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夢のような物語に全俺が泣いた

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サポーター

「何だてめぇ…そいつの仲間か?」

声のした場所へと到着。
その場所にはベルと小さい……ローブ被ってるからわからないが兎に角一人いる。
その対象には一人の男が見幕を企ててベルを睨んでいた。

「い、いや違…初対面です」

「じゃあ何で庇う?」

「えっと……女の子だから…?」

あ、女の子だったのか。

「ああ!?何言ってんだ糞ガキ!」

「やめなさい」「そこまでだ」

そろそろかなぁっと思っていたらリューさんが動いたので俺も便乗して角から躍り出た。

「町中で剣を交えるとは…穏やかではありませんね」

「ああ!?口出しすんじゃねぇ。
とっとと失せろこの――」

男が剣をリューさんに向ける。
その行動に我慢できなかったので殺気を少し送ってみた。

「死にたくなければ今すぐに去れ。
さもなくばお前の体は2つに分離するぞ…」

リューさんも何か言おうとしていたのだろうか?
驚いたようにこちらを見ていた。

「っ…糞が!」

男はそう吐き捨てて走って逃げていった。

「はぁぁ…ありがとうございます。
助かりました。ケイさん、リューさん」

何!?リューさんを名前呼びだと!?
俺ですら声に出して呼ぶときはリオンさんと言っているのに!?
そこまでの間柄だったのか!?

「いえ、差し出がましい真似を…どうしましたか?」

「…はっ!い、いえ!何でも!」

一時的に放心していたようでリューさんに声をかけられる。

「あ、そうだ。あの子…あれ?いない…」

「ん?誰か居たのか?」

辺りを見回すベルにそう聞いた。
すぐ近くの角から気配がするけど…ふむ。

「怖くて逃げちゃったのかな…」

「あなたが怪我をするとシルが悲しみます。
気を付けてください」

「あ、はい」

ん?シル嬢?

「では、私たちはこれで」

「えあ、ベル、夕食は豊穣の女主人に来いよ。
お前さんとこの主神つれてな」

「え?」

「奢ってやるさ」

「わ、わかりました!」

ベルの返事を聞き、リューさんを追いかけて走っていく。

「貴方は…いえ、何でもありません。
早く帰りましょう。ミア母さんが待っています」

「え?あ、了解です」

何を言おうとしたんだろうか?
大したことじゃないのかもしれないけど、会話が弾むのなら聞いてほしかったな…。

その後、ベルが来るまで手伝いを続け、夕食を豪華に振る舞った。
ベルの主神、ヘスティア神と自己紹介をし、ベルがお世話になっている等お礼などの話をした。












翌日。
俺は中央前噴水広場でベルと待ち合わせていた。
そもそも俺がここへ来ているのは明らかに時間浪費なのだろうが、18階層からここまではサチコちゃんに転移で送ってもらっているため、一瞬なのだ。
まぁ帰りは自分の足で戻ってるけど。

しかし昨日は大変だった。
本来、俺はともかくサチコちゃんは台所進入禁止になっている。
いたずらの要領で激辛香辛料を入れたりなどしてなのはさんやフェイトさんに閉め出しをくらったらしい。
そんなこんなで俺が帰るまで料理は作りおきか外食になっていたのだが、昨日は俺だけ食べてきた為にサチコちゃんが拗ねてしまい、慰めるのに徹夜を労した。

お陰で何とか機嫌をとることに成功し、多大な出費で空腹も満腹へと変容させた。

「すみません、待ちましたか?」

「おう、おはようベル………へぇ」

どうやらベルが来たようなので振り返ってみると、ベルの防具が新調され、
白に赤のロゴが入ったベルっぽい様になっていた。
左手にはライトグリーンの手甲が装着され、一人前を匂わせる。

「良いじゃないか。似合ってる」

「ありがとうございます!
僕もこの防具が気に入ってるんですよ!見た瞬間にこれだって――――」

「お兄さんお兄さん、白い髪のお兄さん!」

「――ん?」

ベルが受かれながらに話しているのを暖かい目で見ていると、その後ろから小人族らしきローブ姿の少女が声をかけてきた。
その背中には背丈に似合わないほどのでかいバッグを背負っており、これから山籠りでもするのかと想像してしまう。

「初めましてお兄さん。突然ですが、サポーターを探してませんか?」

「あ、あれ?君は確か…」

「?混乱してるんですか?
でも、今の状況は簡単ですよ。
冒険者さんのおこぼれに預かりたい貧乏なサポーターが、自分を売り込みに来ているんです」

「あ、いや…そうじゃなくて、君は昨日の…小人(パルゥム)の女の子だよね?」

昨日?ああ、あの小さい女の子か。
確かに面影はあるし近くで見たわけではないが…んー…。

「小人…?リリは獣人、シアンスロープなんですが」

フードをとって見せた頭には犬耳?らしき物がついており、昨日の少女とは種族が違うようだ。
だが昨日もフードを被っていた辺り、人違いとは言いきれない。

「ホントだ…小人じゃない」

「ふぁ…ああぅ~お兄さ~ん…」

「あぁ、ごめん、人違いだったみたい」

「お前は何をしとるんだ…セクハラか?」

「ち、違いますよ!」







「それで、リリルカさんはどうして僕たちに?」

噴水に座り、リリルカ・アーデと名乗った少女と会話することに。
しかしベル。この少女が声をかけたのはベルだけだ。
俺には声が掛かってないし、寧ろお前が狙いだとも言える。
はてさて、何を考えているのやら…。

「はい。見たところお一人のようだったのですが…お二人様だったんですね。
冒険者さん自らがバックパックを装備していらっしゃったので…もしかしたら、と」

「ああ…」「へぇ…」

「それでお兄さん、どうですか?サポーターは要りませんか?」

「それが…調度居たら良いなって思ってたところで…」

何か訪問販売の現場を見てるみたいだな…。

「おお!それならリリを連れていってもらえませんか!?
冒険者さんのお役に立つため、精一杯頑張りますよ!」

「……どうでしょう?」

「ん?パーティーリーダーはベルな訳だし、ベルが決めて構わないぞ?
サポーターとやらが魔石やドロップアイテムを拾ってくれるのなら、その時間が短縮されて戦闘訓練にも回せる。効率を見るのなら、効果的だとは言えるだろうな」

「…そうですね!
じゃあリリルカさん、よろしく御願いします」

「ありがとうございます!」

さて、どう転ぶのか…ね?








「ふっ!はぁっ!」

『ギシャアアッ!』

現在位置は7階層。
ベルが前線に立ち、繰り出した大薙ぎの一撃でキラーアントの胴を真っ二つにする。

ダンジョンにおいて、5〜7階層の魔物の生産間隔がより短くなっているようで、
キラーアントを始めとし、面倒臭い魔物が次々に沸いてくる。
その際に数で押されるのが一番多い死に方となっているようだ。

それがソロであればその厳しさがより際立つ事になる。

今の現状を見るのなら、ベルがソロ同然に大立ち回りしており、
涌き出るモンスター達を安定感を持って倒していっている。

『ジギギギギギッ!』

「あぁ、そっちには行かせないぞー」

『ギッ!?』

天上から降ってくるパープルモスの羽根を切り裂き、
宙に浮いた状態で細切れにする。
勿論魔石は傷つけないように注意を払うので、肉体を失ったパープルモスは魔石を残して消え去る。

「やぁぁぁあ!」

声をあげながらベルが向かう先には、2匹の蟻。

『――ガッ!?』

強烈な刺突を、敵の胴体中央に見舞う。
硬い甲殻さえ、ものともしないナイフの一撃は命を刈り取るには充分過ぎる威力だった。

「あのナイフすげぇな…」

そう言わずにはいられない。
ベルがもつナイフ。銘は『ヘスティアナイフ』。
ベルの主神であるヘスティアから送られた唯一つのオーダーメイドである。
その刀伸には神聖文字が刻まれており、ベルが持つことで効果を発揮するベル専用のナイフだ。

「お二人ともお強ーい!」

強い、か。
確かにベルは日を跨ぐごとに強くなっているのは分かる。
しかし彼が目標にしている対象にはまだまだ遠く及ばないだろう。
アイズ・ヴァレンシュタイン。Lv5の冒険者…か。

「いやぁ、リリが居てくれて助かるよ」

「そんなことはありません!
お二方が戦っていたげてますから、リリも作業に集中できますし」

しかしこの少女はどこか胡散臭い。
たまに見る冒険者がリリルカのようなでかいバッグ背負った奴を連れていたのを見たことはあるが、それでいてもそんなに言い雰囲気とは言えないものだった。

だが、この少女にはそれが一切感じられない。
まるで獲物を見定めるかのような眼差しとその体に纏わせる空気。
この少女は明らかにベルを狙っている。

「あの、この壁に埋まってる奴はどうしましょうか?」

「ああ、それなら俺がやってやるよ。
ベルは回りの警戒しといてくれ」

ベルにやらせると危なそうだし。
リリルカを見れば少し苦い顔をしていたのが見てわかった。
……ふむ、ベルならこのキラーアントを解体する際、どうやってやるだろうか?
身長からして背伸びをするくらいか…武器はナイフ、ともなれば切りづらいのは目に見えてわかる。
だとすれば長身の剣を貸して…ああ、ナイフか。

「よし。ほれリリルカ」

「あ、はい。ありがとうございます」

無事に取れた魔石を渡し、手に持っていたナイフを腰に仕舞うようにして消す。
俺の場合は盗られても問題はないが、ベルの場合は取り返しがつかない。
これから先も十分に注意するとしよう。










「それで、どうでしたか?
明日からもリリを連れていってくれますでしょうか?」

ダンジョンから帰還し、朝の中央前広場でリリルカがそう聞いてきた。
警戒していた甲斐もあってか、結局怪しいところは余り見せなかった。
しかしながら自分を売り込みに来るだけあり、その作業ペース等は目を見張るものがあった。

「僕は良い話だと思うけど……ケイさん、どうしましょうか?」

「……良いんじゃないか?」

効率化に関しての仕事ぶりは、正当に評価できる。
だが警戒は怠らない。

「決まり…ですね。
では、今回の報酬の方ですが……1割でどうでしょうか?」

…………は?

「えっ……それじゃあリリルカさんの報酬が少なすぎるよ!?」

ベルも不当に思ったのか、驚愕の表情で反論を返す。

「この際ですから言いますが……サポーターとは聞こえは良いですが、結局は荷物持ちでしかありません。命を掛けてダンジョンにもぐり、その腕一本で稼ぐ冒険者様と、そのお手伝いをするだけのリリ達サポーターが同列に扱われるのは不相応というものです」

所謂社員とバイトの違いみたいなものか?
バイトよりもやることが多いのにバイトの人間と給料が同じ、若しくはそれ以下だったりしたら……やはりどんなにそのバイトが頑張っていても、社員から見れば不満に思う者も少なくはないだろう。

「ベル様もケイ様も、リリの事はリリとお呼びください。
敬語もさん付けも絶対ダメです。
そうでないとリリは他の冒険者様方に付いていくことが出来なくなってしまいます」

「そこまで言うならそうするけど……」

渋々とそう言って、一度こちらを見るベル。
その目には納得出来ないと出ている。大方フォローしてくれと言うことだろう。

「……お二人には、不慣れな事を要求してしまうようで、申し訳ありません」

「気にするな、呼び方についてはわかった。
だがそれ以外は認められない」

「……はい?」

下げられていた頭が上げられ、素で「何言ってんのコイツ」みたいな顔をされる。

「報酬の件だけは、均等に分けようという話だ。
探索の効率化に貢献してくれた当人に1割握らせて、はい終わりと言うのは明らかに不当だ。
貢献者にはそれに見合うだけの報酬を。
俺からすれば他の冒険者が腐ってるとしか思えない」

「僕も賛成です。
リリには色々と助けてもらったし……それにリリはお金に困ってるんだよね? 
なら1割なんて言わずに、働きに見合った分を受け取ればいいんじゃないかな?」

「ちょ、ちょっと待ってください! 先程の話を聞いてましたか!?
リリは単なる荷物持ちで、対等な報酬を受け取る権利なんか――」

「郷に入り手は郷に従え。
お前は自分を下だと主張するのなら、契約者の意見を何も言わずに飲み込むのが下に付く者の義務だ」

「………………分かりました」

納得いかないことが丸わかりな長い間をあけて、頷くリリルカ。

「ケイさんはこう言ったけど、契約者とかそういうの変に気にしないでいいからね。
きっと、リリの事を考えて言ってくれたんだと思うから」

「……はい」

やはりと言うか、サポーターとは周囲的に穏やかじゃないのかもしれないな。 
 

 
後書き
アニメ終わったけど、第二期とかあるのかな? 
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