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東方喪戦苦

作者:鬼心
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世界の夜明け前

 
前書き
骸と裕海の戦闘は夜になっても続いた。
そして、時間は流れ夜明けがやってくるーーーー。
 

 
最早、体から痛みは消えていた。
立ち上がろうとするが体に力が入らないし、目も霞んできた。

裕「死んだ、か」

「う····ぐっ」
肩で息をしている
諦めていたが、あの言葉を思い出した。
安心感のある。あの兄さんの声が····

裕「ごほっ···」
裕海も想像以上のダメージを受けている様だった。
外傷は目立たないがかなり俺からの攻撃を浴びていた筈。

「う···うぅ」
切りかけの足力を入れ、抉れた腕に力を入れる。
傷口からは今もなお、血が流れていた。それでも構わず立ち上がり、再び裕海と対峙した。

「第二ラウンドだぜ···!裕海···」

裕「すぐにケリをつけてやる」
裕海は変形葉を握り直して、睨み付ける。
俺は拳を握り、身構えた。
先に動いたのは裕海だった。

裕「死ね」
そう言って刀を振った。
俺はそれの行動を読み、刀を紙一重でかわした。
すると俺がカウンターを入れる隙も与えぬまま、裕海は神速で乱れ斬りを放った。
俺は刀の一振り一振りを丁寧に避けていく。
「当ててみろ、どうした?これだけ攻撃しているのに一つも当たらないぞ?」
裕海はかなり焦っているように見えた。

「ここだ!」
刀の乱舞を掻い潜り、裕海の腹に一発ブチ込んだ。
裕海の乱れ斬りは止み、そこへ間髪入れず眉間にストレートを入れた。
裕海は後ろに飛び、俺から距離を取った

「今のは効いただろ?」
裕海を見ると、裕海は目を剥き俺に飛びかかってきた。
刀で斬ってくると予想し避けた。お返しに頬を殴った。それと同時裕海の追撃が来た。刀の棟で蟀谷を殴られた。
両者とも地面に倒れた。
だが二人は立ち上がった。両者、立ち上がっている事が不思議な位の傷を負っているというのに。

「うおぉぉぉぉぉぉ!」

裕「ぬぁぁぁぁぁぁぁ!」
裕海も俺も大声を出して自分を意地でも立たせた。
自分が立っているという感覚も無い。生きている感覚も無い。

裕海は刀を握りしめ、俺に向かって走ってきた。
俺は身構えて、裕海が来るのをじっと待った。

裕海が俺に向け刀を振るおうとした瞬間。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
神無side

ネクロを倒した私達は奧へと進んで行く。
そこには、菜々と鬼隆が立っていた。

羽「鬼隆さん···」
羽佐間は申し訳無さそうに下を向く

鬼「いいんだ、分かってる。俺も正直悩んでいた」
鬼隆は仮面を外し、微笑んだ。

羽「じゃあ、鬼隆さんも!?」

鬼「あぁ、この女の呪縛から解けたんだ」
そう言って、鬼隆が指を指す。

「この人は?」
そこには目から希望を失い、人ではなく、ただそこに有る“物”のようにぐったりと座り込んでいる一人の少女が居た。

千「誰?」

羽「凉宮 菜々。俺らの記憶を書き換えて、オーダーに無理矢理入れやがった奴だ」
千尋の質問に羽佐間が即答する。
鬼「無論。自分から入った者もいる」

「彼女、このままじゃ可哀想よ。連れてって上げましょ?」

羽「何!?この女は俺たちを騙して···」

「その時もこんな顔をしていた?」
羽佐間の言葉を遮って質問した。

羽「それは····」

鬼「確かに···あの時はこの女もおかしかった」

「この人も利用されてたってだけ、彼女も被害者なのよ」
そう言って菜々を抱き抱える。

???「お~い!主ら~!」
部屋の何処からか、声が聞こえた。

「出雲ちゃ~ん!!」
出雲が私に飛び付く。

出「何処へ行っておったのじゃ!必死に探しておったのじゃぞ!迷子になるで無い!」
出雲が説教口調で喋る。

「は~い」

千「神無さん、骸の所に行かないと···」
でれでれな私に千尋ちゃんが教えてくれる。
「そうだ!こんな事してる場合じゃない!」
私は我に帰り、裕海が居ると思われる部屋に向かった。

鬼「恐らくここにいるな、戦闘中かも知れん。飛び火に気を付けろ」
鬼隆が念を押す。

「骸!!大丈夫!?」
そう叫んで、私は扉をこじ開けた。
扉の先に見えた景色は、想像を絶する光景だった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺の手は鋼鉄になり、形が異形の刃に変化した。
それで、裕海の変形葉ごと断ち切った。
変形葉の破片は音を立て地面に落ちた。
斬った裕海の体から鮮血が溢れだし、俺の腕は元に戻っていった。

裕「何故、俺が負ける?」

「俺は託されて、色んな奴の意志継いでん闘ってんだ。負けるかよ」
裕海は地面に沈み、動かなくなった。

「·····終わった」
長く続いた苦しく、哀しい闘いは終わった。
すると別の扉から姉貴達が出てきた。

神「骸!?大丈夫!?」
俺の体を強く揺する。

「痛ぇよ、姉貴」
そう微笑むと、涙を流しながら笑った。

神「グスッ···そっか、ごめんねへへ、骸···よく頑張った」
そう言って、優しく俺を抱きしめて頭を撫でた。

「泣くなよ、姉貴。さぁ、帰ろう」

俺は右足を引きずりながら地上に出た。
外はもうすっかり、朝で朝日が眩しかった。

(終わったよ。ありがとう狂夜兄さん)
心の中で俺はそう呟いた。
心地よい風が吹いた。すると、その風に乗ってアゲハ蝶が数十匹俺達を祝福するかのように飛んで居た

八「骸!」
オーダーの方から八千代が走ってくる。
「八千代····終わったぜ」

八「うん。これで貴方も神に戻れる」
八千代の言葉に俺は、ふと気がついた。

「姉貴や千尋はどうするんだ····?」
その質問に全員が動揺した。

神「確かに···私達は帰らないと行けないけど」

千「勿論、骸も一緒だよね?」
千尋の質問に俺は首を横に振った。

「悪い、俺はここに残らなくちゃ」
そう答えると、千尋は少し考えてから、頷いた。

八「じゃあ、現実世界への扉を開くわね?後、都合上ここでの事と骸の事は忘れて貰うわ」
そう言って、何もない空間から八千代が扉を開いた。
扉が開いたのに、神無も千尋も帰ろうとしなかった。

神「骸ぉ、バイバイ、ずっと元気でね···?」
姉貴がまた泣き出してしまった。
千「骸、さよなら。私の大好きな人····」
千尋も、大粒の涙を流しながら喋る。
正直、俺も泣き出しそうだった。仮にも、俺の姉弟であり、親しかった友人にもう二度と会え無くなるのだ。
羽「俺も帰ります、鬼隆さんはどうします?」
羽佐間が振り返り、鬼隆に訪ねる

鬼「俺は、ここに残ってエイジスに所属しようと思う」

羽「そうですか···寂しくなりますね」
羽佐間は悲しそうにそう言った
鬼「なぁに、元の世界では俺とお前の関係は無いんだぞ?」
羽「ふっ···それもそうですね。じゃあ」
全員に一礼して羽佐間は扉の中に入っていく。

「ほら、今度は姉貴達の番だぞ?」

神「うん。じゃあね骸」

千「さようなら、骸」
そう言うと、俺の唇にキスをした。
千「それじゃあ、本当にさよなら」
頬を赤く染め、千尋は俺に背を向ける。姉貴も同じく俺に背を向けた。
姉貴達が扉に入ろうとした瞬間、俺は叫んだ。
「姉貴!」
姉貴がこっちを振り向いた。

「I Remembar you!」

姉貴はそれの意味に気が付くと、さっきより一層涙を流しながら背を向け、扉に入っていった

「行っちまったな、八千代」
八千代の方を見やる。
八「そうね」

出「おぉ!お主らワシを覚えておるか?」
出雲がジャンプして、俺の視界に入ろうとする。
「どうした?出雲」
出雲を抱き抱える。
出「ワシはどうすれば良いのじゃ?」

「そうだな····今は俺らが保護してやるか。なぁ八千代」

八「うん、お母さんが見つかるまではね」
俺は出雲を八千代に渡し、鬼隆の方に振り替える。

「で、お前はどうするんだ?」

鬼「俺は、これからエイジスに向かうよ」

「そうか、気を付けてな」

鬼「ありがとうな、骸。それとこいつを預かってくれ」

鬼隆の背中から力の抜けた菜々が倒れる。

鬼「こいつすっかりイカれちまってやがる。更正すんのにかなり時間がかかりそうだぞ」

「任せろ」
そう言って、菜々を背中に乗せて俺と八千代。鬼隆は互いに背を向けあって互いの道に進む決意をした



ーTHE ENDー










































































 
 

 
後書き
その後、俺と八千代は各地に残った転生者を現実世界へ送り返してやり、俺と八千代と菜々と出雲。
この四人で人里離れた所に家を構えて、そこで静かに暮らし始めた。
 
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