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我輩は逃亡者である

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第二章 世界からの逃亡者三人。
  17.キャノンの意味って何?

やって来ちゃった、キャノンボール・ファスト。
学園祭へと送り込まれたつい先日から対して日もたったないのに……まあくーちゃんも行きたがってたし仕方ないか。
今回はチケット偽造でなく裏口からハッキングしてコソコソ入るそうだ。

そうして会場の前まで来たわけだが……

「あれー……見間違いじゃなければマドッチが一人三角座りして会場の前にいるように見える」
「私にもそう見えますね、何してるんでしょうか」
「おーい!まどっち!いったいこんなところで何してるんだい?」
「うん?なんだお前たちか」
「ハロハロー束さんたちだよー」
「こんにちはマドカさん、それでどうしてこんなところで一人寂しく座ってらしたのですか?」
「あ、ああ……それは」



▼▼▼▼

「うーん……」
「どうしたスコール、形容しがたい表情をして?」
「ええ、亡国本部からキャノンボール・ファストってイベントを適当に襲撃するよう言われたのだけどどうしたのもかと……そうだM、貴女行ってきてくれない?やり方は貴女に一任するから」
「帰りにファンタ買っていいか?」
「ええ」
「行ってくる」
「行ってらっしゃい」

それにしても襲撃か。イベント中に乱入……したら邪魔になるし迷惑だな。イベントが終わるまで外で待って終わってから戦闘してもらえないか頼んでみるとしよう。
帰りにはファンタも買えるし頑張るか!ファンターファンター!


▼▼▼▼



「というわけでな。スコールに頼まれて来たんだ」
「……束先輩、 くーちゃん。マドッチがいい子すぎて辛い」
「最早襲撃じゃなくて模擬戦をしようとしてるだけだよね」
「マドカさんはイベントが終わるまでここで待つ気ですか……?」
「ああ!」
「………まどっち!一緒にこっそり入ってキャノンボール・ファスト見学しよう!」
「ん、んん?いいのか?」

いいともさ!と束先輩が必死に言う。確かこのイベント夕方まであるしずっとここで待ってるとしたら…何だろ泣きたくなってきた、ずっと三角座りしつつ会場を眺めて試合が終わるのを待つマドッチが脳裏に浮かんだ。

「かーくんさん、私こういうときどんな顔すればいいのかわからないんです」
「笑えばいいと思……笑えないわ……!」
「いいも何も寧ろついてきて欲しいよ!」
「ずっとここで待ってると思うとこっちが悲しくるよ」
「そうですよ、マドカさんも一緒にファンタでも飲みながら見て楽しみましょう」

束先輩もくーちゃんも似たことを考えたのか涙が出そうなのを耐えつつマドッチを誘う。そしてマドッチも来てくれることになったのだが



「そうか!実はこういうのを見るのは生まれてからはじめてで見てみたかったんだ!」



――この一言で3人の涙腺は決壊したのであった。
その後今回は追いかけられることもなく無事最後までキャノンボール・ファストを見ることが出来た。

くーちゃんも楽しそうだったしマドッチは更に楽しそうだった。束先輩は更にはしゃいでたらくーちゃんにたしなめられていた。
その後追ってに追われることもなく無事4人で晩御飯を食べに行ったのであった。






▽▽▽▽






そして晩御飯を一緒に食べ終わった後にマドッチが襲撃を忘れていたことを思い出した。慌てるマドッチだったが束先輩が任せなさい!と言ったことにより落ち着いたのだったが…

現在マドッチと共に公園の自動販売機近くの茂みに潜んでいる。

「なあ、本当に織斑一夏は来るのか?」
「束先輩曰く今日は一夏くんの誕生日らしい、それで大人数家に押し掛けるだろうから途中飲み物を買いに最寄りのここへくる……って言ってたよ」
「そうか…何故そこまでわかるのか疑問に思うが触れない方がいいよな?」
「くーちゃんですら触れてない」
「よし、ならやめておこう」

それが懸命である、何気なく心にくる言葉をいったりするくーちゃんが触れてないのだ。パンドラの箱を開けるより怖い……こともない。
たぶんどっか何かで覗いてるんじゃないかな、くーちゃんはわかりきっててもう呆れて聞かないだけだと思う。

「それよりも襲撃が前にいってた臭いものを顔に叩きつけるっていう復讐でいいの?」
「問題ない、適当にやれっていってたみたいだからな!」
「適当の意味が違う気がするけど……まあいいか」
「しかしそんなことよりもコレは大丈夫なのか……?パンパンだぞ」
「……缶の上のボタンを押したら3秒後に蓋が弾け飛ぶようにしたって束先輩がいってた」
「そ、そうか……しかし本当にクロエはよくこんなものを思いついたな」
「そうだねぇ……」

「「シュールストレミングを投げつけるだなんて」」

シュールストレミングとは世界一臭い食べ物であり缶を開けると同時に噴出するガスに失神する人までいるとか何とか。しかも輸入が自由化されておらず今回はマドッチのISの拡張領域バススロットへと入れて密輸したのである。

「あっ、来たぞ!」
「何!?行ってくる!」
「え!?投げ込むんじゃないの?出ちゃ不味いんじゃ……!?」
「バカ!あいつの驚いた顔を間近で見たいじゃないか!」

滅茶苦茶ワクワクした顔で言われた。これは止めるわけにはいかない、おれも少しワクワクしてるし……出ないけど。
そのまま出ていき織斑一夏の前へと立ったんだけど。

「とまれ、織斑一夏!」
「え?……え!?小さい千冬姉?」
「―ッ!私は姉さんじゃあなぁぁぁぁい!マドカだ!」

キレるのが早かった。もう少し積もる話とかあるもんかと思ったけどすぐに缶のボタンを押して織斑一夏の真上へ投げた。
--そして

「ぎゃああああああ!?臭い!おぇぷっ……何だこれ!?」
「ふっ、ざまあみ……うぇぇぇ臭いっ!?」
「嫁大丈夫か!?うっ、何だこの臭いは毒か!?」

織斑一夏はシュールストレミングを頭からもろに被って臭くてえづきマドッチはマドッチで一瞬ドヤ顔したあとにこれまたえづいてる。そして何故かボーデヴィッヒさんが来ている。カオスである。

「マドッチ逃げるよ!」
「わ、わかった!うぇ……」

マドッチを茂みに引っ張りこんで逃亡するが…後ろでは臭いに苦しむ織斑一夏とどうすればいいのかわからず戸惑うボーデヴィッヒさんが見えた。

「……シュールストレミングはやりすぎた。私もあの距離で臭くて吐きそうだった」
「くさやと納豆くらいでよかったね……いつか謝ろう」
「ああ、そうだな……」

――少し反省しながら逃亡するおれとマドッチだった。






▼▼▼▼



少し時を遡り無事キャノンボール・ファストが終わった会場。


『これで全レースが終了しました、キャノンボール・ファストを終了します。お疲れ様でした』

キャノンボール・ファスト終了を告げる放送がなった。
そんな中戸惑う生徒たちの姿が……

「え?終わり……?まだ乱入も襲撃もされてないよ?」
「いえ、学園祭だって結局侵入者がいて生徒会長が出たって行ってたし今回も……え?特に何もなかった?」
「……嘘よ、ドッキリか何かでしょう!?」
「そんな、こんなのってないよ!」
「夢、そう!夢ね!朝起きてキャノンボール・ファストに行ったら襲撃されるんだわ!」
「皆ー落ち着いてー、本当に襲撃も乱入もされてないよー?」
「なん、ですって……?」
「おぉぉぉぉぉ!?今年始まって以来の快挙よ!」
「今晩はお祝いよ!」
「夢も希望もあったんだね!」
「夢じゃない、夢じゃなかった!」
「皆ぁぁぁ!今夜は飲み明かすわよぉぉぉ!」
「未成年だからジュースだけどね!今夜はカロリー計算だって無視よ!」
「食って飲んで弾けるわっ!」
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』

そんなある意味異常事態に驚きはしゃぐ生徒たちを見ていた二人の教師がいた。

「織斑先生……明日私学園のセキュリティを上げてもらうように政府や上に掛け合ってきます」
「……いや私も行こう山田くん、これは流石に何かくるものがある」
「ですよね……」

--その後ある二人教師の尽力により学園のセキュリティは少し改善されたそうな。……今もどこかにいる天災に通用するかは兎も角。 
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