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オズのベッツイ

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第五幕その六

「メキシコから来た子達が」
「そうなのね」
「皆でよく野球やバスケしてます」
 ジョージの好きなそうしたスポーツをというのです。
「アメリカにいる頃は」
「日本ではどうなの?」
 日本人の恵里香の問いです。
「あの時と同じ?」
「それは恵里香も見てるじゃない」
「うふふ、そうね」
 そう言われるとです、恵里香も笑って応えます。
「ジョージいつも皆と明るく遊んでるわね」
「サッカーはあまりしないけれどね」
 こちらのスポーツはというので。
「野球やバスケ程は」
「そうよね、ジョージが一番好きなのは野球よね」
「その次にバスケだよ」
「ところでオズの国の中華街ですけれど」
 神宝もベッツイに尋ねます。
「カドリング以外では赤くないですよね」
「ええ、それぞれのお国の色になってるわね」
「はい、全然違いますね」
「あちらの世界では中華街は赤いのよね」
「中国では赤は縁起のいい色ですから」
「だから赤が多いのよね」
「はい、けれどこのウィンキーの国では黄色くて」
 そしてそれぞれの国の色なのです、それぞれの国の中華街では。
「そうなっていますね」
「それが神宝には違和感があるのね」
「少し」
 そうだというのです。
「そこが最初気になりました」
「やっぱりそうよね」
「けれどそれがオズの国なんですね」
「そうよ、オズの国はアメリカを反映しているけれどアメリカとは別の国なのよ」
 同じ世界の何処かにあるのですがそれでも違う世界でもある、オズの国はそうした世界でもあるのです。
「だからそうなっているのよ」
「アメリカであってアメリカでない」
 ナターシャは腕を組んで述べました。
「オズの国ですね」
「そうよ、それがオズの国なのよ」
 そうしたお話をです、ベッツイは皆としました。そしてそのお話が終わった時には丁渡お昼御飯も食べ終えました。
 ベッツイは最後の牛乳を飲んでから皆に言いました。
「じゃああらためてね」
「これからですね」
「ハーグの都にですね」
「そう、行きましょう」
 こう言うのでした。
「お腹一杯になったし」
「巨人の国ですね」
 ナターシャがベッツイに微笑んで応えます。
「今度は」
「そうよ、そして怪力の皇帝さんよ」
「そのヴィグ皇帝ですね」
「あの人に会えるわよ」
「オズの国って本当に色々な人がいますね」
 再びヴィグ皇帝のことを聞いてです、ナターシャはしみじみとして言いました。
「皇帝さんにしても」
「そうでしょ、だから握手はね」
「危ないですね」
「あの人達も注意してるから」
 握手することを、というのです。
「だって相手の人を挨拶で傷つけたら駄目でしょ」
「それはおかしいですよね」
「そう、だからね」
「握手の挨拶はしないんですね」
「ゾソーゾのお薬を飲んだら大丈夫だけれど」
「私達も怪力を備えたら」
「そうなれば大丈夫だけれど」
 けれどそうでないのならというのです。
「だからよ、いいわね」
「はい、握手はなしで」
「そういうことでね」
 こうお話してでした、皆は立ち上がってです。
 そうしてハーグの都に向かうのでした、程なくして城壁に囲まれた街が見えてきました。そしてベッツイ達がその城門の前に来るとです。
 ふとです、その城門の上からです。 
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