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タケミカズチ、抜錨します。

作者:沙羅双樹
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タケミカズチさん、マジパネェーーー(ッポイ)!!

 
前書き
次元覇王流の極意。それは闇堕ちした者を救済する力でもある。

なんちゃって!(笑) 

 

【視点:タケミカズチ】



艦娘になっていた時点で言えたことだけど、それでも外宇宙製――しかも、発掘兵器とも呼べる元宇宙船の潜水艦型深海棲艦の相手をすることになるなんて、波乱万丈の人生にも程があると思う。


「敵艦補足、全管発射……」


流石、深海棲艦。自身がボロボロでも気にすることなく、感情が全く籠ってない声で攻撃宣言してきた。発射された弾数は7発。半数の発射管は使用不能になっているみたいね。

当然と言えば当然だけど、こちらも棒立ちでいる訳も無く、向かってくる飛行爆雷を【イーゲルシュテルン】で飛行爆雷を迎撃し、こちらも同じく飛行爆雷18発で応戦した。


「クッ!!」


私の記憶ではノーチラス号に【イーゲルシュテルン】の様な対空防御兵装が無かったから、全発射管の半分の飛行爆雷しか発射しなかったけど、記憶は正しかったみたい。ノーチラスは迎撃もできずに飛行爆雷の直撃を受けている。

あっ!今、ノーチラスの補機っぽい艤装パーツに飛行爆雷が3発ほど直撃して爆発した。このまま攻撃を続ければ、そう長くない内に轟沈できる。

……それにしてもノーチラス――いいえ、ここは発掘棲艦とでも名付けておきましょうか。発掘棲艦はどうして海上に姿を現したんだろう?

海中なら対雷撃防御【ボム・ガード】があるから、ある程度は迎撃ができただろうし、最大船速は100ノットを超えていた筈だから、逃げようと思えば逃げられた筈。正直、私達の前に姿を現した行動がその容姿並に腑に落ちない。

そんなことを考えていると、私はレーダーからの反応であることに気付いた。第3水雷戦隊が相手をしていた深海棲艦が、この海域から離脱しようとしていることに。

どうやら、私と発掘棲艦の戦いに第3水雷戦隊の子達が気を取られている内に、分が悪いと踏んで逃げ出したみたいね。発掘棲艦が姿を現したのは囮となる為かな?


「仲間を逃がす為に自身が囮となる。人類の敵性存在―――悪とされている者のする行動じゃないわね」
「タケミカズチさん、一体何を?」


返事を返す筈のない発掘棲艦に対して語りかける私に、第3水雷戦隊の旗艦である神通ちゃんがその言葉の意味を聞いてきた。


「あなた達が相手をしていた艦隊、さっきの混乱に乗じて逃げ出したみたいよ。この深海棲艦が姿を現したのは、仲間を逃がす時間を稼ぐ為ってこと」
「えっ!?」
「あっ!本当だ!!」
「逃げ出したっぽい!?」
「……あなたほどの性能なら、フラグシップ級から命令されたということはないでしょう?自発的に囮になったと考えるのが自然よね。で、これからどうするつもり?
兵装も半数は潰されて、補機も大破。艤装と同じく体もボロボロ。本来なら最大船速で100ノット以上の速度は出せるんでしょうけど、今の状態じゃ最大船速でも30ノット出るか出ないかなんじゃない?」


私が淡々と発掘棲艦の現状を告げると、発掘棲艦は補機と100ノットという発言に対して反応を示した。これは予想通りといえば予想通りの反応ね。誰だって、初対面の相手に自分の詳細を知られていたら驚く。

………いや、自分の詳細――体重とか3サイズを見ず知らずの人に知られてたら、私だったら驚く前に気持ち悪さでドン引きする。け、けど今回の件はそう言った話じゃないからドン引きする類じゃないわよね。


「今、補機って単語と最大船速に反応したわね。どうやら、あなたの元となっている艦船は私の予想通りの様ね。ねぇ、第二世代型惑星間航行用亜光速宇宙船ヱルトリウム級改修型万能潜水艦ノーチラス?」


私が先程と同じ様に発掘棲艦に対して今度は本来の名を告げると、発掘棲艦はまるで観念したかの様に棒立ちで脱力した。しかし、私はその行動を観念してのものとは捉えなかった。


「正体がバレて逃げ切れないと分かったら、対消滅エンジンを暴走させて私達も巻き込んだ自爆でもするつもりかしら?でも、そんなことはさせないわ」


私はそう言い切ると同時に最大船速で発掘棲艦との間合いを詰め、次元覇王流の構えを取った。


「自爆や自沈なんて負け犬みたいな行動する位なら、最期まで足掻いてから轟沈する根性をみせなさいよ。このスットコドッコイ!!」


ガーゴイルを倒す為、安易に自爆を選んだエレクトラさんを罵倒したグランディスさんの様に、私は発掘棲艦に同じ言葉を浴びせながらその顎に向かって次元覇王流の技を放つ。


「―――ッ!!!」
「次元覇王流!蒼天・紅蓮拳!!」


自爆する為に脱力状態で棒立ちしていたこともあって、私は蒼天紅蓮拳で発掘棲艦を空高く打ち上げることができた。

その光景を目の当たりにしていた第3水雷戦隊の子達は目が点になっている。まぁ、今まで深海棲艦相手に蒼天紅蓮拳を使ったことはあるけど、流石に空に打ち上げる程の威力が出たことは無かったから、驚くのも仕方ない。これも改修したお蔭かな?

と、そんなことはさて置き、打ち上げられた発掘棲艦は海面に叩き付けられると同時に体が発光したかと思えば、そのまま爆発してしまった。

規模的に考えて、対消滅エンジンの自爆とは思えない。これは蒼天紅蓮拳の衝撃で対消滅エンジンが停止したと考えるべきかしら?起こった爆発は轟沈によるものと考えるのが妥当ね。

私がそんなことを考えていると、目を点にして呆然としていた第3水雷戦隊の子達が漸く口を開いた。


「「「「「「タ……」」」」」」
「た?」
「「「「「「タケミカズチさん、マジパネェーーー(ッポイ)!!」」」」」」


……これは称賛されていると考えるべきなのかな?私が逆の立場でも同じ反応をするとは思うけど。普通、空母が潜水艦を空中に殴り飛ばすとは思わないもんね。

って、そんなことより他の艦隊の援護に行かないと。一番の脅威であった発掘棲艦を倒したといっても、まだ海戦は続いている訳だし。

第3水雷戦隊の子達には第2支援艦隊の方に行って貰う様に指示を出そうとした瞬間、吹雪ちゃんが発掘棲艦が轟沈した所を指さしながら声を上げた。


「た、タケミカズチさん!さっきの深海棲艦が爆発した所が発光しています!!」


発光って、そんな馬鹿な……。そんなことを思いながら、爆発地点に視線を向けると、眩いという程ではないものの確かに吹雪ちゃんの言う通り発光していた。

そして、その光が一際強くなって、発光が治まったかと思ったら、爆発地点には艤装を身に付けた見知らぬ艦娘が立っていた。いや、見知らぬというのは語弊がある。彼女は私が一方的によく知っている女性だ。彼女は―――


「私は第二世代型惑星間航行用亜光速宇宙船ヱルトリウム級改修型万能潜水艦ノーチラス。皆さん、以後お見知りおきを」


10代後半くらいの少し若いエレクトラさんっぽい姿な時点で分かっていましたが、やっぱりノーチラスでした。次元覇王流の拳が彼女の魂を救済したとでもいうのでしょうか?

……取り敢えず、こういう時はお決まりの台詞で締めて置かないと駄目ですよね。皆さん、ご唱和下さい。

ノーチラス号、Getだぜ!!


 
 

 
後書き
サンソン「電気がなきゃ、ここのハッチも開かねぇじゃねぇかよ!!」
タケミカズチ「構いません!ぶっ飛ばして下さい!!」
ハンソン&サンソン「合点!!」


という訳で、今回のタケミカズチさんはハンソン&サンソンに姐さんと呼ばれる様なキャラでした。(笑)

あと、ノーチラスが仲間になりました。良かったね、トダカ提督!また、鎮守府の戦力にチート艦が追加されましたよ。(笑)

まぁ、ノーチラスのドロップは殆どの読者に予想されていたとは思いますが、流石に蒼天紅蓮拳で天高く殴り飛ばされるとは思っていなかったと思います。
(これは流石に予想外でしたよね?ね?)

この先、ノーチラスは第8機動艦隊の固定艦娘となる予定です。もしかしたら、カレー大会でタケミカズチとノーチラスが組むかもしれません。(笑)

ちなみに今回の海戦では登場しませんでしたが、ノーチラスには艦載機が1機だけいます。それが何かはお分かりですよね。

いずれ登場するとは思いますので、その時を楽しみにしていて下さい。(笑)

それでは読者の皆さん。また、次回お会いしましょう。 
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