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オズのベッツイ

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第七幕その四

「強い生きものじゃなくて愛される生きものが人気なのは」
「そうなるのかしら」
「ええ、あたしも日本に行ったことがあるけれど」
「あの塔から」
「そう、かかしさん達と一緒に行ったけれどね」
「その姿で驚かれなかった?」 
 恵理香は猫のそのガラスの身体とルビーの脳味噌、それに心臓を見て言います。確かに物凄く目立つ外見です。
「誰にも」
「作りもののふりをしたからね」
「それで大丈夫だったのね」
「動かないあたしはこれ以上はないガラスの彫像よ」
 猫のそれだrというのです。
「実際に元はそうだったし」
「ううん、それで動かなくて」
「かかしさんや木樵さんに持ってもらってね」
 そうしてというのです。
「あんた達の世界にも行ってるのよ」
「かかしさん達も変わった外見だけれど」
「あの人達は仮装があれば紛れ込めるでしょ」
「大勢で行ったら仮装行列になるし」
「そう、だからね」
 それで、というのです。
「あの人達もいけるし」
「それで貴女もなのね」
「そういうことよ。それじゃあね」
「ええ、クマの王様にお会いして」
「それでラベンダーグマにも会ってね」
 ベッツイも恵理香に言って来ました。
「アン王女にも会って」
「そして、ですね」
「黄金の林檎のジャムを貰いましょう」
「そうしましょう」
 こうお話するのでした、そしてまた猫が言ってきました。
「あたしがここに先に来た時は王女さんがいたから」
「だから王様のところに行けば」
「会えるわよ」
 間違いなく、というのです。
「だからね」
「会えるのね」
「そのことは大丈夫よ」
「じゃあアン王女にはお会い出来るわね」
「確実にね」
「それでお会いすれば」
 それで、なのでした。
「黄金の林檎のジャムが貰えるわね」
「ええ、楽しみにしてるわ」
 ベッツイはにこにことしてまた言いました。
「王女と会えるのが」
「そうですね、それじゃあ行きましょう」
「焦らない焦らない」
 先頭を歩いて案内役を務めている熊の兵隊さんがここで一行の方を振り向いて言ってきました。銃を手にしたまま。
「王様はおられるから」
「そうですね、それじゃあ」
「そう、案内はちゃんとするしね」
 こうベッツイ達に言ってなのでした。兵隊さんはちゃんと案内をしてです。
 そしてです、王様のところに行くとです。
 大きな奇麗なピンク色ぬいぐるみの熊さん、王冠を被り笏を持った熊さんがピンク色の小熊のぬいぐるみを抱いてそこにいます。その熊さん達の前に来てです。
 兵隊さんがです、一行に言いました。
「こちらにおわしますのが」
「クマセンターの王様ですね」
「そうだよ」
 にこりと笑ってです、兵隊さんはナターシャに答えました。
「こちらの方が」
「王様と」
「その忠実な家臣ピンク色の小熊だよ」
 こう言うのでした。
「宜しくね」
「やあ、ベッツイ王女」
 その王様がベッツイに声をかけてきました。
「ようこそ、久しぶりだね」
「ええ、こんにちは」
 ベッツイは王様ににこりと笑って挨拶をしました。 
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