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オズのポリクローム

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第七幕その三

「玉があって時々手から出して磨いているの」
「成程、そうだったんだ」
「磨かないと曇ってね」
 そしてというのです。
「制御する力が鈍るから」
「そうした事情があったんだね」
「玉がないと私の場合は虹だけど」
「虹をコントロール出来なくなるんだね」
「そう、虹をずっと出しっぱなしになるの」
 そうなってしまうというのです。
「だから制御する為に」
「精霊さん達に玉は必要なんだね」
「そうなの」
「そういうことだったんだね」
「それでなのです」
 また長が言ってきました。
「私がこうなっていてです」
「長さんの雷がですね」
「こうしてです」
「この雲をですね」
「始終覆って鳴らしています」
「そうだったのですか」
「正直困っています」
「では、です」
 ここで魔法使いがにこりと笑って長に言いました。
「私達でその玉を探して長にお渡ししましょう」
「いえ、私で探していますので」
「いえいえ、それでもです」
「探して頂けるのですか」
「はい」
 笑顔で、です。魔法使いは長に申し出ました。
「そうさせてもらいます」
「それは有り難いですが」
「空の冒険を楽しんでいましたが」 
 魔法使いはこうも言うのでした。
「困っている人を助けることは当然のことです」
「だからですか」
「ここはお任せ下さい」
 長に言うのでした。
「是非」
「そこまで仰るのなら」
「では今から探してきますので」
「有り難うございます、私も探していますが」
 ご自身もというのです。
「この通り雷を制御出来なくなっていますので」
「だからですね」
「はい、外に行けばです」
 この雲からです。
「雷で焦がしてしまい音が五月蝿く」
「それで、ですね」
「外に出られず」
「探そうにも」
「自分では出られない状況です」
 この雲からというのです。
「それで困っていまして」
「実は私達もです」
「探しているのですが」
「これが見付からず」
「困っています」
 他の精霊さん達も魔法使いにお話します、他の皆にもです。
「それで困っていまして」
「一体何処にあるのか」
「このままではです」
「お父様はずっとこうです」
 雷を制御出来ない状況のままだというのです。 
「ですからお助け頂けるなら」
「お礼は何でもします」
「是非共」
「わかっています、ただお礼はいいです」
 魔法使いはお礼については微笑んで穏やかに答えました。 
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