| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

新妹魔王の契約者~龍剣使いの神皇帝~

作者:黒鐡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

2巻
  万理亜らと敵情報公開×新たな一族らの会話

長谷川先生と別れた後に、護衛である蒼太と隣合わせで歩いていたら滝川に付けといた偵察機から通信が届いた。なので俺と蒼太は送迎車に乗ってから、通信機で偵察機での報告内容を聞いた所だった。応援部隊が、まさかのパワーバカの巨漢野郎だとは思わなかったが、俺でも知らなかった三つ子だとはね。それにゾルギアの懐刀であるゼストまで人間界に来たとは、何かありそうだなと俺は思いながら空間から偵察機を回収した。

「一真様、まさかあの巨漢に三つ子がいるとは思いませんでしたね」

「ああその通りだ。ヴァルガという魔界にいた奴なら知っていたが、巨漢が三匹もいるとは驚きだ」

「今の所は、様子見となりますがいつ襲ってくるかは分かりませんね」

「そうだな。ん?止めてくれ、この辺り周辺にはぐれ悪魔がいる。家にいる沙紀を呼んでくれ、俺はその間に片付けておく」

関所前で停めた車から降りた俺は、半径500m周辺一帯にはぐれ悪魔を感知したので剣を出してからまず一匹目を片付けた。そんで今は闇夜となっているので、普通の人間には見えないが俺らのような者には見える。被害が出る前に叩くという感じで、次々と剣で葬り去る。空中にいた俺と合流を果たした沙紀と共に、家周辺にいるはぐれ悪魔を倒していた。するとパトカーがこの周辺にいるので、パトカーに向けて警察無線に介入させたのだった。

「こちら空中にいる織斑一真だ、織斑家周辺にいるパトカーの諸君応答願いたい」

『こちら蒼翼01、どうかしましたか?』

「現在その辺りにはぐれ悪魔が出没しているが、一般人の眼には見えなくともお前らなら見えるだろう?なので駆除をお願いしたい」

『了解しました。全蒼翼の者達は、被害が出る前に叩くぞ!』

『おおーっ!』

「私は空中からの狙い撃ちをしますので、一真様はいつも通りでお願いします」

「分かってる、という訳で行くぞ!」

そう言ってから、大天使化をしてからの狙い撃ちでここら一帯にいる低級はぐれ悪魔を駆逐していく俺と沙紀だった。地上では低級はぐれ悪魔達が徘徊していたので、一時的に立ち入り禁止にしてから、量産型聖剣エクスカリバーで倒したり対悪魔専用の弾にしてから撃つ警察官諸君。音を消していたので、この辺りにいる住人は気付いていない様子だった。

『こちら蒼翼05、はぐれ悪魔を全て撃破及び駆逐致しました事を報告します』

「ご苦労さん。もうこの辺りにはいないので、引き続きパトロールしてくれたまえ。もしそこに低級はぐれ悪魔がいたら、一般人に気付かれないよう撃破せよ」

『こちら蒼翼本部、了解しました。織斑様もご苦労様です』

そう通信後に、俺と沙紀は家に戻ってきたのだった。夜の十一時だったからか、深雪達もまだ起きていた様子だ。深雪と澪はまだ入浴中だったので、俺は蒼太と沙紀と万理亜だけで俺の部屋に招いた。現状の不安要素と今後の対応についてを話し合いする為であるが、敵の情報もそうだがまずは確認したい事があったので万理亜に聞いた。

「まあ確かに主従契約魔法には利点とリスクの両方がありますが、現魔王派の狙いはあくまで澪様の命ではなくウィルベルト様の力ですから。連中は澪様に死なれては困るので、私達が注意をしなければいけないのは・・・・」

「誘拐する事だな、拉致後に魔法やら魔導具を使用し無理矢理能力を覚醒させたら、シャレにならないくらいの犠牲が出る。今は安心できるが、いつ敵が来るか分からない以上は様子見しか出来ない」

「こちらには一真さんと深雪さんがいますから、拉致目的やらがあったとしても大丈夫だという保証はあります。それに主従契約で魂が結ばれた主と配下は、その気になれば互いの居場所を察知できます。攫われるとしても、ラードゥンさんの結界や障壁で防げると思いますし予防策でもあります」

敵である魔族は、澪を死なせる状況を作れば上は何を言ってくるか分からない状況だ。それに新たな澪の監視役が増えたので、俺も警戒レベルを上げないといけない。そんで俺がさっきまで聞いていた事を簡単に説明した。今後襲ってくるであろう敵情報をな。

「深雪と澪がまだ風呂にでも入っている間、朱音達やドライグ達にも聞いてほしい」

そう言った後に、指輪の中にいた朱音達代表として鈴音が来て、ドラゴン代表としてクロウを召喚したのだった。

「あれ?ドライグはどうしたんだ『ドライグなら小型ドラゴンとなって深雪達と風呂に入っている』そう言う事か、まあいいとして今後現れる敵情報を言っておく」

そこからは今後来るであろう魔界から派遣されたヴァルガ三兄弟の情報とゼストという女性悪魔が人間界に来ている事、そしてまだ未確認だが勇者の里から数名がこの辺りにいる事を言った。特に注意するのは、ヴァルガの事だ。アイツは(パワー)の使い手であり、所謂パワーバカという感じだと言ったらクロウはまるでゼノヴィアみたいな感じだとな。

「まあ違いないが、パワーバカの魔族が三匹もいる事は俺も想定外なのさ。本来ならヴァルガだけなんだが、それが三匹もいる事がな」

「なるほどねぇ~。本来ならそいつだけのはずが、この世界では三匹いるのはイレギュラーな事が起きているという事かしらね」

「どういう事ですか?鈴音さん」

「万理亜が疑問を持つのは当たり前だが、この世界は本来ヴァルガだけのはずだが外史というのはイレギュラーな事が起きてしまう。俺達のような者から、敵である魔界にいないはずの存在がいるという感じだ」

「なるほど、現にここにいる一真さんもイレギュラーな存在ですか。敵の事もいいですが、澪様との信頼関係を強くするのは不自然だと怪しまれます。素直じゃない所もありますが、基本的には優しく真面目な方です。二人とも強くなれる方法があると知れば、嫌でも無理してしまいますからね」

それについては既に理解してるからか、鈴音が万理亜の頭に手を置いてから撫でたのだった。鈴音の上にいるからか、まるで母親が子を撫でている感じであった。俺らは常に鍛錬をしているが、澪は俺達と違って半年前に養父母を殺されるまで普通の女の子として暮らしていた。目的の為ならば気持ちを割り切れというのは無茶であり無理だ。真実を伝えるより、自然と信頼関係が深まりを持てばいいと考える方が手っ取り早い。

「澪だけが知らないで、後々知ったら余計に信頼が失われてしまう。ま、俺達はお前らの事を全て知っていながら、黙って騙されたフリをしていた。一度は壊された関係を建て直したのも、全ては俺らの策にはまった澪と万理亜達だった。それを知っていたのは、澪と万理亜以外の者達だがな」

「それにしても主従契約についてそこまで知っているとは思いませんでしたが、一真さんは確かこの世界に来た時には主従契約魔法について知っていたのですよね?一体どこで知ったのですか?」

「俺はこの世界に来た時、前代創造神とバトンタッチをした。その時に全てを知りながらも、知らないフリをしていたからな。この世界を構築し、主従契約魔法の全てを知ったのは魔界関連にいる知り合いから聞いただけだ。一部の高位魔族がしていて、サキュバスの特性を利用した玩具の事も。そういう情報は、魔界にいる知り合いから流れたもんだ」

それに蒼い翼関連の者は、人間界だけではない事もな。魔界にいるスパイや勇者の里にいる者達もいるので、全てを知りながら知るまでは黙っていた。現状は主従契約を結んだままとなっても、忠誠状態は今どうなっているかは知らんがいつか知るだろう。

「それに一真は自然と信頼関係を持てると思うから、万理亜からは何もしない方が損はないですよ」

「でしょうね、これまで実力以上に澪様は一真さんや深雪さんにとても信頼されてます。本来なら何かしらの事をするべきだと思ったのですが、一真さんは創造神と呼ばれた神様であり人間の感情面や精神面もそこらの男よりも強いと思います」

ま、信頼関係を強くするには地道な行動を取るしかないと思う。万理亜はサキュバスだから、絶対的なご主人様になってほしいと思っていたそうだが絶対に逆らえないよう心の底から忠誠を誓う事は強引な道となる。優しさだけでは縮められる心の距離に限界があるけど、俺は思春期のガキのような存在ではない事はここにいる全員が知っている。澪と深雪らが出てきたと聞いたので、俺らはリビング兼ダイニングに来ていた。

「あ、お兄様。いつお帰りになったのですか?」

「随分と遅かったようね、一真。何かあったの?」

「さっきな。それと今後の敵対策として、先に万理亜と鈴音にクロウ達に話をしていた。なのでこれから起ころうとしている事を話しておきたい」

万理亜は澪の隣にいて、深雪は俺の隣に座った。ま、俺以外の者はパジャマ姿だったがそれはまあいいとして。話し合う前に紅茶を飲むため、メイドに言って冷たい飲み物を出してもらった。机に置いてから、メイドらは立ち去ったが護衛者である蒼太と沙紀は立ったままだったから、座る事を命令したので座らせた。

「さてと、敵である魔界側もそうだが勇者の一族からも来ているようだ」

「勇者の一族・・・・それについては先程については触れてない情報ですね」

「さっき蒼翼から連絡をもらってな、俺らがいる周辺に一族らしき者がいたとね。誰が来たかは知らんが、魔界側からは一言で言うとパワーバカが三匹来た」

「パワーバカ三匹ですか?随分と分かりやすいですね」

そう言いながらさっき万理亜に説明したのと同じように語った一真だったが、《里》から新たに寄越した者は知らん。が、先ほどパトカーでパトロール中だった者からによればはぐれ悪魔を槍で殺ったようだ。夜と共に比例して深くなり、月光や街の明かりがどれだけあろうとも届かない場所もあるという事も。闇がある場所は、人を避ける場所であり、低級魔族や何かが潜んでも可笑しくないと理解しているが、闇を好む者らが大抵集まる場所でもある。

低級のはぐれ悪魔は自我を持ってない奴らだからか、力は雑魚でも性質が悪いというのは変わらない。勇者の一族との全面衝突を避ける為、魔族が人間界で無闇に人を襲わないのに対して、低級はぐれ悪魔はそれを考えるだけの知能がないので本能と忠実な欲求のみ。今夜もコンビニやファミレス、ファストフード店以外は閉店を迎えた頃。繁華街の一角にある裏路地の闇の中から浮かび上がる何かがいたが、暗い裏路地から表通りにいる獲物を待ち受けるように。

はぐれ悪魔は容赦なく、通り掛かった女性を襲うが普通の人間は悪魔の姿を見る事は出来ない。魔族と比べたとしても、一般人より遥かに力は上のはずなので餌食になるはずだったが、その女性はまるで見えるかのように特殊伸縮警棒を出してから聖なるオーラではぐれ悪魔を消し去った。本来、はぐれ悪魔に向けて斬撃を放つはずが、被害に合う前にその女性が聖なるオーラで消し去ったのを見た路地裏にいた勇者の一族だった。

「・・・・やはり、随分と引き寄せられているようだな。だがあの女は何者だ?一般人が悪魔を消し去る力を持ったという情報は、里の連中でさえ知らない事だ」

本来なら斬撃で助ける所を空振りに終わったので、悪魔を消し去った女性が辺りを警戒してから行ったのを確認するかのように言った声があった。もちろんその女性は蒼翼の者で、特殊伸縮警棒は量産型聖剣エクスカリバーの擬態と聖なるオーラで斬り倒したからだ。それを知らない者にとっては何者だ?というのは当然である。三つの影だったが、二人の青年と一人の少女だった。

「高志の言う通りだね、どうやらこの街にいるのは僕ら以外の異端者だらけのようだよ。被害者が出た方が『目標』を消滅させる理由にもなるが、果たしてこの街は何だろうねえ~」

軽い口調で告げる右端の青年に、高志と呼ばれた青年ははぐれ悪魔を倒した女性が立ち去った後はどこか不機嫌そうな感じであった。

「無駄に犠牲を増やす必要はないだろう。斯波さん、《里》は既に判断を下したんだ。『目標』を・・・・成瀬澪を、監視対象から消滅対象に切り替えるとな」

それは先日の柚希の報告を受けたが、勇者の一族の判断。先代魔王から受け継いだ力を覚醒させていないが、その可能性がある危険性を鑑み、彼らは決定を下した。即ち、魔王ウィルベルトの娘を、成瀬澪を滅ぼすと。

「大体、眼の前で犠牲者が出るのを見過ごせるか。俺達は勇者の一族なんだぞ、なのになぜ俺達以外の者が魔族を倒せる力を持っているんだ!魔族を倒せる力を持つのは俺達以外にはいないはずだ」

「高志は真面目だね・・・・でも後者の方は僕もそう思うよ、この街にいる警察関係やただの一般人でも倒せる力を持つ者なんて聞いた事がないよ。ま、正義の味方ってのは大変だけど胡桃ちゃんもそう思わないかい?」

高志を挟んだ反対側で、はぐれ悪魔と交戦した女性を見送ったのを無言で眺めていた少女に呼び掛ける。

「・・・・いいえ。それがあたし達の使命だし」

対する胡桃と呼ばれた少女から、ぶっきらぼうに答えられた。

「参ったね・・・・二人共、表情硬いよ?」

斯波は苦笑しながらだったが、一つだけ気になる情報があったのを耳にした時は聞き直したくらいだった。

「そんなに気になるかい?この件に謎の剣術使いである彼が絡んでいる事がさ」

告げたその言葉に、高志と胡桃はしばし無言になった。そんな二人に問い掛ける斯波。

「まあもし刃更が関係していたらという話になるけど、君達と刃更は同い年で近い年齢の幼馴染だ。五年前の事件が起こるまで、いつも一緒にいた間柄だと聞いたしね。色々とやりにくいと思うけど、相手は謎の剣術使いだとしか情報がないからね。もし刃更だったら特別な想いがあるだろうけど、柚希ちゃんの報告を聞いてから、一瞬刃更だと思ったから自分達でこの任務に志願したんだ。頼むから可笑しな情に流されて、任務に失敗するなんて事はくれぐれもないようにしてくれよ」

「・・・・そんな事は、言われるまでもない。成瀬澪を倒すし、邪魔者である謎の兄妹にも容赦はしない。例え行方不明である刃更だったとしてもだ」

「・・・・あたしも。今は剣術使いの正体を暴いてやりたいくらいだわ、そして相手が刃更だったとしても躊躇する理由なんて微塵もないよ」

そう言い放つ胡桃の言葉に迷いがなかったが、《里》は今でも行方を追っている東城家の情報が未だにないらしいと聞いている。謎の剣術使いとはいつか戦うかもしれないが、それがもし知り合いだったとしても道が違うからだ。五年前の『あの悲劇』の日から、勇者としての実力を《里》で磨いてきたからだ。

「結構。君達の想いは君達のものだ、それを邪魔するつもりはないよ。僕は今回、あくまでお目付け役だからね。やるのは君達。僕は見ているだけ」

よろしく頼むよ、と笑いながら言う。

「それじゃあ行くとしようか。この世界を守る勇者の一族として、使命を果たしに・・・・未来の魔王になるかもしれない者を倒しに、ね」

斯波恭一はそう呟いていたが、この会話がまさか聞かれていたというのは知らない一同だった。この街に潜り込んだ勇者の一族の者達を確認するべく、はぐれ悪魔を倒した女性隊員は闇に潜みながら覗いていた。謎の剣術使いが織斑一真で旧名東城刃更だという事を知らされていないが、勇者の一族の中でも高い実力を持つ斯波でさえ瞬殺されるかもしれないと思った諜報隊員。

そしてこの街にいるであろう、勇者の一族を確認してから三人である早瀬高志・野中胡桃、お目付け役の斯波恭一と確認を終えたら蒼翼警察署に戻った。報告書を作成してから、ヴェーダに送信されてから織斑家のパソコンに送られたのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧