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オズのベッツイ

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第五幕その七

 大きな男の人のお顔がぬっと出て来てです、こう言ってきました。
「あっ、ベッツイ王女」
「お久しぶり」
 その大きな人にです、ベッツイはお顔を見上げて笑顔で挨拶をしました。
「お元気かしら」
「元気ですよ、わしは」
 巨人は明るい笑顔でベッツイに答えました。
「この通り」
「それは何よりよ」
「で、今日は何の御用で」
「ちょっと旅行をしていてね」
 それでとです、ベッツイは巨人に答えます。
「ここに寄ったのよ」
「皇帝陛下にお会いに来られたんですか」
「そうよ、陛下はお元気かしら」
「元気も元気で」 
 巨人はベッツイに笑って答えます。
「今朝もステーキを五枚ぺろりと」
「あら、随分食べたのね」
「そうなんですよ、もう」
 それこそとです、巨人は笑って皇帝のことをお話するのでした。
「それからわし等を相手に相撲やトレーニングをして」
「汗をかいてなの」
「元気にしておられますよ」
「それは何よりね、それじゃあ」
「はい、陛下のところに案内しますね」
「それじゃあお願いするわね」
「おや、ハンクの旦那とガラスの猫のお嬢ちゃん以外に」
 巨人はここでナターシャ達に気付きました。
「五人いるね、子供が」
「私のお友達よ」
 ベッツイは笑顔で巨人に答えます。
「一緒に旅行をしているのよ」
「ああ、そうなんで」
「そうなの、それでだけれど」
「ええ、その子達もですね」
「ヴィグ皇帝のところに案内してくれるかしら」
「わかりました、それじゃあ」
 こうしてでした、城門が開けられてです。
 一行はハーグの都の中に入れてもらいました、そしてです。
 そのお国の中に入って巨人に案内してもらいながら国の大通りを進みます、その左右には見事な家々やお店が並んでいて人々がベッツイ達を歓迎してくれています。
「やあ王女さん暫く」
「相変わらず元気そうだね」
「はじめての子達もいるし」
「元気そうで何よりだよ」
「楽しんでいってね」
「本当に握手はないですね」
 皆笑顔でベッツイの周りに来てくれますが握手を求めてくる人はいません、ナターシャもそれを見て言うのでした。
「一人も」
「そうでしょ、皆わかっているからなのよ」
「その力の強さをですね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「皆握手はしないの」
「他の挨拶なんですね」
「そうよ、さっき言った通りね」
「気をつけてくれているから」
「私達もそれに応えましょう」
「気遣いには応えないといけないですね」
「そういうことよ」
 まさにそうなるのでした、そしてです。
 皆で一緒に立派な宮殿の中に案内してもらいました、宮殿の中にもハーグの人達がいますがその人達を見てです。
 ナターシャは今度はです、こうしたことを言いました。
「やっぱりどの人も痩せて猫背になっていますね」
「この国の人達はね」
 ベッツイはナターシャの今の言葉にも笑顔で応えました。
「そうなのよ」
「そうですよね」
「そして皇帝さんもね」
 そのヴィグ皇帝もなのです。
「痩せておられるのよ」
「年代記とかに書いている様に」
 ボームさんが書いているそれです。 
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