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IF―切り開かれる現在、閉ざされる未来―

作者:黒川 優
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序章 May―踊り始める現在
  Boy meets boys/How does she think about?

 
前書き
こんにちは。作者名を考えるのが面倒で主人公の名前をパクった作者改め、黒川 優です。

不定期、思い立った時に本編の用語、キャラの説明をしたいと思います。
それではどうぞ。 

 


(一夏side―IS学園)



「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」

「「はい!」」



今日は今年初めての1、2組合同授業。

人も2倍、活気も2倍、俺の視線を置く場所に困る確率も2倍……。
ところがどっこい。そんなことはない。
なんと今日から男の転校生シャルルが俺と同じクラスに入ったからだ。

「くぅ……」
「……一夏のせい一夏のせい……」

叩かれた場所が痛むのか、箒と鈴は涙目になりながら頭を押さえていた。
やっぱり痛いよな千冬姉の出席簿アタック。
受けるこっちの身にもなってほしい。

つうか鈴、なんか妙に不穏当かつ不当な主張をしてないか?
俺の思い過ごしならいいが、そうでない場合はこちらも法的手段に訴える!

どかっ!

「なんとなく何考えているかわかるわよ……」

あれを受けてもう動けるのか……。
前言撤回だ。箒の心配だけしよう。

「今日は戦闘を実演してもらう。ちょうど活力のある女子もいることだしな――凰!オルコット!」
「なんでわたくしが!?箒さんでは!」

あぁ、セシリアかわいそうに。二人の近くにいたせいでとばっちりを受けている。

「専用機持ちならすぐに始められるからだ」
「はぁ…」

セシリアは最初はため息をつくものの、ISを展開し終わる時にはしっかりとした面持ちになる。この切り替えはさすがだと思う。

「それで相手は?わたくしは鈴さんとの勝負でも構いませんが」
「こっちの台詞。返り討ちよ」

「バカども。対戦相手は――」

言葉を続けようとした千冬姉は何かを見て呆れていた。

―キィィィン……
――キィィィィィン――

「あああああっーー!ど、退いてくださーーぐふっ!!」

元々墜落しかけていた山田先生だったが横から流れ星のように落ちてきた何かとぶつかり猛スピードで墜落した。
煙が立ち混めり以前俺が作ったのより大きい穴がグランドにできる。

(一体何が…)

イレギュラーな事態にセシリア、鈴は構える。
煙の中から出てきたのは……

「え…優?」
「久しぶりだな一夏」

気絶している山田先生を抱き上げた優がいた。

「一夏、あいつと知り合いなのか?」
「知り合いも何も千冬姉が一時期預かっていたんだ」
「なに?」

もう一度まじまじと見る。日本人なのに金髪金眼、男なのに女っぽい肌。
間違いなく優。そして、学園の制服(一番上はカーディガン)を着ている。

「優…もしか」
「あっ、デュノア君久しぶりー」

俺のこと完全無視でシャルルの方へ行ってしまった。
ちょっと傷ついた。

「え……。嘘、黒川さん?」

シャルルは優の存在にかなり驚いていた。
そもそもなんで優の存在を知っているのか……。

「優でいいよ」
「あの、どうしてここに?委員会は?」
「どうしてって俺もここの生徒だから。これからよろしくね」
「あ、はい」

とても機嫌良さそうに握手をしていた。そう、千冬姉の存在に気づかないくらい。

スパーン!

今日も出席簿が火を噴いた。
箒や鈴にやった時よりもいい音がした気がする。

「上司への報告もせずに戯れるとはいい度胸だな」
「千冬さん……」

(上司?)

「まぁいい。早く着替えて授業に出ろ」
「…あの、実はまだ仕事がまだ終わってなくて……」

ガシっと優は千冬姉に頭打を押さえ付けられていた。
ギリギリっといっているのは擬音だけではないと思う。

「ほう……。二か月もいたにも関わらず終わってないだと…」
「痛い!マジで痛いです!仕方ないじゃですか。ここじゃないとできないんですよ」

千冬姉は優が何の仕事をしてたのか知ってるせいかため息をつきなかまらも手を離していた。

「なら、これから代表候補生二人と戦って勝ったら許してやる」
「機体は?」
「リヴァイブだ」
「了解」

その言葉にテキパキと装着し始める。どうやらかなり乗りなれているようだ。

「久しぶりね、優」
「おぉ鈴か!久しぶりだな。候補生になっていたのか」
「まぁね。まさかアンタがここにいるとは思わなかったわ」

鈴と優は3歳差であるが昔、実家の中華料理屋でご馳走になったりして互いによく知っている。

「貴方、IS を持っていないのですか?」
「あぁ。IS は持ってない。ちなみに言うと代表生とかでもない」

セシリアは返答を聞いて顔をしかめていた。が、以前俺に向けたものとは違う。
どうやら、なんで千冬姉がそんな人を自分達の相手にしたのか考えているようだった。

「準備終わりました」
「お前の場合、終わってなくても始める」
「ひどい…」
「それでは、始め!」

千冬姉の言葉で三機が大空に飛び立った。

当然、鈴は前衛、セシリアは後衛のポジションを取る。
優はマシンガンとアサルトライフルを展開。
が、持った武器に反して優は鈴に向かって加速した。

「山田先生、Conflict(コンフリクト)の説明をお願いします」
「はいっ」

ここで山田先生が復活。
ISを装着していただけあって回復は早かったみたいだ。

「Conflictというのは本来、中、遠距離武器を近接武器として使う技術です。
オールレンジで戦えるようになるので武器の呼び出しの回数が減るので隙も減るなどの利点があります。ただし、射撃武器を持った場合、スコープを見る時間はないので高い技術が必要とされます」

つまり、優も高い操縦技術があるということになる。
まぁ、上を見れば一目瞭然だな。

「ちょっとセシリア!あんた援護しなさいよ!」
「鈴さん…無理がありますわ」

鈴は不満そうに言うが、優が鈴に張り付いているせいでセシリアは援護しないのではなくできないのだ。

しかもその距離は鈴の双天牙月がギリギリ届かない距離。
だけど龍砲を使うにはウエイトの関係から優は近過ぎる。

バゴォォン!

マシンガンとライフルの応酬。
最後に零距離からのグレネードランチャーをくらい墜落していった。





(セシリアside)

「鈴さん!」

鈴さんは零距離でグレネードランチャーを受け地面へ落下していった。

(ほぼ無傷で、しかも訓練機で鈴さんを倒すなんて…)

油断していたなんてことはない。
だが、自分達と彼の間で実力の差が大き過ぎる。

「どうして貴方はそんなにお強いのですか?」
『まぁ経験の差だな。……良い意味でも悪い意味でも』
「え?」

唐突に言う彼の言葉に私は理解できなかった。
それにそれを塾考する時間を彼は与えてくれなかった。

彼の戦法が分かった以上、近接、中距離戦は分が悪い。
ビットを展開し距離を取って攻撃する。

多方面から攻撃するもリヴァイブの物理シールドに阻まれてしまう。
しかし、彼の射撃もビットを撃ち落せてはいない。

(これはお互いジリ貧ですわね)

円形制御飛翔で互いに回避しながらの射撃が続く。
このまま均衡が続くなら、手は汚いが訓練機の限界まで速度を上げて彼の移動先に弾幕を張るしかない。

しかし、その策を使うことはなかった。彼は強引に急停止。
さっきまでとは逆方向に旋回することで私に接近してきたからだ。

(甘いです……あれ?)

急いでビットに射撃を行わせようとするができなかった。
ビットは彼の攻撃を避け続けたためにちぐはぐな所を浮遊。
しかも最高速に近い状態で円形飛翔制御を行ったせいでビットは完全に置いてきぼり状態。
一瞬では制御しきれなくなっていた。

その隙を突かれ、スターライトを掴まれ踵落としをされた。とっさにミサイルビットで反撃するが、物理シールドに防がれ彼の追撃が再開される。

(まさか…わざとビットを残したというのですか)

だとしたら、ここまでの流れは全て彼の手の平で遊ばれたことになる。
インターセプターを展開できないまま一方的に攻撃を受ける。

何かが装填される。

「終わりだ」

それは鈴さんに放ったのと同じグレネードランチャー

それを零距離で受けシールドエネルギーは無くなった。




(セシリアside―自室)

サアアアアア………
シャワーノズルから熱目のお湯が噴き出す。
セシリアはそれを体に受けながらさっきの試合を思い返していた。

女性に媚びらない態度、強い意志を持った瞳。それは織斑 一夏も同じだった。
ただ彼が一夏と違うのは戦う前に言った言葉

『まぁ経験の差だな。……良い意味でも悪い意味でも』

(きっとあの言葉に彼の強さと弱さが含まれているのですね…)
あの時の彼の言葉は重く、眼差しは強く、そして表情は悲しみが見えていた。

「黒川、優……」

その名前を口にしてみる。
不思議と、胸が熱くなるのがわかる。
どうしようもなくドキドキして、何かが込み上げてくる。

「…………………」

熱いのに甘く、切ないのに嬉しい。
――なんだろう、この気持ちは。
意識すると途端に胸をいっぱいにする、この感情の奔流は。
――知りたい。
その正体を。その先にあるものを。

「…………………」

浴室は私の気持ちを表すように水が満たされていった。


(一夏side―屋上)

「どういうことだよ。なんで優がここにいるんだよ」

授業の後、砂を被ったセシリアと鈴を待っている間に俺は優に問い詰めていた。

「ゆーりん、これ食べさせてー」
「見ればわかるだろ。俺もISが動かせるから」
「なんで19のお前が俺らと同じクラスなんだよ」
「ゆーりん、これも食べさせてー」
「はいはい。いやー仕事が多くてな。出席日数が足らないだわ。
つまり留年生」

俺の気持ちの露知らず優は呑気な声でのほほんさんにご飯をあげていた。

「優が国際IS委員会にいるなんて知らなかったぞ」
「ゆーりん、これもーこれもー」
「はい、あーん。まぁあれだ。大人の事情ってやつだ」
「ゆーりん、ゆーりん」
「…………のほほんさん……」

溜め息をつきながらのほほんさんを見る。
人が大事な話をしているのに話の腰を折らないでほしい。
けど、なんか色々毒されて怒る気が無くなった。

「なんで俺に教えてくれなかったんだよ」

これだけはいくら毒されようが邪魔されようが聞く。
俺は家族同然に思ってたのに……。
その言葉に優は箸を置いて真っ直ぐ俺を見てくれた。

「対反社会勢力の人間の情報が公開されたらその本人や家族が危ないだろ?
俺はお前がまた危険な目にあうために委員会にいるわけじゃない。
お前を含めて多くの人を守るために委員会にいるんだ」
「優………」

前に俺が亡国機業に捕らえられたこと気にしてたんだな。
そうだよな。あの時、優がいなかったら俺も千冬姉も生きてるかどうか……。

「じゃあ、この話は終わりということで。篠ノ之さんも何か言いたそうだし」
「あっ。悪いな箒」

元々、屋上で食べようと話していたのだが
優の登場に聞いときゃならないことが出来てしまったので待ってもらってたのだ。
まぁセシリアと鈴もシャワー浴びたいって言ってたし時間合わせにもよかったと思う。

「ところで、シャルルと篠ノ之さん何か言いたそうなんだけど、何かな?」
「どうして彼女と仲良いの?」
「なぜ彼女と親しい?」

それは俺も思っていた。
さっきも親鳥と雛鳥のように飯を口に運んでいるし、呼び方も初対面のようには感じられない。

「簡単に言うと友達の妹だな」
「関係遠いな。俺に直すと弾の妹の蘭だろ?」
「……一夏。お前の場合かなり近いからな。ゼロになる可能性だってある」
「そんなわけないだろ……」

今だって会ってもよそよそしい態度だし
この前なんかいきなり外出用の服に着替えてたし、多分俺が家にいる間出掛けるつもりだったんだろうな。やっぱり嫌われてるようにしかみえない。

それより箒、なんでそんな睨み付けるような目で見るんだよ。
俺はまだ何もしてないぞ。

「話を戻すと俺の場合、本音は俺の飯を横から食べる時以外はそんな来ない」
「だって、ゆーりんが食べさせてくれるご飯はー美味しいんだもんー」
「ここは学食だから自分で食べても同じだろ」
「ゆーりん、それはでりぃかしぃーないー」

むーと顔を膨らますのほほんさんだが優がおかずをあげると嬉しそうに食べていった。
優、かなり扱いに慣れてるな。どこが遠い関係なんだか……。

「一夏さん。あら、本音さんもいたのですか」
「なんか知り合いだったらしいぞ」
「そう…ですか」
「へー。そうなんだ」

セシリアはのほほんさんがいることに納得し
鈴は何か別のことに対して一人納得していた。

「ところで箒、そろそろ弁当くれないか?」

箒に言われた通り何も買ってきてないから腹が減った。

「これだ」
「サンキュ。おぉー!これはすげぇな」




「そういえば、なんで箒のには唐揚げがないんだ?」
「…うまく作れたのはそれだけだからな」
「何か言ったか?」
「いや!な、なんでもない」
「愛情込めて作ったから感謝して食え、だと」
「!?」
「なんだ。そんなの当たり前だろ。ありがとな箒」
「あ、あぁ……」

箒は優が伝えてくれた言葉に怒ったような顔をしたと思ったら嬉しいような面をくらった顔をした。
よくわからないが慌ただしいな。そんな言われたら困ることあったか?

「でも、ないならないって最初に言えよ。お前が作ったやつだけどあげるのに」
「いいのか?」
「当たり前だろ」

箸で唐揚げを箒の口の高さに持っていく。
そしたら皆が少しざわついた気がした。
なんだよ?合わせ箸は下品なのは常識だろ?
そのまま箒の口に唐揚げをゆっくり入れた。

「どうだ?いいだろ?」
「うむ。唐揚げではないが、かなりいいものだった」
「これって日本で恋人がする『はい、あーん』ってやつなのかな。
あれ?そしたら優と布仏さんも恋人同士?
でも、さっきただの友達って……」

どうしたシャルル?
一人であれこれ言って。そんな悩むことあったか?
それともさっきの箒病でも移ったか?

「シャルル。はい、あーーん」
「ん?んーん?」

シャルルは困惑しながらも優が差し出した唐揚げを食べた。

「と、まぁこうされたら大抵の人は食っちゃうわけだ。
そもそも好意を持ってる人しかしないけど」
「好意を持ってる………」

優が何を言ったのか分からないがシャルルは優の言葉に一気に顔を赤くした。

「……なんでだろう。男同士なのになんか微笑ましい」
「えぇ。同感しますわ一夏さん」
「まさか優がそんなんだったなんて……」
「………………………」
「あー。私の唐揚げーー」

皆、思い思い感じたことをこぼしていた。
箒が不純とか不潔と言わなかったのは意外だな。
……ってそもそもこっち向いてなかった。
なんか自分の世界に入ってるし。

残り休み時間が少ないので俺も早足に弁当を食べた。





「なぁ、鈴辺りが白い目で俺を見るんだけど……」
「なんでだろうな。自分の胸に聞くと分かるんじゃないか?」
「一夏に言われるとなんか腹立つ」
「あぁ、私も腹が立つな性懲りもなく遅刻するお前達にな」
「「え?」」

バシーーン!!

本日何度目かの出席簿アタック
俺が叩かれない日はないのだろうか……。




黒川 優(くろかわ ゆう)

身長:160㎝程、体重:52㎏、歳:19歳

国際IS委員会AIF日本本部副隊長
専用IS:なし

見た目は中性的な顔立ち、金髪金眼、ストレートな長髪、身長が相まって女に見える。
(一夏が初めて優を見た時、箒かと思ったほど)
以前、施設の実験で左目に「越壁の瞳」右目に「オーディンの瞳」が移植された。
そのため日本人であるが両目とも金眼である。
金髪は本人曰く「遺伝」らしい。

切ってもすぐに伸びてしまう髪は本人の悩みの種の一つ。
一番の悩みは年下の一夏より背が低いことである。

19歳ではあるがAIFの仕事のせいで出席日数が足らず留年している。
中学生の時、一時的ながら千冬と一夏と一緒に暮らしていた。

モデル:東方project 様の霧雨 魔理沙×???




アリス・ファイルス

身長:156㎝、体重:作者は知りません、歳:たぶん20歳ぐらい

国際IS委員会AIFアメリカ支部所属
専用IS:お楽しみに

ナターシャ・ファイルスの妹。

AIFの入隊試験を最年少で通過した期待の新人。
しかし、上は優と千冬さんで埋まっている。
また、姉の過保護な根回しのせいでまだAIFとして実戦はなく事務仕事をすることが多い。

これもまた姉の過保護のせいか男性恐怖症になっており、男で話せるのは見た目が女である優ぐらいである。
ただナターシャは「優は女」と教えているので優が男と知ったらどうなることやら……。

モデル:東方project 様のアリス(旧作)
※このアリスの髪は金茶混じりの茶髪です。


 
 

 
後書き
今話で原作キャラ、ISを出すことが出来ました。
主人公の実力は……許して下さい。
仕方ないんです。主人公だから勝たせないと…(笑)

Conflictは「矛盾」という意味があったので使っているだけです。ちゃんとした専門用語があっても許して下さい。

それではまた次話。
読んでいただきありがとうございました。 
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