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オズのベッツイ

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第七幕その三

「あれで怖いんだよ」
「そうよね」
「そう、怖いんだよパンダは」
 そうだというのです。
「大きいし力も強くて」
「爪もあって?」
「そう、牙もあるから」
「怖いのね」
「怒らせたら怖いよ」
「鷲は言うまでもないよね」
 ジョージは自分のお国の動物についてお話しました。
「強いし」
「鷲も怖いわよね」
「そうだよ、空で一番強いから」
「ジャガーや熊だってね」
 カルロスも言いました。
「怖いからね」
「ええ、熊は特にね」
「そう、ジャガーだって素早いし獰猛だから」
「怖いわよね」
「そうした生きものだよ」
「けれど猫は」
「そうした生きものと比べたら」
 ナターシャも恵理香に言うのでした。
「怖くないわね」
「全然ね」
「可愛いけれどね」
「日本って怖い生きものあまりいないから」
 恵理香はここでこのことも言いました。
「だからかしら」
「そのこともあってなのね」
「熊はいるけれど」
 それでもだというのです。
「北海道のヒグマはともかくとして」
「日本の熊はツキノワグマね」
「ナターシャもツキノワグマは見たことあるわよね」
「動物園でね」
 八条学園の中には動物園もあります、ナターシャはその動物園でツキノワグマ達を観たことがあるのです。
「ロシアの熊よりずっと小さいわよね」
「やっぱりそうよね」
「ええ、だからね」
 それでというのです。
「熊がいても」
「そんなに怖くないわね」
「狼がいたけれど」
「ニホンオオカミね」
「もう絶滅したし実は大人しかったっていうから」
「日本はあまり怖い生きものがいないのね」
「そうなの、そのせいかしら」
 他の国で人気のある生きものと比べてというのです、日本で人気のある生きものは。
「猫や犬が人気があるのは」
「そうかも知れないわね」
「ううん、あと狐や狸ね」
 童話から言う恵理香でした。
「日本で人気があるのは」
「狐や狸は普通でしょ」
 ガラスの猫が横からベッツイに言ってきます。
「オズの国にもいるし」
「狸もよね」
「狐も狸もね」
 そうだというのだ。
「どっちもいるわよ」
「そうよね」
「何でもない感じでしょ」
 狐や狸はと言う猫でした。
「正直なところ、それでもなの」
「日本では人気なの」
「成程、そうなの」
「そうなの、ただ日本は本当に怖い動物が少ないから」 
 それで、というのだ。
「人気がある生きものも怖くないの」
「そういうことなのね、ただ」
「ただ?」
「そこも日本らしいかしら」
 猫は少し考えるお顔で言いました。 
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