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オズのカエルマン

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第五幕その七

「癖が強くて」
「味はいいけれど」
「好き嫌いはね」
「どうしてもあるわね」
 二人もこう言うのでした。ですが楽しそうに食べています。
 それで朝御飯を食べ終えてからでした、皆で。
 また出発しました、皆で煉瓦の道を進んでいってでした。
 そのルーンの村に着きました、村は紫の木々が生い茂っていてまるで林みたいです。ですがその林を見てです。
 神宝はカエルマンに落ち着いた声でこう尋ねたのでした。
「ここがですね」
「うん、そうだよ」
 カエルマンも神宝の問いに答えます。
「ここがね」
「ルーンの村で」
「ルーンの人達がいますね」
「そうだよ、じゃあちょっと挨拶をするね」
 カエルマンは皆から一歩前に出てでした。
 そうしてシルクハットを取って一礼してからこう言いました。
「おはよう、友人達よ」
「あっ、その声は」
「カエルマンさんかな」
「左様」
 その通りだと答えるのでした。
「今日は友を連れて来ましたぞ」
「おお、それじゃあ」
「今から」
「出て来るね」
「どっちにしてもお迎えするつもりだったけれど」
 こう言ってでした、林の中からです。
 丸っこい、ボールみたいな小さな人達が宙にぷかぷかと浮かびながら出て来ました。灰色の身体で紫の服を着ていてです。
 頭のてっぺんだけがお皿みたいになっていて目は小さくて紫色です、その人達が何人か出て来てカエルマンに言って来ました。
「やあ、暫く」
「久し振りだね」
「魔法使いさんとケーキさんもいるね」
「それでその子供達がなんだ」
 五人を見て言うのでした。
「カエルマンさん達の新しいお友達だね」
「そういえば都にお客さんが来てたっていうけれど」
「その子達がなんだ」
「オズの国の新しい来訪者」
「そうなんだね」
「そうだよ」
 その通りだとです、カエルマンも答えます。
「この子達がね」
「そうだね、じゃあね」
「僕達も自己紹介させてもらうよ」
「これからね」
「そうさせてもらうよ」
 こう言ってでした、ぷかぷかと浮かんで飛びつつです。その飛び方は風船が浮かんでいるのにそっくりです。
 そうして風船みたいに五人のところに来て名乗りました。
「我等はルーン族」
「ルーン族の者だよ」
「このルーン村に住んでいてね」
「楽しく日々を過ごしているよ」
「あの、確か前は」
 神宝がそのルーン族の人達を見上げつつ尋ねました。
「この村に入って来たかかしさんや木樵さん達と」
「悶着があったよ」
「いや、あの頃は我々もね」
「何かと物騒でね」
「悪かったからね」 
 その時のことを反省している言葉でした。
「けれどね」
「今は反省してね」
「オズマ姫の下ギリキンの国に入って」
「完全にオズの国の住人になったから」
 オズの国の他の人達と同じくです。
「だからもうね」
「ああしたことはしないよ」
「お客さんは快く迎える」
「そうさせてもらっているよ」
「そうですか、それじゃあ」
 神宝もルーン族の人達の優しい口調での説明に笑顔で頷きました。そうしてカエルマンが皆に言いました。 
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