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オズのベッツイ

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第五幕その五

「干し柿もね」
「じゃあ渋柿は」
「干してよね」
「召し上がるといいです」
 それならというのです。
「そうすれば」
「そういうことね」
「渋さも干せば甘くなります」
「そこが面白いわよね」
「はい、柿だけでなく果物は」
「私干した果物も好きだから」
 ベッツイはにこにことしてこのこともお話するのでした。
「干し柿もね」
「あれはいいドライフルーツですね」
 恵里香もベッツイに応えます。
「日本のドライフルーツの一つで」
「ええ、柿の渋さがなくなってね」
「甘さが残って」
「私も好きよ」
「それは何よりです、けれど干し柿はオズの国にもあるんですね」
「だから同じ時代のアメリカが反映されるのよ」
 文化はです、勿論その文化の中に食べものも入ります。
「日系人の人もいるじゃない」
「それで、なんですね」
「そう、だから干し柿もあるのよ」
 その柿を食べる日本から来た人もアメリカにはいるからというのです。
「それで私達も食べられるのよ」
「そういうことなんですね」
「これまで私達が出した食べものと同じよ」
「和食、中華もですね」
「ボルシチなんかもね」
 ベッツイはナターシャにも視線を向けて微笑んで言います。
「出るのよ」
「アメリカにはロシア系の人もいるから」
 ナターシャも言います。
「それで、ですね」
「そうよ、だからボルシチもあるのよ」
「成程」
「そしてオズの国にも反映されているのよ、国民の人達にしても」
「あっ、そうですよね」
 ここで恵里香はふと気付いて言いました。
「オズの国の人達は色々な人達がいますね」
「白人だけじゃないわね」
 ナターシャも言います。
「アジア系の人も黒人の人もいて」
「ラテン系の人もね」
「そうでしょ、アメリカと一緒よ」
 人種的なことについてもというのです。
「最初は違ったかも知れないけれど」
「今は、ですね」
「そう、変わったのよ」
「だから皆僕を見ても普通なんですね」
 お肌の黒いカルロスの言葉です。
「黒人でも」
「アフリカ系の人も沢山いるからね」
 オズの国にはというのです。
「だからね」
「そういうことですね」
「そう、どの国にも色々な人がいるわよ」
「そしてかかしさんや木樵さんも」
「そうした人達もいるのよ」
 姿形がベッツイ達とは違う人達もというのです。
「そうなっているのよ」
「成程、そういうことなんですね」
 カルロスもベッツイの言葉に納得して頷きました。
「オズの国は本当にアメリカなんですね」
「それもアメリカのいい部分だね」
 アメリカ人のジョージの言葉です。
「アメリカは色々ある国だけれどね」
「そうそう、貴方はアメリカ人だったわね」
「そうなんですよ」
 ジョージはベッツイに微笑んで答えました。
「僕は」
「カルフォルニアよね」
「ロサンゼルスです」
「アメリカであの街が一番色々な人達がいるわよね」
「そうですね、日系人も中国系もアフリカ系も」
「ラテン系もね」
「いますよ、僕の友達にも一杯」
 そのラテン系、つまりヒスパニックの人達がというのです。 
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