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天空遊園地

作者:ザクロ
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矛と盾


「馬鹿な、俺の願いより、お前の願いが上回っただと・・・・ありえない、ここは俺の願いでできた世界なのに、ありえない!!不安定な・・・・この世界が、不安定で、願いの力が弱まっているからなのか・・・・?」
階段を上がってきた敏晴は、俺たちを見て、戸惑っていた
ここで、言葉が引っかかった。俺の願いでできた世界。本当にここは現実じゃなくて、敏晴の願いの世界
では、管理人たちは?子供たちは?どうしてここに?
まず、管理人たちは何故、俺を助けた。その顔に、名前に、聞き覚えがある
思い出せ、すべてを、そして繋げろ。そうすれば
この世界の謎は解ける
俺は目を閉じ、しばらく考えた。・・・・そして目を見開いた。思い出した、繋がった!
「謎が解けた。どういうことだか、ここが願いでできた世界、だからこそ不安定で、時空が入り混じる世界ということがはっきりした
これで、大体の謎は、俺の記憶が鍵となって、解けた
まず、空音がなんでここに来たのか。それは、空音の「遊園地に行きたい」という願いだけじゃない
敏晴の「空音に会いたい」という願いと重なって、空音はここに来たんだ
次に「俺がなぜここに来たのか」これは、俺も、管理人たちも、敏晴も、疑問に思っていたはずだ
いくつか理由がある。一つ目は「空音に会いたい」という俺の願い。二つ目は「お兄ちゃんと一緒に遊びたい」という空音の願い
そして三つ目は「もう一度、俺と会って、話し合いたい、やり直したい」という、敏晴の願い
この三つが重なって、俺がここに来たという偶然ではなく、必然が生まれた
そもそも、この世界を作った敏晴の願いは「空音と自分のためだけの理想郷を作りたい」だけではない
自分は、何もできなかった。願いを叶えることができなかった。だからこそ、願いの叶う場所を作りたい
「誰かの願いを叶えたい」という願い。そして、夢のような世界で、誰かの願いを叶える。そのためにこの遊園地を願いで作った
しかし、この場所は、願いの力がなければ不安定で崩れる。空音をここに呼ぶまで、この場所を保つ必要がある
だから子供たちを様々な時間枠から集めて、ここに願いを止めさせた。それが結果的に「心を奪う」ことにつながった
では、管理人たちは?それは、俺が頑張って思い出せば、すぐに済む話だった
管理人たちもまた、この時空が入り乱れる世界で、様々な時間から来た子供たちだ
しかし、管理人になった最大の理由、それは・・・・
まだ、俺たちが、そこまで仲が悪くなかった、小学校の三年生の頃「一緒に遊んだ友達だった」からだ
しかし、四人は謎の行方不明で、いなくなった
春人は6年前にここに来たと言っていた。しかし、行方不明になったのは3年前だ
ここで謎が出てくる。なぜ、遊園地のなかった6年前から、12歳の状態で来ることができたのか
それに、俺たち6人は、同い年、同じ学年、同じクラスだったはずだ。なのに、なぜ、なぜ年齢がバラバラになったのか
ここからは、俺にもよく分からない。だから、推測でしかないが・・・・
・・・・例えば、日下部春人は、2年前の遊園地ができたとき、3年前の時空から12歳の状態で、ここに来た。
心を奪うのに時間がかかり、一年が過ぎた。そして、心を奪うことに成功し、敏晴は春人を管理人に選び、年が取れるようにする
すると、この時点で、13歳となる
そこからどうやって2年で、5年分の時を過ごしたのか。それはよくわからない。
でもそれは、時空が入り乱れることが関係していると俺は思う
本来の時間枠では、俺と春人は同い年だ。だが、連れてこられた春人は12歳。3年の差がある
さらに、時空が不安定なこの世界では、時間の流れが不規則で、2年分時間の差が出てもおかしくない
そう考えると、春人と、雪が成長している説明がつく
江夏太陽がいなくなったのは、6年前。ここではなぜか、時間の流れが止まっていて、9歳の姿のまま
水無月コノハこと、石月木乃葉がいなくなったのは2年前。ここでは正しく時間が流れていて、同じ15歳
じゃあ、なぜ、友達だったのに、お互いの顔を忘れているのか
それは、管理人となった四人の場合、一度この遊園地に心を奪われているため、同時に記憶を失ったことが説明できる
そして、心を奪われた人間は、現実世界では死人となる。そして、この遊園地は現実世界ではない
だから、四人のことを上手く思い出せなかったのは、それで説明がつく
思い出せたのは、この謎を解きたいという願いからだと思う
どうかな、これで全部あっているかな?」
すると、敏晴は拍手をした
「素晴らしい、素晴らしいよ!俺ですらわからなかったことを、この遊園地の不安定な時空と結びつけて解明するとは、素晴らしいよ!本当に・・・・本当に俺のほうが、何もできないやつになってしまったじゃないか・・・・それに、まさか、俺の心を理解する、なんてね・・・・」
敏晴は、拍手をやめると、怒りの表情へ変わった。そして、腰にさしていた剣を引き抜いた
「ますます腹が立つよ、高晴には・・・・殺す、殺してやる!!」
どうして、どうして、心を理解できたというのに。俺は殺意を抱かれなくてはいけない?
確かに、敏晴は認めてくれたはずだ。もう一度家族でやり直したいという心を、なのに・・・・
ますますわからない、敏晴の心が・・・・
しかし、俺の身はどうなっても構わない。だから、何としてでも、俺が盾となって、空音を守らなければ・・・・! 
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