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秋葉原総合警備

作者:イトヒー
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都外のアニメフェス No.7

 突然の事態が美咲と運転手を襲う。急停車せざるを得なかった。人格が変わったように、目つきを鋭くして美咲に襲いかかる。迂闊に手が出せずに、千夏の両手は美咲の首へ。
「うぅ…!千夏…さん…!」
 落ちてしまった携帯は未だに通話中のままだった。本気の抵抗なのか、力が強い。美咲の顔が赤くなる。慌てて運転席を降りて回り込み、千夏を抑えに行く。このままでは自分が危険だと、少々力ずくで両手をどけた。
「はぁ…はぁ…、大丈夫だから…ね?しばらく、落ち着いて。」
 まだ抵抗するか、動物のように息を荒くして、動けなくとも刺すように睨みつけてくる。
「いやだ…離してぇ!!……っ!」
 運転手に動きを封じてもらい、強引に千夏を意識を飛ばす。大人しくなれば、そっと車の中へ。陽一に怒られてしまうと、気の抜けた表情は欠片も無い。
「…とにかく急いで事務所まで向かって。」
「分かりました。」


 落ち着いた連絡が陽一まで届いた。こちらは秀人を探す。厄介な事態になる前に、事務所に戻るべきだろう。千夏の様子も心配になる。
「秀人!!…おい、大丈夫か。」
「陽一さん…すいません。」
「俺のミスだ、気にすんな。…さっさとここを出るぞ。」
 秀人を負ぶろうと、体を低くすると、狂気に満ちた怒鳴り声が響く。
「待てぇ!…千夏は…俺のだぁ!!」
 救えない男だと、呆れた目で見る。恐らく仕事目的だということも見失っている。
「いつまで調子乗った顔してんだ!…ここじゃ避けられねぇだろ。」
 狭い通路だと、忘れていた。男の銃口に捕まってしまう。ここでも打開する策はあるが、今は秀人がいる。思うように動けない。
「撃てんのかよ…、大事な大事な千夏さんにそんな事出来んのか!」
「黙れぇ!!」

 狭い空間に鼓膜が破れる程の銃声。撃たれたかと最後の手段に目をつむる。銃声は奥まで響き、やっと静まるが、目を開けると、男の方がうずくまっている。射抜かれた跡も痛みもない。
「陽一、無事か?!」
「美咲の親父さん!…何でここに?」
 見慣れたヤグサ集団。間一髪ではあるが、状況が読めない。とりあえず、親父さんも事務所に呼ぶとしよう。秀人を体つきの良い子分に預け、急いで会場の外を目指す。男はうずくまったままだが、足や腕に当たった程度だった。


「やっと東京か…。ちょっと強過ぎたかな…。」
 正直、辛い過去という気持ちがよく分からない。ただ自由に生きてきた。自分はただのアニメ好きだが、その仕事にこんな裏があるとは思わなかった。美咲は複雑な気持ちで千夏を見つめる。
「もうちょっと、真面目に仕事しよ。」


 微妙に美咲達の車の速度に合わせ、後を追う一台のバイク。ただ黙々と車を追う。懐には、一発を使った拳銃を忍ばせていた。 
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