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オズのポリクローム

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第七幕その四

「それはお気遣いなく」
「いいのですか?」
「そのことは」
「ですが助けて頂いたからには」
「お礼は」
「いえいえ、当然のことなので」 
 魔法使いの返事は変わりません。
「そこはお互い様ということで」
「魔法使いさん達が困られた時にですか」
「その時に」
「助けてもらうかも知れません、ですから」
 それでというのです。
「そうしたことはお気遣いなく」
「それでは」
「それではですか」
「これからですか」
「お父様の雷玉をですか」
「探して頂けますか」
「そうさせて頂きます、それでなのですが」 
 魔法使いはあらためてです、雷の精霊さん達に尋ねました。
「その雷玉とはどういったものでしょうか」
「はい、こうしたものです」
 ここでなのでした、皆にです。
 案内をしてくれた精霊さんが手の平から丸いその手の平位の大きさの玉を出してきました。その玉はといいますと。
 赤や青、黄色に緑にと。雷の色が奇麗に混ざり合って光っています。周りには小さな雷が出ていて音を鳴らしています。その玉を見せてそうして魔法使い達にお話しました。
「これがです」
「雷の玉だね」
「はい、そうです」
「わかったよ、じゃあそれを探して見付けて来るよ」
「あの、雷玉はです」
 ここで長がまた言ってきました。
「地上には落ちません」
「そうなのですか」
「空を漂います」
「そうですか、空の上をですか」
「そして私達はオズの国の精霊なので」
 長は魔法使いにこのこともお話しました。
「オズの国の空から出ることはありません」
「だから玉もですね」
「はい、オズの国の空にだけ漂います」
「場所は限られているのですな」
「そうです」
「そのこともわかりました、では」
「はい、それではですね」
「これから飛行船に乗って探してきます」
「ではお願いします、ただオズの国だけといっても空は広いです」
 長は魔法使いに心配そうに言いました。
「そこから小さな玉を見付けることは難しいです」
「だからです」
『私達もこれまで探したのですが」
「それでもです」
「見付かりませんでした」
 他の雷の精霊さん達も言ってきました。
「これまで」
「オズの国のお空の中を探したのですが」
「それでもです」
「見付かりませんでした」
「そうよね、だから飛行船で探しても」
 ポリクロームも雷の精霊さん達のお言葉を聞いて考えるお顔になって述べました。
「それではね」
「どうしたらいいかしら」
 ドロシーも考えだしました。
「すぐに見付けるには」
「そうだね、雷の玉で」
 魔法使いは案内をしてくれた精霊さんがまだ出しているその雷玉をまた見ました。そうしてそれを見つつです。
 考えてです、その精霊さんに言いました。
「ちょっといいかな」
「何か」
「うん、少し見たいものがあるけれど」
「見たいものですか」
「避雷針を出していいかな」
「あの雷を受ける」
「そう、それを出していいかな」
 こう精霊さんに言うのでした。 
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