最初の内は、俺一人で戦っていた様なものだった。
しかし戦闘を難なくこなし、勝利していった為かビアンカの恐怖心は薄れていった。
後半はビアンカも戦闘に参加し、俺の指示通り動きコンビプレーを炸裂させる!
「ふん!私にかかればたいしたこと無いわね!」
「…」
つっこみません!えぇ、つっこみませんよ!
自信を持つ事は、いい事だ。つっこみませんよ!



…お前、さっきまでものごっつビビッてたじゃん!!




<レヌール城・外>
ビアンカSIDE

「♪やっ~てきましたぁ~レヌ~ルじょ~う、お化けい~っぱいレヌ~ルじょ~う♪」
リュカが私に気を使って、変な歌を歌ってくれたから、なんとかここまで来る事が出来たけど、不気味にそびえ立っているレヌール城はやっぱり怖い…
(ガチャガチャ!!)
リュカが正面玄関のドアを開けようと、乱暴にドアを揺すってる。
「開かね!」
え!?開かないの?
それじゃ、中に入れない…お化けも退治出来ないし、猫さんも助ける事が出来ないわ!

「リュカどうす…る?!!」
私は事態の頓挫に頭を悩ませていると、リュカが居なくなっている!
私一人になってる…ヤダ…ウソ…どこいったのリュカ?
「リュカー!!!!」
私は大声でリュカを呼ぶ!
今にも泣き出しそうな声で!

「な~に~ビアンカー?」
え!?
リュカは城を回り込んだ奥の方から顔を出し、いつもの様に緊張感が無い声で私に話しかけてきた。
「こっちにハシゴがあって、そこから中に入れそうだよー!」
「もう!勝手に動き回らないでよ!一人で行動したら、危ないでしょ!」
「えへへ。ごめーん!」
そう言うと、私の手を引きハシゴの所まで誘った。

ビアンカSIDE END


<レヌール城・外>

正面玄関が開かない事につい苛立ってしまい、ビアンカの事忘れて歩き回ってしまった。
泣きそうな声だったなぁ…可哀想な事した。
「あら、本当!ここから上がれば中に入れそうね」
俺の手をしっかり握りながら、ビアンカはハシゴを見上げている。
「レディー・ファーストよ!私が先に登るからリュカはハシゴを押さえておいて」
少しガタ付くハシゴをガタガタさせながらビアンカが指示をする。
はぁ~…戦闘以外は好きな様にさせるか…

「じゃぁ、しっかり押さえておくのよ!」
「うん!大丈夫だよ。」
そう言うと、ビアンカは一段一段ハシゴを登っていく。
俺の頭上1メートルほど登った所で、俺はある事に気付いた。
そして、いらぬ一言を発してしまった。
「あ!今日は猫さんのパンツだ」

「え!!きゃー、エッチ!!」
ビアンカは慌てて両手でスカートを押さえる。
しかし、ハシゴを登っている最中に、両手でスカートを押さえると落下する。
気付いてハシゴを掴もうとしても、もう遅い。
見上げていた俺の顔に、猫さんが近づいてくる。
そして、猫さんと口吻を交わすと、そのままの勢いで後ろに押し倒される。
うん、言うまでもないが、俺は顔をビアンカの尻に敷かれ横たわっている。
普通女性のパンツが見えたら、きっともっと見ていたいので女性には告げないだろう。
しかし、8歳の女の子のパンツなんぞ、見れても見れなくてもどっちでもいい。
きっとここら辺のエロスの境界線が、災いしているのだろう。
気を付けよ。


<レヌール城>
ビアンカSIDE

私は今、真っ暗闇にいる。
真っ暗闇でひとりぼっちだ。
どうしてこんな事になったんだろう?
リュカから離れてしまった事がいけなかった。
「怖いよぅ…リュカ…助けて…」

(少し前の事)
どうしよう私!
リュカの顔、お尻で踏んじゃった!
リュカにエッチな事しちゃった!
私が先程起こったハプニングに、身悶えていると、突如私達が入ってきた出入り口に、鉄格子が降りてきた。
私が慌てて出入り口に駆け寄ると、お化けが現れて、私を攫っていく。

そして私は真っ暗闇で一人泣いている。
「ひっく…リュカぁ…ぐすっ…」
どこからともなく、重い物が擦れる音が聞こえる。
少しずつ視界が開けた。
そこにはリュカが心配そうな顔でこっちを見ている。
リュカぁ…

ビアンカSIDE END


<レヌール城>

心身共にダメージを受けたが、なんとか入城に成功した。
ビアンカは恥ずかしかった様ではあるが、あまり嫌な思いをした印象はない。
むしろちょっと喜んでいる様に見える。
変な趣味に目覚めないといいなぁ…

俺が先を急ごうとすると、出入り口が閉ざされ、ビアンカがガイコツどもに攫われた!
どういう仕組みかよく分からんが、ビアンカごと壁をすり抜け中庭の方へ降りてった。
俺は慌てて後を追う!
階段を下り、中庭への扉を見つけそこに駆け寄る。
その瞬間、背後から殺気を感じ横に飛び退く!

振り返り身構えると、そこには動く石像がいた。
ハニワを潰した様な顔をしている。
(ぼそっ)「うわぁ~…不細工~」
どうやら聞こえたらしく、めっちゃ攻撃してくる!
幸い石製の所為か動きは遅い。
でも堅い!斬りつけてもあまり効かない。
手が痺れる。
距離をとってのバギも効果が薄い。
「僕、君に構っている余裕無いんだけどなぁ。」
無論、話して聞く様な相手じゃない。
しょうがない…

俺は銅の剣を鞘に収め、両手をヤツに翳す。
ヤツが俺に突進してくる。
両手でヤツを押さえ込み、威力を高めた『バギマ』を打ち込む!
「くらえ!ゼロ距離バギマ!」
やっと動く石像を倒し、慌てて中庭へ向かった。
そこには元は立派な墓が2つあった。
今は、見る影もなく荒れ果てている。
その墓に『リュカの墓』『ビヤンカの墓』と、きったねー文字で上書きされてある。

俺は、『ビヤンカの墓』と書いてある方を、力任せに開けた。
ビアンカが泣きながら閉じこめられている。
俺は、ビアンカを抱き起こすと、体中を確認し
「ビアンカ、怪我は無い?大丈夫?」
涙を見られたくないビアンカは、急にそっぽを向き
「遅いじゃない!何してたの!?」
と、怒り始めた。

どうやら怪我は無い様だ…良かった~!
俺はビアンカの顔を胸に抱き、
「ごめんね。もう一人にしないから…ごめんね…」
と、そっと呟く。
「まぁ、いいわ。助けに来てくれたから…」
そう言って、声を押し殺して泣き出した。
俺は、ビアンカが泣き終わるまでの数分間、動かずに抱きしめ続けた。



 
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