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チート戦艦の非常識な鎮守府生活

作者:諷詩
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16.アメストリア、轟沈ス

ーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「妖精さん、第一主砲に九七式徹甲弾装填。アクティブソナー発信」
アメストリアからソナーが打たれ、様々な情報が流れ込んで来る...

み・つ・け・た☆

「てぇー!」

ドゴォォン!
轟音が鳴り響き砲弾を発射。
砲弾は回転しながら海面を叩き割り、海中を進み深海棲艦の真っ黒な潜水艦が三枚下ろしになる。
そして大量の気泡と重油が海面に上がり、遅れて爆発する。
「敵潜水艦轟沈確認」
一つ、可笑しい点に気付いただろうか?
私は''砲弾''で潜水艦という海中にいる砲弾が届かない筈の深海棲艦を撃沈した。
九七式徹甲弾自体、少し海中を進み、船底をブチ抜くのにも使えたらしいが、今回は潜水艦。
深度が違う筈なのだ。
しかし私ことアメストリアはそんな常識は通じない。
砲弾の重量は45t。内30tは火薬だが、徹甲弾は45t中25tが鋼鉄で出来ており、打撃力に強い砲弾なのだ。それに加えて主砲の150cm四連装砲というキチガイ染みた主砲から放たれたのだ。
しかも元ネタの九七式徹甲弾とは違い、螺旋状に彫られており、刃も付いている最早徹甲弾では無い。
『姉さん...私の獲物だったんだが...?』
「別にカイクルのとは決まっていないだろう。ほら、西南南西に一艦隊だ」
『ふっ...主砲一番起動!最大仰角!てぇー!」
カイクルの主砲があり得ない速度で旋回し、間髪入れずに一帯が明るくなり、巨大な爆炎を上げる。反応は...消滅。流石は''彼女''の妹。
「アメストリア、で良かったか?」
声を掛けられ、後ろへ向くと武蔵がいた。休んで無かったのか...あと、知識に誤りが無ければ武蔵は細縁眼鏡を掛けていたはずなのだが、無い。いや、違和感があったから良いけどさ。
無いならないでまた新鮮だ。
しかし寝ていなかったか...大分疲れている筈だが...?(主に私が。)
「武蔵か...如何した?現在は第一級戦闘態勢だ。しかも貴官は客人だ。休んでくれ」
「いや...私達...特に姉を助けて貰ってありがとうございます...」
なんか武蔵の敬語って違和感MAX...しかし私では無いぞ?礼なら提督に言ってくれ。
「礼なら提督に言ってくれ」
実行、立案こそ私だが、決断したのは提督だ。
一番私を心配してくれる。じゃないとどこの所属、艦名さえも分からない不審船の艦娘を助け無いだろう。本当にお人好しだな...
「そうか。ならそちらにも言わせて貰おう。しかし...貴様は誰だ?私とて結構後の方に建造された身だが、アメストリアなどと言う戦艦の計画や建造は聞いたことが無い」
説明しても信じてくれ無いだろう。実は地球の船じゃありませんなんて言ったら。
「あぁ...私もよく分からない。突然現れた。神様のいたずらていう物だろう」
「.......幾つか質問、良いか?」
「幾らでも」
「あの主砲は何センチだ?」
「アレは150cm四連装砲。砲塔620×340、砲身600m一秒毎発。五基だから計二十門だ」
「......それが60門?」
「姉妹合わせたらな」
「そうか...この艦のステータス、情報を」
「機密事項だ。パラオ鎮守府所属の艦娘以外に教える気はない。」
「そうか。考えておこう」
''西南東距離15000kmに二隻です!''
「分かった。リバンデヒ、撃滅しろ」
『分かったわ。一番、二番砲塔起動!仰角合わせて!一式徹甲弾装填。てぇー!」
''西南東から超高速の飛来物!ミサイルです!''
何...?ミサイルなんて持っているはずがない...何故ミサイルが来る?
私達は撃ってない。他の右翼の連中でも無い。レーダーに反応が無い。
「リバンデヒ、回避しろ!」
『きゃあ!?お姉ちゃん...ごめんなさい...私、中破だわ...』
「了解した。カイクル、単縦陣だ!全武装起動!非常戦闘態勢!」
あのアメストリア型戦艦の装甲を持ってしても中破に追い込まれたのだ。厄介な敵だ...
「『ハープーン、一番から千番ハッチ開け!座標入力!発射!』」
私とカイクルの計2000発のハープーンが襲いかかる。これは流石に耐えられないだろう。
しかし慢心はいけない。
「主砲全門起動!最大仰角!」
''超高速で接近する飛行物体を多数確認!数...120です!''
次は音速攻撃機か?アメストリアのデータベースには沢山あるが、この世界には無い。
深海棲艦によって人類の戦闘機は落とされているからだ。
「三式弾装填!てぇー!」
五基の主砲から二十発の三式弾が撃ち出され、次の瞬間にはまたさらに二十発の三式が撃ち込まれる。そして四十発の三式弾は音速攻撃機の前で爆発し、大量の鉄片を降らせる。
次は気化爆弾の砲弾とか出しても良いかもしれない。ジェット戦闘機には有効だろう。
''全機消滅!ミサイル着弾!''
しかしレーダーから二つの反応は消えない。クソッ...最悪の想定が出てくる。
「全主砲斉射し続けろ!副砲も使え!ハープーン!フルファイア!」
激しく閃光や爆音、硝煙の香りにハープーンの煙が上がる。三隻から鉄の暴風なんて比じゃない量の攻撃を加えてゆく。
''上空に飛来物!高高度爆撃機です!落下物確認!''
「全30mm機関連装砲を使って何としても落とせ!」
大量の銃弾が空を覆い尽くし、小さな影に殺到してゆく。そして大きな爆発が上空でした。
しかし30mm機関連装砲の砲身が過熱状態になり、冷却開始。
これで私が使えるのは150cm四連装砲、46cm三連装砲、30cm連装電磁力砲、20cm連装砲だけだ。しかし150cm四連装砲は消費弾薬が激しく、装弾機構が熱くなっているため、しばらく使えない。まあ、5分位だが。
そして46cm三連装砲は問題なし。30cm連装電磁力砲は...連写不可能。20cm連装砲は問題なし。
''側面から飛来物!1000を超えています!''

...



..........



...................



私、死んだか?
「使える砲に三式弾を装填!撃ちまくれ、ミサイルハッチ全て開け、SM-3発射!」
至近防衛迎撃ミサイルまで出した。そして、
「BGM-9一番から九番座標入力!二隻に打ち込め!」
初めて弾道ミサイルを使用した。これで全ての火砲が両側面から来るミサイル群につきっきり。
何か忘れてないか...?
''ッ!?上空に三つ爆弾!来ます!''
あ...詰んだ...30mm機関連装砲はあと一分。150cm四連装砲はあと四分。使えない。
多少のダメージは覚悟...!
「総員対ショック態勢!何かに掴まれ!」
二人の妖精さん、リーダー格の妖精さんを抱き締め、守るように丸くなる。

一発は前方の第二砲塔に命中。大破。

二発目は後方のカタパルトに命中。一基沈黙。離着艦不能。

三発目は艦橋群のど真ん中に命中。第一艦橋、自動射撃統制装置、中央演算処理装置、対空電探、全天レーダーが全壊。

又自動射撃統制装置が全壊したおかげで火砲が一斉に沈黙。
落としきれなかったミサイルが三番砲塔下自動装填機構に命中。弾薬庫に引火に大穴が開いた。
毎分100tのペースで浸水を確認。全隔壁を下ろす。
そしてダメージコントロール。姿勢制御装置も使い何とか航行し続ける。最悪隼だけでもリバンデヒに預けて行ってもらうしか...
『姉さん!無事か!?』
「ゲホッゲホッ...私は大丈夫だ。カイクルは?」
『私にも大量の戦闘機にミサイルが来て少なからず損害を受けた。小破だ。不覚...』
「私とて1000t級を三発食らっているがこの通り大丈夫だぞ?アメストリア型戦艦は簡単に沈まん」
と大口を叩いたが、結構ヤバイ。吐血した血を拭い、立ち上がる。第一艦橋はいつかのように大破。指揮機能を完全に消失。
第二、第三砲塔が大破。浸水もしている。ミサイルハッチが150程ダメになった。
30mm機関連装砲が...45基喪失。
しかし機関は無事。まだまだ動ける。
「リバンデヒ、艦娘を送る。収容してくれ」
『......了解』
隼を自動発艦させ、リバンデヒに退避。主砲を起動し直し、一番、四番、五番砲塔が再び砲塔をブチ込む。第二艦橋を起動。ズキズキと痛む右足を引き摺りながら移動してゆく。
この時は戦闘に頭が一杯で転移なんか考えて無かった。
''大丈夫ですか...?''
心配そうに妖精さんが見てくる。癒される...が、痛い...
''敵離れていきます...至近弾25発!''
「何もするな。どうせ対空砲も効かながぁっ!」
巨大な砲弾が艦橋群、煙突部分、113号電探、側面の船体を装甲ごと抉り取る。
25発全弾被弾。船体に三ヶ所の致命的な亀裂を確認。浸水。仰角5度か......
「損傷は...?」
''第二艦橋に二発、30mm機関連装砲に十発、船体側面に十発ピンポイント、後方機関室に三発...です。轟沈の可能性があります!甲板において大火災が発生!''
轟沈に近い大破か...最初を思い出すな...あの時もコテンパンにされたな...
機関室主機三基出力低下、副機十数基沈黙。
ははは...ついに私は沈むか.......今までも大破はあったけど悪運だけは強いからなぁ......
痛みに耐え切れず、諦めて意識を手放す。
カイクルから何か来ていたがごめん...最後に何も言えなかった...
「ごめん.......」 
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