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大統領の日常

作者:騎士猫
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本編
  第四十二話 首都戦10 介入者

 
前書き
結局出してしまった。

今回は早めに投稿できた・・はず。
シーンでやる気の出具合が違うから、投稿スピードがバラバラ・・・ 

 
西暦2115年 11月 14日
大統領座乗艦シヴァ


「全艦戦闘配置!繰り返す!全艦戦闘配置!」
「くそっ!どこから攻撃されてるんだ!」
『こちら戦艦ロートリンゲン!現在大破炎上中!至急救援を願う!』
『第三戦隊の損耗率7割!」
「ロングレンジ攻撃だと!」
混乱状態に陥った艦橋をハイドリヒが冷静に指示を出して落ち着かせようとするが、次々と舞い込んでくる被害報告にハイドリヒも若干焦りを感じつつあった。
そんな中オペレーターが叫ぶ。

「前方、射程圏外の空間に艦影!大型艦1中型艦5小型艦多数!」
「艦種識別・・・」

「ミレーニアス王国軍!!」

「・・・っ・・」

【ミレーニアス王国】
20世紀半ばに突如建国した、謎多き国。
分かっているのは君主制であることと、国土が南極であり人口は1千万ほどであること。そして驚異的な技術力を持っていることである。これまでタールント共和国との戦争するのみで、2大国家には与することは一度もない。


西暦2115年 11月 14日 推奨BGM「ガトランティス襲撃」


■ミレーニアス王国遠征軍 空中機動艦隊前衛打撃群 旗艦ムキナ


「データ照合、ロンデベルトのシヴァ」
「火炎直撃砲が一番槍を入れた」
部下の報告に指揮官と思われる者が後ろにいる部下に対して言った。
「メガルーザに映像転送!」


■ミレーニアス王国遠征軍 空中機動艦隊本体 総旗艦メガルーダ級打撃戦艦メガルーザ


「前衛打撃群よりの映像!」
モニターに映るシヴァを見ながら、毛皮を何枚も身にまとい、腰には遊牧民族のサーベルらしきものをさして、ソファほどはあるであろう席に座った指揮官と思われる男は片手に紫色の酒のたぐいのものを持って言った。
「これが例のロンデベルトのシヴァか。まさに天佑神助!グワッハッハッハッハッ」
男はふんぞり返って笑い始めた。それにつられて周りの部下も笑い始める。見ると彼らの周りには宴会でもしているかのごとく山のように肉や魚が散乱していて、部下たちも安座をしながらほおばっていた。
一通り笑い終えた指揮官と思われる男は、近くにあった杯に酒を注いで飲み干すと、高らかと掲げた。
「ロンデベルトの統領をこの手でとらえ、偉大なる大帝陛下に献上するのだ!!」
男がそう言い放つと、部下たちはほおばっていた肉や魚を手荒く片付け、右手をあげた。

「「「ルダームに勝利を!!」」」

「「「一族に栄光を!!」」」

艦橋の両側に備え付けられている太古の太鼓がリズムよくなり始め、戦の合図のように響き渡った。





何もない空間に突如青いリングが出現し、海から飛び出してくるクジラのごとく雲を吹き飛ばしつつ艦がくるくると回りながら現れる。
「後方に新たな敵出現!数およそ120!」
「瞬間移動でもしてきたか・・・」
それはシヴァや第三独立艦隊を囲むように途絶えることなく続いて行った。

海上では2000隻を超える艦隊が、艦娘・深海棲艦を包囲していた。

そしてミレーニアス王国軍の展開が終わると同時に、シヴァに通信が入った。
数秒ノイズ音が混じり、メインモニターに先ほどの指揮官と思われる男が姿を現した。

『偉大なる大帝陛下の名において、ロンデベルト人よ。聞くがよい』

『わが名は火竜のグバル・ルダーム、ミレーニアス王国遠征軍大都督なり』
それを聞いた艦橋がざわついた。謎多きミレーニアス王国であるが、ルダームの事だけは詳しい情報が手に入っているからであった。その内容といえば、タールント共和国の2個飛空艦隊をたった100隻余りで全滅させ、占領した土地の人々を艦砲射撃で跡形もなく皆殺しにするなど、まさに極悪非道な男として恐れられている人物なのである。
そんな中、一人ハイドリヒだけがいつもと変わらぬ表情でルダームに答えた。
「こちらは、ロンディバルト軍中将ハイドリヒだ。こちらに貴軍との戦闘の意思はない。即刻兵を引き上げられよ」
『戦は武士の誉れ、兵を引くなど腑抜けの所業。和睦、ありえぬ』
「何度でも言うが、こちらに貴軍との戦闘の意思はない」
それを聞いたルダームはあざ笑うかのごとく”笑止っ”と一言だけ言うと、腰に下げた剣を取り出して続けた。

『偉大なる大帝陛下の名において、汝らに命ず。ロンデベルト人よ、わが軍門に下りて統領を明け渡すべしっ』

「・・・断わる」
ハイドリヒは言葉が終わると即答して言った。
それを聞いたルダームは笑いながらふんぞり帰って言った。
『ゥワッハッハッハッハッハッ!・・・よくぞ申した。・・・なれば・・・』

『名誉の死を与えるのみ』

再びハイドリヒを見つめてそういうと、通信はミレーニアス王国軍の方から切られた。


通信が終わるや否や、待ってましたとばかりに、前衛打撃群の2隻の空母と、洋上の空母群から艦載機が次々と飛び立った。所詮話し合いはただのあいさつに過ぎないのである。

「シヴァに一番槍を付けたは、我がムキナである!統領のそっ首、我らの手で上げようぞ!」

「「「ypaaaaaaaaaa!!!」」」

前衛打撃群の指揮官であるウェール・ラエファスは部下の士気を高めると、一度頷いてメインモニターを見た。
「100隻といったところか。赤子の手をひねるよりたやすいわ」
モニターを見ながら笑いながら言った。

「科学奴隷として王国に奉仕できる技術者と統領は生かす。んが、戦士は殺せ。女あれど生かさず殺せ!」
ルダームは剣を杖代わりに床に突きつけ、それを両手で持ちながら言った。
「「「ypaaaaaaaaa!!!」」」

「敵機大編隊接近!方位0200!距離1万2千!数およそ250!」
シヴァのレーダー士が叫ぶ。それを聞くや否や、砲雷長が迎撃ミサイルの発射を命じる、
「対空電探に感、敵機の大編隊が接近中!方位1020!距離9千!数400以上!」
それと同時に最前衛の高雄が叫び、長門が”対空戦闘用意!”と言う。

「敵機86機の迎撃に成功。なおも接近中」
「全艦近距離対空戦闘用意!全主砲三式弾装填!装填完了後、各自自由射撃!」
「対空レーザー砲射撃準備よし!」
「CWS全基、射撃準備よし!」

ケーニッヒ・ティーゲルでも対空戦闘の用意が進められていた。
「全艦対空戦闘用意!射程距離に入り次第、各艦自由射撃!」
しかし、命令を出しているのは参謀長のエルゲン准将である。彼も副官のクネートと同じように胃薬服用者の一人である。ビッテンフェルトは指揮官席ではなく、立ちあがってモニターを見つめていた。

「全艦対空戦闘用意、防巡ト防駆逐ヲ前ニ出セ」
深海棲艦は防空巡洋艦と防空駆逐艦を前衛に出して、中衛に軽巡と重巡と駆逐艦、そして後衛に戦艦や空母それを護衛する直営艦隊。最後衛に戦艦水鬼とフラグシップのみで編成された直営艦隊という4つの陣で敵編隊を迎え撃とうとしていた。
「軽空母カラ迎撃機ヲ発進サセナサイ」
空母棲姫の命令で500隻以上の軽空母から次々と艦載戦闘機が飛び立っていく。

艦娘はその各陣に均等にわかれ、旗艦である長門は最後衛ではなくその手前の後衛にて、赤城、加賀、翔鶴瑞鶴の空母部隊と、それを護衛する第六駆逐隊とともにいた。
「全艦対空戦闘用意!大和、金剛、比叡、榛名、霧島は三式弾を装填!赤城、加賀、翔鶴、瑞鶴は迎撃機を!他の艦は戦艦と空母に敵を近づけさせるな!」
長門が続けて複数の命令を出す。
「三式弾装填っ、対空電探と連動して標準合わせっ!」
大和の妖精たちがあわただしく準備を始める。
金剛、比叡、榛名が三式弾を装填している中、霧島だけが別のアニメのながとのように聞き取ること不可能に近い超高スピードで呪文のようにつぶやき続けながら、どこからか浮かび上がっているパネルをこれまた北斗の拳も真っ青なスピードで操作していき、十数秒後”完了”とつぶやいた直後、全艦娘と深海棲艦に敵のもっとも密集した地点の座標が送られた。送られた直度は戸惑うが、すぐにそれに合わせて照準を修正すると、前衛の対空射撃が始まり、中衛と後衛が三式弾による対空射撃を開始する。

霧島が艦隊の頭脳と言われるにふさわしい完璧なデータのおかげで、味方にはほとんど損害なく次々と敵機を撃墜していく。


そんな中、ルダームは艦橋に次々と舞い込んでくる損害報告で怒りが頂点に達し、剣を床に突きつけると、火炎直撃砲の発射を命じた。

「エネルギーダンパー起動!」
その命令に、艦橋の兵士たちがあわただしく動き始める。
「転送座標入力!」
「薬室内、圧力上昇!」
「エネルギー転送跳躍管ひらけっ」
艦首の角のように伸びた2つの突起部分から、転送ビームの青い光が輝き始める。
「照準合わせーっ!」
砲術士の兵士が、スコープを覗きながら発射位置を修正していく。
「攻撃隊が突出しすぎる!」
「攻撃隊め、功を焦りよって」
ガルダームが舌打ちしながら言う。
「大都督、このままでは味方に・・いえ、転送座標に誤差が・・」
副官のボトム・メルスが上官の性格を考慮して言い直しながら、発射しないほうがという意味を込めて発言をする。

「・・かまわん」

「えっ」
ルダームはにやりとあまり清潔とは言えない歯を出しながら言った。

「ふっ、我がミレーニアスの輝き、とくと見よっ!!」

「火炎直撃砲、発射ァァアアーー!!」

ゥンゥンゥンゥン・・・ビュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュッーー


「前方の空間に再び歪みが発生!」
「またワープしてくるのか!?」
ビッテンフェルトはゆがんだ空間を移したモニターを直視した。
が、そこから出てきたのは予想とは程遠い炎をまとった龍であった。

「なっ!全艦回避!!」
突然の出来事にビッテンフェルトは叫ぶように言った。
しかし、転送地点から第三独立艦隊までは10kmもなかったため、回避する暇もなく数隻の艦と、ミレーニアス王国軍の攻撃機数機がその龍に巻き込まれ、爆散していった。

 
 

 
後書き
ミレーニアス王国軍がロンディバルトをロンデベルトというのは仕様です。(決して誤字ではない)
ミレーニアス王国は当初、イスカンダルみたいな中立国家になる予定でしたが、なぜかガトランティスのような蛮族国家に・・・どうしてこうなった。 
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